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数年で様変わりするモノクロ印刷設備

PAGE2002では,デジタル印刷システムが花盛りであった。名刺・ハガキの制作・印刷システム,従来単色印刷機が担ってきた,モノクロページ物印刷物市場向けのモノクロオンデマンド印刷機,大量のバリアブルデータプリント市場を狙う高速プリンタ,リモートプリンティング・プルーフや小ロットカラー印刷,ワンtoワン マーケティング用の販売促進ツール市場を狙うカラー出力機などである。

本稿は,既存の印刷市場における枚葉単色印刷機からの置き換えという視点から,モノクロのデジタル印刷システムを捉え,各種システムの概要と将来の市場規模について考えてみた。

激減する小型枚葉印刷機

PAGE2002では,設備価格が1000万円を切るモノクロデジタル印刷システムが多数紹介された。これらのシステムへと,今後順次枚葉単色印刷機が置き換えられていくことは確実である。
卓上軽オフを含む四裁以下の枚葉単色印刷機の出荷台数は,1981年の2万3373台をピークに急速に減少して,2000年では3375台になった(表を参照)。

表の金額を台数で割り,1台当たり金額を算出してみると,1995年ごろから急激に上昇していることが分かる。それは4色機が増えたからであり,表における台数全体の減少は,2色機や単色機の減少によるものである。

この変化の基本的な原因は二つある。一つは,モノクロ印刷物を事業所内で複写機を使って作るようになったことなどによる内製化と,カラー化の進展による需要の縮小である。もう一つはそうした市場の影響を受けた印刷業者のカラー印刷への移行と,それを支援する各メーカーの小型4色機市場への投入である。

しかしながら,いくらパソコン,インターネットが普及したとしても,当面,モノクロページ物印刷がなくなることはないし,それらがすべて内製化されることもない。ページ物の場合には製本という工程が不可欠だからであり,ページ物でなくても,ホチキス止め程度の作業を伴う部数の多い仕事は,やはりプロの仕事になる。

このような流れのなかにビジネスチャンスを捉えて成功しているのが,低価格のモノクロデジタル印刷システムである。

市場規模は3000台?1万台?

小型モノクロオンデマンド印刷システムは,本体価格を1000万円以下に抑え,1枚当たり通しコストもそこそこの水準に抑えている。
品質面では解像度は600dpiだが,文字主体の印刷物では十分だし,軽オフ機の水上がりの不安がない分,かえって有利である。何より機械運転に熟練作業が不要である。印刷速度も90枚/分前後で問題はない。市場の特性から考えると,顧客がDTPで紙版下まで作り,印刷と製本が印刷業の仕事になるケースが多いと考えられるが,アナログ紙版下のデジタル変換・保存機能をもっているので,その面の対応にも問題はない。

従って,最近では,このようなオンデマンド印刷機が一つの機種当たり年間60〜70台出るようになってきている。正確な数字はないが,従来の4裁単色印刷機の出荷台数を上回っているのではないかと思われる。

JAGATの推計によれば,日本の印刷業界全体で保有している4裁以下の単色印刷機は2000年時点で3万4137台である。この台数がそのまま「新しいシステムの需要規模」とはならないだろうが,機械の稼働率や市場動向,そしてモノクロオンデマンド印刷機の性能を考えれば,既存の印刷機の1割で3000台,3割で1万台という非常に大きな市場が,上記のようなシステム提供ベンダーに開かれていることは間違いない。これは,PAGE2002でも数多く出された名刺,ハガキなどの端物印刷を対象としたデジタル印刷システムの市場でもある。

多様なニーズに対応する端物印刷用システム

名刺,ハガキのデジタル印刷システムでは,ソフトの充実や品質向上,スピードアップあるいは多様なニーズ対応など,多彩な製品が紹介された。
印刷システム販売株式会社による名刺・ハガキ用の作成ソフト,め組は,画像処理と面付け機能を装備し,ゼロックスのカラーレーザプリンタ「C-2220m」,面付け名刺の卓上型自動裁断機を組み合わせたシステムになっている。

