本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

電子カタログも製作、管理、配信サービスの時代へ

ビジネスがネットワーク上へシフトしようとしている中で、電子カタログの役割が注目され、製作、運用する環境も大きく変わろうとしている。
eコマースという点では、コンシューマを対象とするB2Cよりかは、今B2Bとしての利用が確実に進もうとしている。最終的にはB2B2Cと言われる一般消費者がおりサプライヤー業界があり物を製造する業界があると形になる。ここでこの3者が共通して利用する情報が電子化された商品カタログである。
このような背景の中で、今B2B E-コマースおよびSRM(サプライヤー・リレーションシップ・マネージメント)向け電子カタログのインフラ・ソリューション分野が注目を浴びている。電子カタログは、ただカタログの電子化を行うのではなく、サプライヤー間で共有し交換しながら利用できる仕組みが必要である。そこで電子カタログを流通するためにインフラとしてのソリューションが出てきている。

その中でポエトソフトウエアが提供するeサプライヤーリンクは、カスタマイズされた電子カタログの作成、メンテナンス、供給を行うサプライヤーの業務を考えたソリューションである。データ変換、カタログ管理などのインターフェースを提供している。
また2002年の3月には、B2B向け電子カタログ提供のビジネスモデル策定を目的としたコンソーシアム「日本B2Bコンテンツコンソーシアム」がSAPジャパン、NTTデータ、コンパックコンピュータ、サン・マイクロシステムズ、大日本印刷、日本アイ・ビー・エム、日本ユニシス、富士通により設立され、企業の製造部門、研究開発部門における間接資材、通常工場系MRO商品などのB2Bサイトへの電子カタログ提供のビジネスモデルを検討している。
同様にNTTコミュニケーションズも「電子カタログ編集配信サービス」として、メーカ・ベンダのもつ様々な形式のカタログ情報を共用データベースに格納し、各E-コマースを行う企業向けにXMLを用いて編集加工して配信するサービスを提供している。

電子カタログを取り巻く環境は製作・管理・配信のコラボレーションモデルか

このように様々なグループから、電子カタログの作成・管理・配信というサービスが出てきているが、もとのカタログを作成するのは印刷会社である。このため印刷会社が作成しているデータから電子カタログに利用する要望はこれから増えると思わるが、逆にこれからは電子カタログから印刷物の作成ということにもなってくる。
これまでカタログの印刷物製作においては製造業と印刷業の関係で行われていたが、マーケットプレイスやその他B2B環境で扱われる電子カタログの場合は、データを製造業が利用する場合とサプライヤーが利用する場合とがある。このような場合は同じでデータを利用する側で見せ方などが変わってくるため、一つの商品データベースから自動で複数出力提供できる環境が求められる。
このような環境に対するインフラ部分のソリューションが出てきているため、製作は印刷会社で管理・配信は前述のサービス会社というような役割が考えられ、製作、製造、サプライヤーのコラボレーションモデルになりそうだ。

商品カタログサービスをマイクロソフトがWebサービスで提供

このようなコラボレーションモデルの実例として、12月中旬にサービス開始を予定しているマイクロソフトの経営を革新する企業の集いというサイト「経革広場」は、企業間の様々情報交換やサービス交換のサイトとして運営しようとしている。そこで提供するサービスは複数の業種別サービスであるが、その中にサプライヤー向け「商品カタログサービス」、製造・加工業向け「部品カタログ検索サービス」など電子カタログ関連のサービスが含まれ、製品の売り買いだけでなく、商品カタログの交換サービスなどを始めようとしている。

今回発表があったマイクロソフトが提供する商品カタログサービスの環境を支えるのは、e-BASEと呼ばれる電子カタログ製作環境である。製作会社はe-BASEを利用して商品データベースを構築そこから電子カタログを作成し、マイクロソフトが運営する総合DBにはe-BASEサーバを利用してクライアントのe-BASEから業界別の商品データディストリビュータを経てデータを変換して受け取る。さらには校正や検索・閲覧を行うサプライヤー環境にもe-BCentralというプラグインが入る。このような総合的な環境を支援しているのがe-BASE環境となっている。

B2Bを行う基本には、サプライヤー側では商品カタログ情報が必要であり、それを提供するのは製造業側という関係がある。マイクロソフトは、Webサービス技術を利用して電子カタログを必要とするサプライヤーへデータの検索や配信のサービスを提供しようとしている。
このサービスは製造業の商品データを総合商品DBに登録してカタログインデックスサービスを提供することで、業界ごとにサプライヤーが販売に利用するモデルである。このため製造業では、電子カタログを製作しフォーマット変換を行い登録を行う。さらにはサプライヤー側でチェックが行われ、電子カタログの見せ方などの変更を依頼しサプライヤーが必要とする形でデータを利用する仕組みである。このため、製造業とサプライヤーでは同じカタログを見ながら修正などを行うモデルとなる。
しかし実際の電子カタログを作成するのは印刷会社や製作会社などで、カタログの製作業、商品の製造業、そしてサプライヤーの3者で情報を共有するモデルが必要である。これが基本モデルとなり「経革広場」では商品カタログの検索や配信などの管理をWebサービスとして提供するモデルである。

このような動きは、前者の3つの企業やマイクロソフトの動きから明らかなように、今後のB2Bがらみの商品カタログの役割を示している。そしてこのような状況に印刷業はどう対応していくかがこれからの課題である。

2002/12/13 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会