本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

今、企業に問われる「資格」と「内実」

振り返ると、少し前まで企業が利潤を最優先するのは当たり前であった。世の中もそのためには少々のことは目をつむってくれた。昨今の企業の信用を失墜させる出来事も、ずっと前からやっていたことは多くの人が感づいていた。なぜ今になって問題視されるのか?
今では輸出に関係ない中小企業もISO9000を取得するケースが珍しくない。一昔前なら、もうからないことになぜ努力するのか?と疑問に思われたかもしれない。しかも品質の次は環境、安全……と企業に問われる「資格」は増えつづける。何か経営をとりまく流れが大きく変わってきたことがわかる。

右肩上がりの時代は、仕事は処理能力の高さが先頭グループの条件だった。しかし成熟社会ではモノ以外の充足も合わせて求められるようになった。それが顧客をひきつける力、仕事をひきよせる力として重要になっている。
不景気だからリストラをする、というだけでは企業の中の求心力の喪失していく。働く意欲を起こさせる「何か」が欠落して、有能な社員までもが「金の切れ目が縁の切れ目」になって、帳簿はバランスしても組織としては次なる目標に立ち向かう力も無くしてしまう。そんなことを危惧する会社が増えた。

何に向けて社内の人々や、会社を支えてくれる社外の人々のベクトルを合わせていくのか。つまり経営は何を目指すのか、どのようにして力の結集ができるのか、というところから問い直すことが始まっている。
2001年には経営シンポジウムでマーケティングを考えた。そのあとの記事「印刷業に必要な現代的マーケティング力」では、「利潤は結果であり目的ではない」というドラッカーの考えを引用している。社外役員制度でも、ISOの認証などでも、元々株式会社は社会の賛同を得て外部に開かれた経営をするもであるから起こることである。

実際に「大企業=信頼」という式が崩れてきた。商品やサービスの質に対する信頼性は、CIなど表面的なブランド戦略ではごまかされなくなり、企業の姿勢はISOの認証に代表されるように第3者の目で審査されることが増えた。ISOを取得した印刷業の半分は、やって自社の基盤強化につながってよかったと評価しているが、まだ自己評価を戸惑うところも少なからずある。

このような認証・資格は前述のようにISO9000やISO14000だけでなく経営全般に広がり、例え国内産業でもグローバルな視点での経営が求められる時代になりつつある。プライバシ・セキュリティなど対得意先に関する体制や、また社内の人事面でも職能資格の制度化など、ビジネスというゲームへの参加資格は、より優れたパートナーを求める潮流の中で厳しくなる一方である。
資格取得などを後手で追いまわして疲弊するのではなく、どんな資格が出てこようとも応えらるような企業理念を先に掲げることを考えなければならない。企業の取り組みもとりあえず認証の形式を整える段階から、そのプロジェクトを足がかりに社内の課題を標準化・制度化して、社風・コーポレートカルチャ・体質作りにまで進めて定着させることが目標になるべきである。

これから社会に対する企業の姿勢を表すには、社内制度の整備とその円滑な運用が必須で、これらはトップマネジメントの重要な要件になった。JAGATでは、来る10月23日(水)に、経営シンポジウム『今、企業に問われる「資格」と「内実」(仮題)』を予定している。ここでは、どのような姿勢が企業に問われているのか、それに対して業務の中でどのように社内制度化に取組むかを採り上げ、基調講演では企業の社会的使命と存在意義に関する最近のマネジメントの考え方を、三宅隆之先生から伺う予定である。

関連イベント
 JAGAT経営シンポジウム2002(場所:東京・虎ノ門/発明会館ホール)

2002/09/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会