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1人が1年間に売り上げる額は?

〜印刷界OUTLOOK2002(3)〜

2002年4月1日

●印刷業の売上高は10年前の水準に

 経済産業省の「平成12年工業統計表 産業編」(概要版)によれば,2000年の印刷業の売上高(製造品出荷額等)は7兆811億9000万円となりました。10年前と比較すると,7兆1789億8500万円から1.4%減少しており,前回の1998年が7兆5554億5400万円ですから,大幅に落ち込みました。景気低迷のなかでも98年までは増加基調にあり,2000年の落ち込みが目立ちます。90年代半ばから進展したDTP化,デジタル化に伴うプリプレスの加工度の低下と,受注競争の激化による受注単価の下落が原因と考えられます。特に,98年ごろはほぼDTPが普及,またインターネットが急激に普及し始めた時期でもあり,多メディア化がいっそう進みました。また,景気低迷による各企業のリストラ,企業統合や合併など,クライアント側の厳しい状況も影響したものと考えられます。
 2000年の売上高は,製版業6304億2300万円で,90年より11.8%減,製本業は2632億1600万円で,同2.6%減,印刷産業では8兆1378億2000万円で同2.3%減となりました。

●印刷業の1人当たりの売上高は2088万円

 2000年の1人当たりの売上高は,印刷業では2088万円で,90年の1956万円から6.7%増,製版業が1350万円で同1152万円から17.2%増,製本業は1041万円で同987万から5.5%増となりました。印刷産業全体でみると1900万円で,90年の1759万円から6.4%増となっています。この10年間で全体の売上高は減っていますから,1人当たりの売上高の増加は,生産性の向上を意味します。
全製造業では,2000年は3130万円となっており,90年の2775万円から12.8%の増加となりました。1人当たりの売上高では,全製造業の平均と印刷業では大きな格差があります。この10年間の伸び率をみても,倍近い差があります。各産業では,より高い生産性を達成するために工場における自動化,コンピュータによる統合生産(CIM)などを導入して効率化を行っています。印刷業は競争激化による受注単価の下落など,非常に厳しい状況にありますが,他産業同様にFA/CIMの導入や工程を見直し,いっそう生産性を向上することが求められます。

プリンターズサークル 2002年4月号より)

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2002/04/18 00:00:00


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