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多様化する印刷方式の選ばれ方

両面専用機と兼用機

2002年4月に行われたIPEX2002では、世界の主要印刷機メーカーがこぞって8色両面印刷機を出した。4C/4C印刷専用機と片面8色印刷・4C/4C印刷の兼用機がある。
前者は、両面印刷の生産性向上と短納期対応を主眼とし、枚葉印刷機が小ロット化対応が進むオフ綸との境界ロットを押し上げる設備として捉えることができる。
人員削減の点から、4色機の入れ替えを機に2〜3台の4色機を8色機に置き換えていこうと検討する企業もある。一方、仕事が小ロット化する中で、老朽化したオフ綸の入れ替えに、この4C/4C専用8色機を入れるオフ綸業者も出てきているようだ。

片面8色印刷・4C/4C両面印刷兼用機では、4色以上の刷り色を使う高品位印刷にも使える点が特長である。高品位印刷は、数年前にかなり騒がれたが結局普及しなかった。実用的なプリプレス工程での処理ソフトが出なかったことや4色以上の補色印刷ユニットを持つ多色機を設備している印刷会社が少なかったことなどによるものである。
前者については、PRINT01において、当時のクレオサイテックスが新しい高精細FMスクリーニングStaccatoをオプションとして使用するSQUAREspotサーマルイメージング採用のLotem 800 Quantumを出した。一方、高品位印刷だけのためにユニットを増やすことは採算面からためらわれたが、両面4色印刷を狙って入れた8色機を高品位印刷にも使うとなればリスクは少なくなる。片面8色・両面兼用機の導入増加は、再び高品位印刷への関心を高めるかもしれない。

次々に出される新しい印刷方式

平版印刷機が対象とする市場には、電子写真方式のデジタル印刷システム、オンプレスCTPなど、次々に新しい印刷システムが紹介されてきた。IPEX2002 では、オンプレスCTP印刷システムが出揃い、ハイデルベルグ社のNexpressやゼロックスのiGEN3が新しいデジタル印刷システムとして発表された。また、実用機として紹介されたDICOウエッブが注目を集めた。

DICOウエッブは,特殊なテープを版面にあて、そのテープにサーマルレーザーを当ててテープ上の特殊樹脂を版の上に転写する。その後、版をヒータで加熱すると転写された樹脂が版に定着して画像部となる。画像部の膜圧は1.5ミクロンで、版の耐刷力は3万枚である。
印刷後は、洗浄液と布を使って画像部を除去することによって、200回まで版を繰り返し使うことができる。版の寿命が来たときにはスリーブ状の版をシリンダからはずし、新しいスリーブを取り付ける。
DICOウエッブの方式は、印刷向けの画像形成方式の点では他に類を見ないないものだが、運転作業内容の点から見ると、ある一定点数までは仕事が変わるたびに版を取り付ける必要がないという意味で、印刷機に内臓されたCTPを機上で製版し印刷するオンプレスCTP印刷システムと似ている。

KBAは、ユニークな同配列とキーレスインキングユニットを持つGENIUS52を発表した。圧胴は1本で、圧胴の1/4ほどの太さの4本の版シリンダーが圧胴の周囲に120°ほどの角度の中に配列されている。したがって、紙は1度圧胴に加えられると咥え替えなしで4色印刷が行われる。圧胴には紙の咥え爪が4セットある。
使用される版は水なし平版で、版胴への版の装着はセミオートで行える。版には、版胴と同じ径のアニロックスローラとフォームローラを通ってきたインキが供給される。
GENIUS52 の最大の特徴は、アニロックスローラを使ったキーレスインキングシステムを採用していることである。アニロックスローラを使うので、印刷濃度全体を上げたり下げたりすることは出来ないが、版上に供給されるインキ量は安定する。また、インキングローラと版胴が同じ径なので、原理的にはゴーストはでない。

重要な選択基準になる汎用性

以上のように、新しい印刷方式が次ぎから次ぎへと出されてくるが、それらの評価、位置付け、選択はなかなか難しい。
生産性や市場ニーズへの適応性において、各方式の特長がオーバーラップする部分が多くなるからである。また、ロット、サイズ、使用印刷用紙、あるいは許容品質の下限、売価の上限といった従来の選択基準に加えて、今後はプリプレス側で用意されるのがデジタルデータであるという状況やジャストインタイムでの生産・デリバリも加味して考えなければならないからである。

市場全体のなかで見れば、各印刷方式それぞれが他の方式よりも適する領域はあるのだろう。しかし、実際に設備を導入して利益を出そうとする個々の印刷会社単位で見ると、許容品質の下限と売価の上限をクリアすることを必要条件として、その設備が狙う市場からの仕事量の見込みが大きな決定要素になる。一般論として見ると、印刷会社が扱う仕事の幅は広いから、ある特定の仕事への適性というよりも、汎用性が印刷方式選択における重要な要素になるだろう。
少なくとも現時点では、多くの印刷人は従来の印刷方式により高い汎用性を感じているのではないだろうか。

(出典 JAGAT 発行「2002-2003 機材インデックス」ー工程別・印刷関連優秀機材総覧―)

2002/08/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会