長野日本無線株式会社の名刺・はがき・封筒プリントシステム「ネームライナ850pro」は,1200dpi相当の熱転写方式で,0.15〜0.75mmの厚さの用紙に対応しており,名刺100枚2分50秒,ハガキ100枚4分30秒以下でプリントする。Windows95/98/Me/NTおよびMacintoshからのプリントに対応している。付属の専用編集ソフト,名King Hyperには,レイアウト,書体,ロゴ,イラスト処理,枠作成などの機能があり,Windows95/98/Me/NT4上で動作する。

丸紅マシナリー株式会社は,Bryce社製のコンパクト卓上プリンタ「Bryce 30K」を新製品として出品した。封筒・ハガキの宛名(あてな)・ロゴ印字に適したインクジェットプリンタで,ラベル印字・貼付にかかっていたコスト・処理時間を削減することができる。最高600×600dpiの解像度,1万8000枚/時の高速印字が可能である。スポットカラー,バーコードにも対応している。最大12mmの冊子など厚ものにも印字可能。アプリケーションからそのまま印字ができる。

株式会社ムサシの名刺,ハガキプリントシステム「MP-2000ProV」は,バリアブル印刷機能を搭載した新製品。挨拶(あいさつ)状,年賀状の宛名印刷や,カード類への連続番号印刷など,バリアブル印刷が簡単にできる。

新方式PEGヘッドにより,再生紙,ケント紙,非木材紙への印字適性を向上させ,さらに印字位置精度の向上,耐久性向上,最大500枚の連続印刷などの特徴がある。自動レイアウト機能付き名刺OCRリーダを標準装備し,名刺のレイアウトを読み取り,見本どおりの名刺が簡単に作成できる。独自の異体字変換機能や異体字エディタなどの機能がある。Windowsの組版システムからの出力,およびMacネットワークにも対応している。

株式会社ヤマガタからは,婚礼厚口カード・会葬御礼カードなどの厚口カードから封筒(長3)まで,600dpiでプリントできるリソーマイスター「CP-150」が紹介された。キヤノン製のプレートプリンタ「MARK300」は,厚さ3mmのプラスチックプレートからロール状のフィルムまでに対応し,表示版や銘版が作成できる熱転写方式のプリンタである。カラーリボン使用により6色のカラー印刷が可能。また,ゼロックス・シュレプレス「SP2」は環境配慮型の高速圧縮シュレッダーである。

株式会社山櫻の「CARD MATE Digica」は,コーナーエッジヘッドによる1200dpi相当の印字品質で,官製ハガキや多少材質の悪い用紙にも印字できる。ヘッド圧2段階調節により名刺ではヘッド圧を弱くして,小さな文字のつぶれを抑え,ハガキではヘッド圧を強くして,かすれを防ぐ。名刺・ハガキ・単カードプリンタの「CARD MATE MAX」は,600dpiの熱転写プリンタで,2ヘッドで同時2色印刷する。出力時間は名刺100枚で3分という。

フルカラー対応名刺作成システムの「CARD MATE GoGo PRO U」は,800dpi相当の熱転写プリンタで,黒を始め単色13色とフルカラーリボンにより,多彩な名刺が作成できる。上記2機種は,WindowsおよびMacで使用できる。「CARD MATE Mini」はロープライスプリンタシステムで,店頭サービスに最適なコンパクトモデルである。

スタンプクリエーター「SC-2000」は,溶融型熱転写方式による浸透印作成システムで,市販のプリンタ同様パソコンに接続し,専用エディタソフトでレイアウトした後,スタンプホルダをセットするだけで,原稿フィルムの作成から印面の露光までを自動で行うシステムである。Windows/Macに対応している。

さらに品質,スピードを上げた上位機種

PAGE2002では,上記のようなデジタル印刷システムの上位に位置付けられるオンデマンド印刷機も多く登場した。
ハイデルベルグ・ジャパン株式会社の「Digimaster 9110」は,PAGE2002が日本での初公開になり,多くの来場者の注目を集めた。Digimaster9110は,ハイデルベルグ社としては初めてのノンインパクト方式モノクロデジタル印刷システムである。A4サイズ110ページ/分の高速印刷を実現。超微粒子デベロッパにより,きめ細かなグラデーションの階調表現やシャープなエッジの再現に優れている。

