アメリカではeLearningが非常に進み始めたが、日本ではまだ幕開け前という段階である。当然すでに企業や学校で取組んでいる例はあるが、利用者側から「あって当然の選択肢」とはまだ思われていないだろう。
アメリカでeLearningが進むのは、元々通信教育など遠隔教育といいうのが社会的に根付いているからである。長い歴史と共にあらゆる通信教育がある。とりわけ社会人向けのものは多くあり、通信教育以外に「本物の学校もある」ほどではないかと思う。これに似たような話はどこかで聞いたことがある。
そう、ECについても、元々アメリカでは通信販売であらゆるものが売られていた。シアーズやモンゴメリーワードなどのカタログは百貨店丸ごと売っているようなもので、生活のすべてがあった。通販の顧客は何千万人規模に上った。田舎に住む人にとっては、都会には「本物の店がある」という認識だろう。
要するにEC、eBusinessの爆発は、通信販売のコミュニケーション手段がWEBに変わっただけのことかもしれない。必要なのはモノであって、手段は便利になったらそれを使おうかということだろう。eLearningでも必要なのはコンテンツであって、手段は副であろう。
通教・通販ともにアメリカの風土・文化に根ざした方法で、「あって当然」なのである。アメリカは義務教育でさえ家庭で行って、テストを受けるだけで進級できるほどだ。技術がブロードバンドになったからアメリカのように通教・通販ができるというのは大変飛躍した論法に思える。
しかし日本にブロードバンド技術の恩恵がないといっているのではない。我々が頭を使わなければならないのは、アメリカ流のものを日本に持ち込むメリットと日本固有ニーズとのバランスであって、それはきっとアメリカと少しニュアンスの異なったものとなって発展するものだと思う。
日本では子供達が、10年前はポケベル、今は携帯でコミュニケ−ションしている日常の生活様式の中に、教育を補助する仕組みをうまく持ち込む工夫が、これからきっと行われていくであろう。
■出典:通信&メディア研究会 会報「VEHICLE」162号(巻頭言)
2002/10/05 00:00:00