毎年開催しているPAGEイベントにおいても,近年はITソリューションコーナーの中核をXML関連の出品社が占めるようになっています。印刷企業においても各種のマニュアルやカタログ,辞書・辞典類,電子教材などの制作システム構築にあたって,XML化に踏み切る会社が増えています。2002年7月に全日本印刷工業組合が実施したアンケート結果によれば,約2,700社の回答社の19%がXMLやHTMLなどのコンピュータ言語に対応済みであり,準備中との回答を含めると52%になっている。印刷業界でもXML Publishingを,ビジネスとしてとらえられるようになってきたと考えています。
XMLは,ドキュメントの効率的な再利用やデータ加工,電子データによるドキュメント管理の向上などを目指して開発された構造化文書記述言語SGML(Standard Generalized Markup Language)をベースに開発されたものです。SGMLは,処理の複雑さや処理時間がかかることなどから使用分野がなかなか拡大しなかったけれども,XMLはSGMLの利点を受け継ぎながらも処理が簡単でリアルタイムな処理も可能なことなどから急速に利用分野を拡大しています。
これまでの利用はトランザクション処理分野が中心で,ドキュメント処理分野での利用は,世界的規模でニュース配信を行っている通信社や新聞業界のNewsML,有価証券報告書等のビジネスレポート制作業界や公認会計士団体のXBRL,電子出版分野のJepaXなどだけで,やや低調と見えます。しかし,体裁付けの指定に使用するXSL(Extensible Stylesheet Language)が2001年10月にW3Cの勧告となったことや,ExcelやAccessなどオフィスドキュメント関連ソフトがXMLに対応し,ドキュメント処理関連のXMLツールやシステム,XML対応のDTPソフトなどが多くのベンダーから提供されるようになり,XMLの特徴を利用したドキュメント処理が本格化の兆しを見せてきています。
JAGATではSGMLの時代から,構造化文書記述言語を利用してドキュメント・コンテンツを標準化し,コンテンツの再利用や加工を容易にすることによる印刷物や電子メディア制作の効率化,クロスメディアやワンソースマルチユースを視野に入れた制作システムの再構築,管理の向上などを啓蒙テーマとして,SGMLやXMLの利用技術習得を目指した数々のワークショップ,セミナー,コンファレンスなどを開催してきました。
とはいえ,どのようにビジネスにするか? 印刷会社と言っても,その仕事内容によっていろいろな形態がある。書籍・雑誌・専門書などの出版系,電子カタログ,取扱説明書やマニュアル,辞書・辞典類,学術論文集,教材や学習参考書など,仕事内容に応じたXML Publishingビジネスのシナリオあるいはモデルを知り,自社のビジネスにあわせたシステムの再構築が必要です。
印刷におけるXMLの活用のテンポは,現状においては急速であるとは言えないかもしれませんが,これは全産業が顧客であるという業態からきています。しかし、新しいものが社会に浸透するスピードには確実にリンクしており、XMLの普及についても、全ての顧客のコンテンツを知り尽くしているという優位性が発揮されるのは、これからであると考えています。
PAGE2003では、XMLでパブリッシングを再構築しようと考えている来場者のための「XML Publishing ZONE」を設置いたします。このZONEは、XML Publishingの効率的な作業環境を作るヒントを得て頂くために、今日利用可能なXMLのツールやモジュール、XMLをベースとしたドキュメント・パブリッシング・システムなどを、来場者の方々に分かり易くご理解頂ける場となっております現在「XML publishing ZONE」では,下図のような範疇のソフトやシステムが出展される予定ですが,これらのデモや説明を出展社のブースで行なうだけでなくプレゼンテーションコーナーにおいても毎日,テーマごとに各社の30分プレゼンが無料で開催されます。どうぞご期待下さい。
XML publishing ZONEへの出展各社
1 (株)フレイマーグループ 2 アンテナハウス(株) 3 (有)フィット 4 東芝ITソリューション(株) 5 (株)総合企画 6 西日本印刷(株) 7 ネクストソリューション(株) 8 日立ソフトウェアエンジニアリング(株) 9 (株)メディアフュージョン 10 クボタシステム開発(株) 11 (株)デジタルコミュニケーションズ 12 (株)マクビーカタガイ |
XML Publishing ZONEへのご案内
PAGE2003へのご案内
2002/12/27 00:00:00