また,先進の両面印刷機構や用紙ジャムを抑えた信頼性の高い用紙搬送メカニズム,標準搭載のステープリングや平綴じ機能に加え,中綴じや無線綴じ(オプション)のインライン処理が可能である。 また,「Insertere」を取り付けることで,他機で刷られたカラーページを表紙や差し込み表紙として,印刷物に挿入することができる。別のオプションをつけるとインラインで40mmの厚さまでの無線綴じ製本が,250枚/時のスピードで作成できる。

設備価格は全版両面印刷機より高いが,印刷機械販売の老舗(しにせ)らしくカウンター料金制はとらないので,オペレータの人件費が安くなり,加えて人の配置によって,1枚当たりのプリントコストを低く抑える可能性があり,魅力である。ちなみに,Digimaster9110は,1999年に海外で販売を開始して以来,印刷会社はもとより,企業や大学内の印刷センターなどを中心に既に2600台の販売実績がある。

大日本スクリーン製造株式会社は,モノクロデジタル印刷システム「TruePress-V200」を出品した。600dpiの電子写真方式の印刷エンジンで,400ppm(A4ヨコ両面),A4を1万2000枚/時と,印刷機に匹敵する高速印刷を行う。Adobe PostScript3 RIPを搭載し,大量ページの電子丁合出力,可変データ印刷が行える。また,ジョブスケジューリング,ホットフォルダによる自動処理,メモリに依存しない電子丁合などの機能をもつ。Webブラウザを使い,イントラネット環境下でジョブと印刷エンジンの遠隔管理ができる。

株式会社モリサワの新製品,モノクロ・オンデマンドプリンティングシステム「RISAPRESS」(仮称)はレーザ静電転写方式によるモノクロ両面印刷を行う。解像度は600dpi,印刷速度は連続両面出力でもA4ヨコ毎分85枚,A3でも50枚/分と,高速スピードを実現。フィニッシャによる中綴じ・中折り・ステイプル,トリマー(断裁)ユニットによる小口裁断,マルチパーパストレイによるシートインサートを装備している。

上記のようなモノクロオンデマンド印刷機で先んじたのは,いうまでもなくゼロックスの「DocuTech」である。DocuTechシリーズは,ゼロックス社に1兆5000億円の売り上げをもたらしたが,印刷業ではなく一般事業所での導入が大きく貢献した。

印刷業がDocuTechを始めとする上記のような高速,高機能のモノクロオンデマンド印刷機を使ったビジネスで成功するためには,これらのシステムの長所が生かせる印刷物の受注を十分確保するための仕掛け,仕組み作りが大きなポイントになる。

ビジネスとして成功するポイント

本紙2001年8月号で詳しく紹介した,有限会社オンデマンド印刷は,2001年半ば現在で11台のDocuTechをフル稼働させ,取扱説明書を始め一般商用印刷,書籍,説明書,DMなどで,最大1000万カウント/月のビジネスを展開している。

同社は工作機械メーカーの取扱説明書の印刷からスタートした。従来の外注処理ではやむを得ず余分な部数の印刷をしたり,最新の改定情報を反映したマニュアル作成ができない,あるいは新製品リリース時に印刷工程に時間が掛かりすぎるので,原稿執筆工程に十分時間がとれないといった問題を抱えていた。これはどこでもみられる問題である。

同社の成功のポイントは「電子版下管理システム」である。このシステムは,従来の印刷会社でいう在版管理業務を電子化したものだが,冊子の中に色紙が入る場合,例えば「何ページ目に青い用紙を差し込む」といったことまで,きめ細かな管理もできる。データのバックアップやデータ検索の仕組みもきちんと作り,上記の問題解決と同時に顧客側の在庫ゼロ,省スペース化を実現した。さらに,電子データをコンバータによってTIFFファイルにできるので,ワンソース・マルチユースを可能にしていることも,ビジネス成功の大きな武器になっている。

