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認証取得で企業が強くなるには…

藤本義一氏が母校のラグビー部を訪れるについて、おみやげにハーバーガーを持っていこうとして、マクドナルドに寄って100個注文したら、「こちらでお召し上がりですか、お持ち帰りですか」と聞かれたという経験を書かれていて、これは状況を考えずに受け応えを一律にしていることの批判であった。
しかしこれは店員の責任ではなく、マニュアル化された業務の進め方の問題であり、こういう特殊なケースは目をつぶって、大筋としてはマニュアル化のメリットを考えたいとする管理者も増えているだろう。

マニュアル化の矛盾は我々の身近にもある。得意先がISO認証を取得したために、印刷物の受け入れ検査が厳しくなり、納品した製品マニュアルの表紙のベタに少しムラがあるとか、軟包装の色が少し違うなどで、とりあえずの得意先基準に合わないという理由で、全印刷物がロットアウトになってしまったような話も聞く。

印刷物は返品されても再利用するとか、安く別の所に売るわけにはいかないものなので、全部廃棄処分をしなければならない。今までエンドユーザには通用していた印刷物が利用されずにゴミになるのは、全体としてはコストアップであるし、資源・エネルギーの無駄を考えても地球に優しくない。

だがこんな矛盾をはらんだ状況が今後ずっと続くとは考えられない。一般論としては、何事も大きな変革の後には行き過ぎや後戻りがあって、このような予想外の環境と摩擦を起こしながらも、次第にお互いがこなれて、新たな習慣が根付くものである。我々の課題は、良かれと思って進めているにもかかわらず、過渡的な「裏切り」現象に遭遇したとしても、右往左往しないでめげずに最初の意思を貫き通せるかどうかである。

ISO認証取得などを「風潮」とか「取引条件」として受け止めて後追いするのではなく、それらを総合的に先取りした企業理念を考えなければならないことを、「今、企業に問われる「資格」と「内実」」では述べた。そういう企業理念の確立を目指しながら認証取得のプロジェクトをすることが、これからの時代にあった社風・コーポレートカルチャ・体質作りに有効であると考えられる。認証取得などは新たな経営のきっかけに過ぎないのであって、その先に少々の矛盾があっても乗り越えていく志がないと、資格取得の努力もその投資も活きない。

では、どのような考え方をすると資格取得などの積み重ねが企業を強くするのだろうか。三宅隆之氏は最近出版された「社会的使命の経営学」(中央経済社)において、「ミッションマネジメント」の概念を紹介し、企業の社会的使命を明確にすると当時に、具体的には全ての事業をミッションの実現に向けて統合するマネジメントを説明している。今日では従来の経営理念で包括できないことが多々あって迷いが生じやすいが、企業理念を再整理・再構築するひとつのヒントになるものと考えられる。

来る10月23日(水)のJAGAT経営シンポジウムでは、JAGAT会員企業の活動報告とともに、基調講演として三宅隆之先生からミッションマネジメントの実践についてお話を伺う予定である。

関連情報 : 今、企業に問われる「資格」と「内実」

2002/10/03 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会