各所に分散していた工場を集約して間接経費削減をはかるとともに,同一工場内で仕事を完結させる一貫化によるトータルの生産性向上のために新工場を建設、その中でFA化を実現している。生産システムは大幅に省力化され,インラインの製本システムに連結した4色オフ輪2台が,本刷りに入れば1名で運転可能というところまで省人化された。フォークリフトが走り回ることはなく,用紙の搬入も生産管理情報システムと自動倉庫,無人搬送車によって印刷機にジャストインタイムで届けられる。
印刷機から独立した製本ラインでは,刷り本が自動倉庫経由で無人搬送車によってジャストインタイムで供給され,ライン化された製本システムは丁合いから製品まで一気に加工する。雑誌にはさみ込むハガキへの宛名印字,郵送のための宛名印字を高速プリンターで行うシステムを組み込むことは特別なものではなくなった。
高速化する印刷機における品質管理はオペレーションの出来,不出来頼りでは話しにならないから,機械の保守をきちんと行い,工場内の環境条件をコントロールすることで標準の印刷物は機械任せでも出来る水準になっている。
さらに強まる価格低下、短納期要求に対応するためには、今まで取り残されてきたホワイトカラーの生産性向上、業務処理のスピードアップが不可欠である。また、経営資源を有効に活用しながら顧客の多様な要望を満たしていくためには、外部組織とのコラボレーションを強めていかなければならない。そのためには、リアルタイムでの情報流通、変更に対する迅速なレスポンス、インテリジェントな処理(自動処理、ナレッジベース)を可能にする管理情報システムと通信ネットワークを駆使したB2Bのコミュニケーション環境を構築,運用していくこと、つまりIT化化が不可欠である。
既存の印刷物市場が成熟化し供給力過剰に陥った印刷業界は、いまのままでは縮小均衡以外の道はない。したがって、紙媒体と電子媒体の共存をロスなくできる環境をつくり、顧客の情報発信支援を新たなビジネスとして広げると共に、印刷物提供に付随して過去から行っていた派生サービスを含めて、ITを使ってさらにサービス価値の向上をはかっていかなければならない。つまり、eビジネスの展開である。
この1,2年で、オフコンベースの管理情報システムをクライアントサーバー型システムに移行する企業が増えている。しかし、DF.CIP4と騒いでいる割には、入力の重複を省くことは意識されていても、上記のような次の展開を視野に入れた作り替えについては無頓着な企業が多い。
(出典 JAGAT 発行「2002-2003 機材インデックス」ー工程別・印刷関連優秀機材総覧―)
2002/08/26 00:00:00