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リッチメディアを核にWebソリューション展開

最近リッチメディアという言葉をよく耳にする。かつては,静的なホームページが多く,制作にしても参入しやすかった。この場合,会社案内やパンフレット,チラシなどのコンテンツを再利用して作ることができた。つまり印刷会社にとっては,制作過程が似通っていたことになる。しかし,リッチメディアのコンテンツは,通常の印刷物制作にはない要素も含まれてくる。 リッチメディア広告なるものもブロードバンドの追い風に乗って増え始めている。

今回は,マルチメディア・データベースとリッチメディアのコンビネーションを核にWebソリューションを展開するケイ・ジー・ティーの取締役市場開発室長吉川正晃氏と市場調査室主任齊藤充氏にお話を伺った。

株式会社ケイ・ジー・ティー

グラフィックスをキーワードにソフト開発

株式会社ケイ・ジー・ティー(東京・新宿区)は,1994年に設立されたソフトウエアの開発・販売会社である。クボタの100%子会社で,もともとはワークステーションの開発をしていた。しかし,ハードウエアの生産では厳しい時代であり,次第にソフトウエア,システムインテグレーションのビジネスに集中し始めた。

事業の柱としてのキーワードはグラフィックスだった。サイエンス向けの画像関連ソフトの開発を行っている。特に3次元ビジュアリゼーションでは,業界の中でもパイオニアとしてさまざまな分野での実績がある。ほかにも大きな柱としては,製造業向けの生産ツール,CADツールの開発販売がある。また3年くらい前からネットワーク系のソフトを販売し,データベースをキーワードに教育システムや研究開発支援システムの構築などを手掛けている。

次の市場として考えたのが,Webソリューションである。テーマとしては,ビジュアリゼーションを広く捉えてビジネスグラフィックスとして展開していくことである。Web上でのデータベースや解析,3次元グラフィックスなどの動的連携を行い,インタラクティブなWebサービスを提供していく。事例としては,製品カタログ,パーツリスト,E-コマースサイトの支援などがある。「Webはコミュニケーションツールの一つであることから印刷と重なる部分も多いと考えています」。

Webソリューションにも進出

Web上でのカタログやマニュアルなどのコンテンツ配信において,これまでのテキスト情報や静止画像だけでなく,音声,動画像,2次元/3次元グラフィックスを統合した形態が求められている。またコンテンツの配信もWebだけでなく,紙への印刷,CD-ROMなど複数の異なる媒体で行われることも多くなってきている。当然元データを一元管理したいという要望が出てくる。各企業からのニーズは,だいたい以下に集約される。

(1) 再利用可能な形で多種のコンテンツのデータベース管理ができる。
(2) 複数の顧客や媒体別に必要なコンテンツをデータベースから取り出し,効率よく編集レイアウトできる。
(3) 柔軟にレイアウト対応ができ,自動的に各種媒体に出力できる。

これらを背景に,リッチメディア需要に対応すべく同社としては,コンテンツマネジメントシステムの自動化の仕組みを提供していく。ビジュアリゼーションやリッチメディアを核としたソリューションビジネスを強化するため,アメリカで優れた実績のあるObject Publising Software社と国内独占販売代理店契約を締結し,「ObjectPublisher」の販売をすることになった。

クロスメディア・パブリッシング・ソフト

「ObjectPublisher」は,企業のコンテンツ情報を再利用しやすいようにデータベース管理し,必要に応じてさまざまなメディアへ出力できるクロスメディア・パブリッシング・ソフトである。顧客の要望やメディアの特性に応じて,必要な情報を取り出し,自動編集レイアウトする。出力はPDFやHTMLなどでできる。

電子カタログで地域別,顧客別に主要重点商品を並べ替えたり,内容が日々更新されるイベント関係の紹介ページなどの制作が容易にできる。
「ドキュメント素材管理システム」「ページレイアウト管理システム」「出力系管理システム」の3つを合わせたものが基本パッケージである。特徴は以下のとおりである。

(1) カスタム印刷機能
データベースから選択したコンテンツをルールに従いレイアウトして,用途に応じたWebカタログを作成できる。
(2)オンデマンド印刷機能
ネットワーク上で印刷ジョブを投入し,カスタム印刷機能を用いて,PDF,QuarkXPressなどの印刷用ファイルを入手できる。オンデマンド・リクエストは,例えば数万点もあるパーツリストの中から,用途や特性により必要な点数だけカタログにして見せたい場合,製品を検索し,チェックする。するとレンダーサーバからWebサーバを経由して,ユーザ側へデータを出力する。
(3)クロスメディア機能
紙媒体向け印刷用ファイル出力だけでなく,HTMLやCD-ROMなどへの出力にも対応している。
(4)印刷版組の自動生成
専門知識がなくてもルールベース・テンプレートを基に版下が自動生成できる。
(5)デザイン性の高い版下作成
データベース上のコンテンツとのリンクを保ったまま,QuarkXPressなどのDTPソフトを用いてレイアウト変更が可能,デザイン性の高い印刷物にも対応している。
(6)ネットワーク・コンテンツ管理
膨大なデータベースもWebで管理でき,リモートでコンテンツを入力・変更できる。データベースそのもののメンテナンスもXMLやJAVAに準拠し,ネットワーク上でコンテンツ情報の変更や管理を行うことができる。
(7)既存資産の活用
コンテンツ管理データベースとコンテンツ・データベースを分けてもつことが可能なため,既存コンテンツ資産をスムースに活用できる。
(8)Web「4クリックナビゲーション」 ブラウザ上で動作するJavaアプレットがデータベース階層を必要に応じて検索・保持するためブラウザ閲覧情報の高速検索が可能である。

パートナーシップを目指す

同社としては,印刷会社とバッティングすることを避け,むしろ黒子に徹して幅広くパートナーシップを組んでいきたい考えである。印刷会社と手を組み,エンドユーザに提案し,電子印刷・編集の支援を行う方針である。

今後は,データベースの構築と維持が問題であろう。対象としてはアイテム数が多くて,製品サイクルが長いものが向いている。今のところ製造業や流通業などの企業を想定している。また今後ASP事業の展開を検討し,実施したいと考えている。今後3年間で約10億円の売り上げを見込んでいるという。(上野 寿)

■出典:JAGATinfo 2002年4月号

2002/04/17 00:00:00


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