つまり,「電子版下管理システム」と「ワンソース・マルチユース」が,設備の稼働率を保証し,仕事を集める仕掛けになっているわけである。

通販企業と組んだ新しいビジネスモデル

B2Bの通信販売企業が印刷会社と組んで,名刺,レターヘッド,封筒といった端物印刷のビジネスを大きなものにしつつある。
昨年11月現在,名刺の受注は1日平均300点。顧客への通常売価は両面モノクロ印刷で約3700円なので,通販企業の月間売り上げは,月30日として3300万円程度になる。この商売を契約している印刷会社側からみてみよう。

注文を受けた翌日発送という短納期での大量処理のため,先に紹介したような高速,高機能のモノクロオンデマンド印刷機を使い,面付けをして印刷することになるだろう。例えば,10面付けで印刷すると「300点×2面(表裏印刷)×100枚/10面付け=6000枚通/日」の印刷となる。年中無休を基本として,1カ月30日の稼働とすると,月18万通しの仕事になる。通し数をみると,大した仕事ではないようだが,通販会社の売値の半分で受けたとしても,金額ベースでは約1500万円/月という大きな仕事になる。パッケージ化された価格のうまみである。

このビジネスには二つのポイントがある。一つは,1日300点という受注件数である。
端物印刷市場を大きなビジネスにした例は,以前から存在していた。マイプリントの「イージーオーダー」「融合セールス」,そして「集中生産」を組み合わせたビジネスモデルでの展開である。

同社の場合は,小売業やサービス業など10業種以上に販売(受注)チャネルを張り巡らせて,イージーオーダーの仕事をかき集め,ハガキ印刷に4色オフセット印刷機などの高額設備を使い集中生産する形で,数百億円規模のビジネスにした。

上記の通販業の例では,既に150万以上の事業所(個人顧客数で約2000万人)が登録している。日常的に事業所で必要となる副資材を提供するプラットフォームに,名刺,ハガキの副資材としての名刺,封筒印刷物をのせた事業である。

1日300点は多いようだが,名刺を必要とする2000万人という母数からみると,コンマ数パーセントに過ぎない。ブランドが確立した通販だからこそ,高速,高機能のオンデマンド印刷機を使っても,利益を出せる仕事量が確保できている。

いずれなくなる単色枚葉印刷機

JAGATの推計によると,日本の印刷業界で現在保有している半裁枚葉単色機は5386台,全版以上の枚葉単色機は1364台である。半裁以上の2色,3色機の台数は6321台で,このうち半数を両面機とすると,約1万台の枚葉印刷機がモノクロオンデマンド印刷機の置き換え対象となる。印刷機械メーカー筋の話を総合すると,半裁以上のサイズでも単色印刷機の導入は,ここ10年で一桁落ち,両面機も半分以下になっているようだ。従って,半裁以上の単色枚葉印刷機,両面機は現在の機械の老朽化が進むテンポそのままに減少し,今後5年もすると半減することは容易に想像できる。

ただし,現在のような経済情勢下においては,やはり設備投資意欲と1枚当たりコストが,その置き換えスピードを大きく左右することになる。
設備投資面では,機械は使い切るまで使うことになるだろう。細かな計算はしていないが,価格が数千万円のモノクロオンデマンド印刷機での印刷と,従来の枚葉印刷機とのコスト面でのクロスオーバーポイントは500部強と計算された。それ以上では従来の枚葉印刷にかなわない。すると,例えば全版クラスの枚葉単色印刷機の仕事の中で,500部以下の仕事がどれだけあるかということになる。オンデマンド印刷機でインラインで処理できる製本仕様の範囲と品質は,上記のクロスオーバーポイントを変える大きな要因になる。

少なくとも現状では,「モノクロオンデマンド印刷機を使ったビジネスの最大のポイントが,カラー印刷市場と同様に,上記2例のような小ロットの仕事をいかに集めるかにある」ということを忘れてはならない。

重要な製本システム

いずれにしても,印刷業界に回ってくるモノクロ印刷の仕事のポイントは製本加工である。 上記のように,印刷機械がこれから5年程度で大きくデジタル印刷システムに置き換わっていくなかで,それと並行してデジタル印刷システムの特徴を生かせる製本システムへの移行が進むのは当然である。

