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2002-2003機材インデックス 校正・刷版

■デジタルプルーフ
5月にイギリスで開催されたIPEX2002ではハイエンドDDCP市場が特化されつつあるようで,コダックのアプルーバルは紙器市場向けに,軟包材のバックなどに使われる白インキのシミュレーションをデモしていた。欧米では最終色校正としてインクジェットプリンタの認知が進んでおり,IPEX会場でもハイデルベルグや小森コーポレーションなどの印刷機メーカーは,ハイエンドDDCPではなく,インクジェットプリンタをブース内に設置していた。
インクジェットプリンタでは,網点再現を行う方式が数多く提案されるようになってきた。サカタインクスが扱うベスト社のスクリーンプルーフ,コンポーズ社,カラーバス社,GMG社,ソフトウェア・トゥーのロゼッタ・スタープルーフ,コムテックスのブラックマジックなど多彩である。
クレオ社のIRISの後継機種にあたるVerisというドラム型インクジェットプリンタはコンティニュアス方式で,A2サイズで解像度が1500×1500dpi,マルチドロップアレイ技術により文字品質再現に優れ,2ポイントの文字まで可読できるという。
客先のプリンタに校正を出力しようというリモートプルーフに対応して各社からさまざまな提案がされている。ベスト社のリモートプルーフ・コンセプトは,A地点からB地点にデータを送り,A地点での色の測定値とB地点での色の測定値を比較し,色差が許容差内にあるかどうかを判定するもので,グレタグマクベス社のi1分光光度計がOEMで付属する。測色値やカラーマネジメントの設定といった情報をJDFの形でPDFファイルにエンベッドして転送する。つまりPDFファイルを出力時にチェックしてカラー品質を保証しようというもので,印刷用PDFのようにPDFコンテンツにプロファイルを付けてお互いにやりとりしようというものである。その他に高解像度の画像データを高速に画面表示するリアルタイムイメージ社のリアルタイムプルーフなどもある。

■CTP
IPEXに見る傾向は,小型機の充実とサーマルとバイオレットのせめぎ合い,CTCP(普通のPS版が焼けるCTP)の進歩,そして近未来のプロセスレス技術である。CTPメーカーは大型機から小型機までラインアップするところと,全自動から手動までをラインアップするところの2つがある。各社とも無人化を図るためにマルチカセットで300枚から500枚のプレートを連続供給でき,20版/時出力のCTPを25時間連続無人稼働するところまできた。
クレオ社は専売特許であるスクエアースポット技術を元サイテックス社のローテムにも搭載してきた。大日本スクリーンのプレートライト・ウルトラはA4換算で2ページから最大32ページまでのマルチフォーマットである。32,16,8,4,2の5段階でサイズの違うプレートを処理でき,最小サイズ500×370mmから最大サイズ2382×1270mmまで扱える。ツインヘッドを搭載し,菊全サイズのプレートを2枚同時に露光ができるが,この露光ヘッドは独立して別々に動くので,全く違うデータが同時に処理でき,菊全サイズを1時間に30枚出力する。またGLV(Grating Light Valve)という新技術のレーザー光源技術が搭載されている。富士フイルムはバイオレットCTPのLuxel V-9600CTPとLuxel V-6000(菊半サイズ)を出した。アグフアはバイオレットCTPで先行しており,約300台を販売しているが,Xカリバー45という新開発のサーマルCTPはB全対応の外面ドラムセッタで,ここにもGLVが使われている。ハイデルベルグはサーマルのトップセッターとバイオレットのプロセッターを持っており,バイオレットは低価格,サーマルはロングラン向けである。エッシャーグラッド社のバイオレットCTPでは,A4からB2まで対応(最大610×736mm)のCobalt-4は本体価格700万円,B1サイズのCobalt-8は本体価格が1300万円である。
日本以外の新聞市場でアグフアのCTPは40%以上のシェアを持っており,欧米では製作システムのPostScript化が進んでいて新聞CTPが普及している。新聞のCTPは出力解像度こそ1000dpi程度であるが100版/時という高速出力に近づきつつある。

■CTCP
普通のPS版が焼けるCTCPの新顔,エスコグラフィックス社のニューダイコンはdrupa2000で発表されたが新聞向けで100枚/時の出力を目指している。日本では東洋インキが扱っているベイシス社のUVセッターは欧米では新聞用途が多いようだ。UV-Setter710-f/f2という新製品は解像度が最大3000dpi/250線に向上し,露光スピードも従来タイプの2倍,精度は±2ミクロンとなっている。露光ヘッドに採用したTI社のデジタル・マイクロミラー素子(DMD)で作成した網点は非常にエッジがシャープなハードドットとなるので,印刷時に点減りもドットゲインも少なく,品質が安定する特徴がある。UV-Setter710-f2は,露光ヘッドを2つにすることでさらに高速化したタイプである。菊全版を1時間に25枚(1500dpi・画像面積率50%)露光できる。

■第2世代のCTPプレート
富士フイルムはIPEXで参考出品も含めて5種類のCTPプレートを展示した。@商業印刷用バイオレットCTPプレート「LP-NV」(参考出品),A商業印刷用フォトポリマー「LP-N3」,Bプロセスレスサーマル「LD-NS」(参考出品),C商業印刷用サーマル「LH-PSE」,D新聞用フォトポリマー「LP-NN2」の5種類である。KPG社は,DITP GoldプレートとSwordサーマルプリンティングプレートを発表した。前者は高感度,高解像度化が図られたサーマルプレートで,後者はプレヒート/バーニング不要で40万枚の耐刷力を持つポジタイプのサーマルプレートである。技術展示した3種類のプロセスレス・サーマルプレートは,アブレーションタイプ(膜を完全に焼きとばすタイプ,湿し水でふやかした後インキローラで膜除去する湿し水現像タイプ),もう1つが相変換のスイッチャブルポリマーで,旭化成でも研究している。アグフアのサーモライトプラスはDI印刷機向けのネガタイプのサーマルプレートで,drupa2000での発表品を改良し耐刷力を3万枚から10万枚まで向上している。
プレステック社はCTPやDI印刷機用のサーマルイメージングヘッドのプロファイアーをリョービや桜井,ゼロックス等のさまざまなメーカーにOEM提供している。IPEXではアプローズというアブレーションタイプのプロセスレスプレートを発表した。デブリが全く出ないのが特徴である。
日本フォトケミカル(株)(千葉県長生郡 TEL0475-40-3871)からも三井化学(株)と共同開発した無処理タイプの校正用サーマルCTPプレート「グリーンプレート」が発表された。本刷り用CTP版も開発を進めており、来年には平台校正機の自社ブランド上市も計画している。

■FMスクリーニング
CTP時代になって本領を発揮してきたのがFMスクリーニングである。クレオ社のストキャトはモアレが発生しないというメリットの他,印刷品質も安定し欧米のユーザはインキの使用量が減っているという。富士写真フイルムのコアスクリーニングはAMスクリーニング的であるが人間の目の視覚特性を利用して,出力解像度2400dpi程度で300線相当の画像品質が得られ,高精細化が図れる。出力解像度も1200dpi程度で175線相当の画像品質が得られるので,従来品質のままで生産性向上(出力スピード向上,データサイズ縮小)するという。

■出典:JAGAT 発行「2002-2003 機材インデックス」工程別・印刷関連優秀機材総覧
(コンテンツは「テキスト&グラフィックス研究会」より)

2002/08/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会