印刷物生産をコントロールする工程管理の機能は、担当者のひたすらな頑張りによってなんとか支えられているがそろそろ限界に近付いている。営業部門では、受注した仕事についてまわるさまざまな付帯業務に追われて、本来の営業活動(企画提案や新規拡大等)に割ける時間はほとんどないというのが実態である。EDI実現による社外を含む情報伝達の効率化によって、ホワイトカラーの業務の質と生産性の向上を図ることがこれからの大きな課題である。
これから10年、今後印刷業が目指すシステム化の視点は、CIM、EDIを含む全体最適化である。しかし、この動きはまだ始まったばかりである。
Page2003コンファレンスのMISトラックではその全体像を把握するために、全体最適化の基本要素について、将来ビジョン・基本コンセプト、現状、今後の動向と課題を取り上げる。
印刷産業は、見当違いのECを追い求めた結果、その反動として今ではすっかり興味を失ってしまったように見える。しかし、それは大きな誤りである。
印刷業におけるECの意義は、一般消費者まで普及したインターネット網を活用した市場拡大ではなく、得意先、協力会社、資材調達先との企業間連携による経営合理化のためにITを有効に利用するSCMの実現にある。ただし、このような企業間連携は安易な気持ちで取り組むことは危険である。一方、産業一般におけるSCMが着実に広がり、印刷産業はクライアント主導のSCMの中に巻き込まれていくケースが増えるようにも思われる。印刷業界としては、本来あるべき印刷のEC,EDI実現に向けてさまざまな課題を検討し、早急に体制を整備していかなければならない。
今回のMISトラックは、印刷業におけるBtoBに関して、今後の印刷業における企業間連携はどのようなものであるべきかを考えるとともに、クライアント側のSCMの動き、ネットワーク上で仕事を進めていくために必要となる異なるアプリケーション間のインターフェース、あるいは契約やセキュリティーに関する最新動向を紹介、印刷企業、印刷産業としてこれから何を準備していかなければならないかを整理する。
2002/12/19 00:00:00