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案内広告のデータベース化でWeb配信・印刷を一元管理

案内広告のデータベース化でWeb配信・印刷を一元管理 日刊編集センターでは,新聞に掲載される求人案内の広告をデータベース化して,紙面印刷用データとWeb配信用データ作成を行うためのシステム構築をした。

同社は日刊スポーツ新聞社,印刷を担当する日刊スポーツ印刷社とともに,日刊スポ―ツグループを構成する。従業員約270人で,記事の入力業務代行,日刊スポーツ新聞社の校閲業務ほか,日刊スポーツ新聞社以外の新聞社などの編集・制作サービス,ラテ面の配信事業,スポーツデータの提供などを行っている。今回構築したのは,朝日新聞社の求人案内広告面の編集制作におけるシステムで,同社ではA−NETシステムと呼んでいる。

データベース化による大幅な効率化が目的

このシステムの目的であるが,一つにデータベース化することで,入稿データを効率的に運用して,クライアントニーズにこたえていくことがあった。これまで同社が利用していたのは,組版特化型のデータで,クライアントから入稿された原稿を入力して,印刷用データを制作する工程であった。

システム構築に当たっては,同社の制作環境のみを考慮するのではなく,クライアントから出てくるさまざまな要望にこたえていく必要があった。この案内広告システムでは,同社にとって直接のクライアントは朝日新聞社になるが,広告代理店も密接に関わってくる。クライアントのニーズとしては,課金情報を管理したいということであった。つまり,広告掲載申し込み件数や情報をもとに,広告代理店別の請求・課金情報などのデータベース化あるで。従来,これは紙ベースで別々に管理していたが,紙面に掲載されるものであるから,その入稿データ情報自体を管理することで,課金管理に利用できないかと考えたわけである。

一方で,入力・組版は組版特化型のスーパーコンピュータを利用して行っていた。そのため,汎用性がなく,効率性を追求するに当たっては,新たなシステム構築の際に問題点となっていた。> 課金情報システムを構築するには,データベースが必要になる。しかし,データベースを構築するのなら,課金情報システムのみでなく,組版管理も行えるようにしたい。そこで,制作工程の効率化,クライアントの負荷軽減にもつながるようなものを構築することにした。

大幅な省人化を達成

最近では,広告代理店からはデジタルデータで渡されるようになったとはいえ,まだ紙ベースの原稿もある。そのファクスや紙のアナログ原稿では,デジタル化するための入力をして,編集レイアウトの作業を行い,朝日新聞の広告審査を経て,印刷物用データを渡すという流れであった。集まったデータに対して,朝日新聞から行数や段数の情報をもらい,割り付けし,印画紙に出力して朝日新聞社へ戻していた。版下でのやり取りでは,それを持ち運ばなければならないし,せっかくデジタルデータ化したものを,またアナログに戻すという無駄な工程があった。現在は,組版を行った紙面データをRIPし,画像データにして通信で印刷側に送信している。<
BR> また,朝日新聞社では,これまでは手作業であった割り付け作業も,入稿データを使用した自動割り付けが可能になる。従来は実際の原稿がすべて入稿されてからしか割り付けできなかったが,広告審査に出す前に,入稿してきたデータを仮で割り付けし,Webブラウザ上で確認できるようになった。この結果,入稿待ちの時間がなくなった。

クライアントである朝日新聞社にとっては,広告がどのくらい入っているかの情報がリアルタイムで分かる。足らなければもっと広告が掲載できるなどの,後の対応にメリットが生まれる。また,広告の締め切りをぎりぎりまで延ばせるようになった。

一方,代理店サイドでは,各営業担当者ごとの広告掲載希望クライアントの月別業績について,データベースから検索することができる。代理店ごとの情報が解析でき,それを代理店に提供する。代理店はそのデータをマーケティングなどに利用でき,メリットが出てくる。

Webサイトへの掲載も自動化

紙面上で案内広告を作成するとともに,インターネット上での公開がある。そのためのデ―タ作成もデータベースから行う。1999年にAsahi.comにある求人情報が,Asahiジョブネットというサイトでスタートしている。これは,紙面に掲載している求人情報をインターネット上で公開しているもので,職種や年齢などの情報を紙面と同じ状態で掲載している。 求人案内広告での職種など必要な情報はすべてデータベース上にある。データベースから印刷用のデータはRIPして画像で渡すようになっており,Web用は別にHTML化するエンジンを使って,自動的にWebに展開している。


(出典:月刊プリンターズサークル2002年2月号特集「DB活用がクライアント業務を支援する」より)

2002/02/03 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会