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自社PRはしていますか

第44回テーマ(2002年11月号)

印刷を取り巻く環境はこの1,2年間にもう言葉で表すことができないほど変わりました。
社会の変化,経済の変化,顧客の変化…等々。
今回の「自己PR」の件についても今までの感覚から抜け出すために私は自社の「ホームページ」を,「ただ単にネットに載せておいて安心」というのではなしに「会社案内」の代わりに積極的に利用し,顧客に見ていただけるように進んで働き掛ける,そういう時代(上場会社の大半は既にやっています)に突入していると感じています。
言葉では「2005計画」とか「情報産業」と聞きますが,私の知る限りでは小企業の印刷会社の大方はまだまだ「自社のH・P作成」に関心が薄いようです。当社もDMを作成し発送するおり,「H・P」を見てもらえるように「アドレス」に注意し作成しています。1週間か2週間すると100〜200くらいカウントが増えています(統計を取っています)。自己PRとはそういうことだと私は思います。

(匿名希望)


過去にコンサルタントを入れてCI計画を行ったことがあったが,よくあるように世間体を良くするというか体面を整えることに終始したものであった。それでもリクルート用には一時的に効果があったと考えているが,内実とかけ離れたPRをしても,自分たち自身のためには大してならなかったように思う。
つまり,あまりにも受注にフォーカスした自己宣伝よりも,自社のいろいろな面の本当のところを分かってもらった上で,目線を合わせて話し合いができるようにするためのPRをするほうが中小企業に合っているような気がしている。特に地域との結びつきという点では,企業の体裁がいいというよりも親近感をもってもらうことのほうが重要なのではないか。
売り上げという点では,どうしても東京の仕事を取ることが優先になりがちだが,昔,創業者がやっていたような,近所への印刷ノベルティの配布とか,地域イベントのお手伝いなど,地場にしっかり足をおろした活動も,もっと力を入れていかねば,と思っている。
(匿名希望)


営業マンは最大のPRツールである。
印刷会社はPRのお手伝いをしていながら,PRが下手なことは正直に認めます。紺屋の白袴,医者の不養生など印刷に限ったことではないだろうと思います。だた大きな問題は,新規開拓も視野に入れた会社全体のPR下手ではなく,日常の営業活動での営業マンの宣伝下手は「致命傷」となるので早急に対策が必要と感じています。
なぜなら以前は,クライアントがイメージしている印刷以外にそれほどのPRは不要であったし,大きなイメージのズレはありませんでした。ところが,ここ10年余りのデジタル化に波の中で,印刷がメディアとして相対化され,メディアの選択が当たり前になった時代で,営業マンがどのように自社のサービスアイテムを上手くPRするか。技術の説明ではなくクライアントニーズに合わせたビジネス創造ができているかいないかで大きな差か生じると思います。
毎日,顔を出しているにもかかわらず,印刷以外の仕事には声が掛からない,ライバル社の安値受注だと思っていたらコストダウンシステムの提案が出されていた,紙やインキの環境情報の不足から,他社に比べて不熱心だといわれた………。このような結果を見逃してはいけないと思います。
営業が制作業務に忙殺され,PRを「面倒だ」と思った結果なのか,自社のサービス事業があるにもかかわらず,PRツールがないのか,自社自体に対応能力がないのか。PRに費用を掛ける前に,営業マンが自社のPRができるかどうか,その訓練が必要であるとつくづく思います。
(某中堅会社・課長)


県内での知名度を上げるために,PR活動としてテレビ媒体とラジオ媒体を使って,自社の宣伝活動をしています。
テレビスポット広告を週5本,ラジオスポットを日2本。内実は放送局が得意先でもあり,バーター取引の意味合いが強いわけです。
しかし,宣伝効果はあると思っています。新卒者を採用するにあたっても,当社が県内人気企業にランクされており,優秀な人材が集まります。
また,営業マンが新規開拓のために飛び込みセールスしても,当社の社名は知っていてくれますので,営業しやすい面もあります。新規受注できるかどうかは,営業力の問題になってきます。
この他に,広告になるかどうか分かりませんが,販促の一環として月1回のゴルフコンペを主催しています。プレイフィーは参加者負担,世話役と若干の景品は当社負担で,20年近く継続しています。参加者は常連も多くヘビーユーザ獲得にも効果を上げています。
(匿名希望)


ネットワーク時代になったことで,自社PRは印刷メディア,電子メディアであれ自在となった。自社PRするしない,方法論より,PRするに足る差別化ポイントを自社がもっているかどうかが重要ではなかろうか。
自社を棚上げにして言えば,印刷業のホームページをのぞくと,従来の品質,納期,信用に加え,DTP・マルチメディアなどの技術対応を付加した,定型的な自社PRが多いのが気がかりだ。
十数年前に見学させていただいた会社で強烈な印象を受けたことがある。刷版工程の主任から,「わが社をご覧になった感想はいかがですか?」とたずねられ,さらに懇切な工程説明を受けた。「印刷業は黒衣」といわれるが,現場の技術者が自社を意識してきちっと外来者にPR応対できる会社は少ない。
―その社名は静岡県にある(株)エイエイピー。全国の旅館・ホテル業ほかへのコンサルティング,広告企画〜制作を実践される,業界でも良く知られた印刷業である。
この機会に,エイエイピーの社名について総務の小長谷氏にたずねたところ,「1953年熱海美術印刷社創立,1968年社名を(株)エイエイピーと改称。AAPとはアド(広告),アート(美術),プリンティング(印刷)の略称。1988年社名は同じで,アド・アート・プリンティングからアド・アート・プランニング(企画)へ変更」とのこと(同社は1988年に印刷を超えていたのだ)。
自社の成長に合わせ,「蝶のさなぎ」から「蝶の蝶」というふうに,社名は同じでも内実を変え,自社PR・訴求される内容を変えていく。これこそ自社PRの原点ではなかろうか。
依頼されたテーマは自社PRだったが,エイエイピーさんのPRになってしまった。わが社もがんばらなくちゃ……?!
(匿名希望社長)


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2002/12/04 00:00:00


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