株式会社ホリゾン東テクノは,PAGE2002において,Inteligent Free System(プログラム丁合機)を紹介した。丁合パターンを自由に設定することが可能で,上流のデータベースと連携させたり,先頭のジョブシートを読み取って丁合いパターンを設定することができる。従って,例えば印刷物の間にカラープリンタ出力を混ぜ合わせたり,1人1人に違った製本物を作りたいという要望を実現する機能をもっている。

同社は,操作をすべてタッチパネル上の入力でできる小ロット向けの製本・断裁システム,作業環境に配慮した糊タンクを使わない無線綴じ機,最小折り寸法20mmという小サイズの折りを得意とする折り機や,名刺カッターなど,多彩な製品をPAGE2002で紹介した。

足場を固めつつある高速プリンタ

今,印刷産業のなかで最も伸びている一つの分野は,主にフォーム業界企業が取り込んでいるデータプリントサービスである。
例えば,トッパン・フォームズの品目別売上高推移をみると,既存のBF事業の売上高はほぼ横ばいだが,DPS(データプリントサービス)は年率2桁で伸びている。DPSとは,同社が1991年に商品化した糊付けハガキ「POSTEX」などのハガキや封書フォームに,顧客から受け取ったデータをパーソナライズ化するところから,そのデータの印刷,発送までを一括アウトソースで受けるビジネスである。データのプリントには高速のデジタル印刷システムが使われる。

このビジネスの背景には,カード利用や携帯電話の普及によって,購買時点で現金を授受する以外の決済方法が増加し,郵送するDMの需要が過去5年間で24億通も増加していることがある。印刷の仕事として,今までにない新しい仕事ではない。

このように拡大する既存市場に対して,今まで蓄積してきたデジタルデータ処理能力を生かし,デジタルデータの処理,加工技術を当てはめたり,それを使った印刷だけではなく,発送までをアウトソーシングで受けることが,このビジネスのポイントである。

PAGE2002においては,富士通株式会社が世界最高速(400ページ/分)の連続紙モノクロページプリンタ装置を出品した。制御装置PS1070Aにより,メインフレームなしでマルチプラットフォームから印刷できる。フォーム編集ツールLPPLASは,連続紙ページプリンタに対応した印刷業務の統合プラットフォームで,グラフ・イメージ・文書を含んだ顧客別レポートなど,帳票のデザインや定義からテストまでをビジュアルに進めることができる。データベースのレコードデータを使用し,LPPLASの「パラメータ定義」で各フィールドの名称と属性を定義し,「フォーム定義」で帳票をデザインし,可変部分(パラメータ)を埋め込むことができる。「プレビューア」でビジュアルに画面で編集結果を確認でき,作業の効率を大幅に向上させる。

日本アイ・ビー・エム株式会社の「Infoprint2000」は,最高110ページ/分,600dpiの解像度のカット紙プリンタで,高速・高品位のプリントが可能である。「Infoprint70」は,70ページ/分の中速モノクロカット紙プリンタで,ネットワーク分散型システムに適する。Infoprintマネジャーは,Infoprintシステムの中核をなす多機能・統合型プリントサーバ・ソフトウエアである。プリントサーバ,Webサーバ,インフォメーション・サーバなどの機能があり,WindowsNT上で稼働し,大型コンピュータなしでも使える。

日本アイ・ビー・エムのパピルス・ドキュメント・システムは,ワンtoワン マーケティングの販促資料などをデザインし,自動データ生成し,印刷,インターネット配信するシステムである。非常に簡単な操作でバリアブル印刷の設定ができるので,多額の設備,運用費用をかけてデータマイニングを緻密に行わずに,それなりの仮説からスタートして,試行錯誤的にマーケティングを進められ,実用的な運用ができる点で魅力のシステムである。

枚葉単色印刷機,両面機のデジタル印刷システムへの置き換えは,先に述べたように時間の問題である。新しい分野を切り開くことによって,フォーム印刷業界に足場を固めた高速プリンタだが,従来のフォーム印刷機の代替としての位置も獲得することになるのだろうか。

■出典:JAGAT発行 プリンターズサークル 2002年4月号

2002/03/31 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会