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2003年はどんな年にしたいですか

印刷会社は,自ら製造業としての位置付けに甘んじています。この製造業としてのDNAは脈々と生き続けています。
つまり,印刷物を製造して納めて対価をいただく。
いまだに売り上げることを「生産」といっている印刷会社も少なくないと思います。
しかし果たして,この印刷会社の論理は正しいのでしょうか?
多くの顧客が印刷会社に求めているのはどんなことでしょうか?
JAGATのいろいろな研修会などでも叫ばれていることと思いますが,印刷会社は製造業からサービス業に社会的な位置付けが変えられているのです。競合の顔ぶれも,印刷会社だけでない場面が増えてきているはずです。発注者側も,単に印刷物を作ってもらうことから,ソリューションを対価として声を掛ける場面が増えてきています。
お客様が対価として認めるのは,有効な成果(=ソリューション)になるサービス(=コト)です。
2003年は,営業数字がこれだけ伸びた!と考える前に,お客様が満足してくれた,お客様の役に立ったサービスやソリューションをこれだけ実践できた!ということに重点をおきます。
そして,景気低迷の状況にもかかわらず,元気にしてあげられた企業をいくつも作る。お客様が元気になり,それが当社の元気になる。元気循環をうまく回す1年を目指します。
製造業としての印刷業DNAよさよなら,サービス業としてのDNAよ早く定着せよ!

(山口・大村印刷 浜田泰)


2003年はさらに厳しい年になるでしょう。売り上げの拡大は望めません。用紙値上げによるコストプッシュなど,手を打たなければ,支出増大になり利益を圧迫します。場合によっては赤字になることも予想されます。
2002年後半から,2つのプロジェクトを立ち上げました。「中期事業戦略プロジェクト」と「徹底コストダウン対策プロジェクト」です。
前者は役員,有能管理職で編成したメンバーでスタート。3年後に全売上高の10パーセントを確保できる事業を創造する目標で進行させています。マーケットでは商圏拡大と業種絞り込み,生産技術面では,デジタル技術利用の新製品・サービス開発を目指します。
後者は各部門長を中心に,コスト見直しをさせ,コストダウン対象項目の洗い出し,目標数値,手段,実施,期間チェックなどを決定。新年早々にスタートいたします。
2003年はさらに企業間格差が出ることでしょう。一握りの優良企業とその他多くの低迷企業に分かれるはずです。何とか優良企業に近づきたいものと思います。
自助努力の上で,多くの方々のご支援をいただき,何とか目標達成したいと念願しています。
(東京・匿名希望)


2002年は大変苦労した年だった。主要得意先からの件数,ロット,色数の減少と価格下落の影響で売り上げが大幅に下がり,利益も下がってしまった。周辺の同業者もおおむね同様のようだ。
2003年は景気の回復は大きく期待できないと思う。昨年の反省を元に売り上げ拡大への努力ももちろんするが,減収でも利益が出せる体質作りをしたいと思っている。そのために社内の管理体制の見直しと強化を図る予定である。現在行っている月次単位の部門別損益要素の把握をより細部まで行い,いかに低コストで作れるかの仕組み作りに取り組みたい。
一方,将来の売り上げの柱作りも手掛ける予定。営業マンを総動員して地域の市場を調べ,商品と仕組み作りに励みたい。
(地方都市 匿名希望)


2003年は,こうであってほしいというよりも,こうなってもらいたくない,という気持ちが強い。しかし「こうなってもらいたくない」という不幸なシナリオが脳裏をかすめるということ自体,ひょっとするとミニ恐慌の可能性もあるような気がする。
何かと話題の多い都市銀行は,合併を繰り返した末にいくつも残っていないが,それでもまだ安定はしていないし,ヤマカン的にいえば全部ダメなのではないか。銀行が金を貸した時の評価資産は日本にはもうないのであって,どうあがいても金が全部戻ることはあり得ない。
そこで今日の銀行の資産で成り立つ経営方法があるかどうかだが,10年間もずるずる問題を先延ばしにしてきた企業に再起の能力は見込めない。残るは国有化のような解決方法だけに思える。
中小企業も銀行を短期の金庫代わりに使うのを当たり前だとしてきたが,そのようなことはなくなるかもしれない。資金面での自立というのは中小企業には厳しいが,このことをかいくぐるためには,自社が取引先や仕入先そのほか関連したいろいろなところにどれだけ信用されているかという点を強く意識していく必要があるのではないか。
というようなことから,外面の話ではないが,いかに意味のある魅力のあるサービスをしているか,をもっと外部に分かってもらう年にしたい。
(大阪・匿名希望)


厳しいご時世が続くなか,2003年の勝ち組はほんの一握りだけ,あとは瓦礫の山になりそう。そんななか,「負けても負けても生き残る方法」を開発したい。
いわく,「細心にしてかつ楽観的に」
(匿名希望)


IT(Information Technology;情報技術)化の進展に伴い,印刷産業は「創造的破壊」をキーワードにして,既成の印刷業における殻を打ち破り,180度発想の転換を行って,マーケティング・コミュニケーション(Marketing Communication)機能の強化を図る必要がある。
そして,事業革新の認識を新たにして広く顧客・ユーザのニーズ・ウォンツにこたえられる21世紀における情報産業の基幹産業として生まれ変わり,社会貢献をする必要があるだろう。
従来の印刷産業のイメージから脱却して物質財→情報財→サービス財としての認識を新たにし,モノの価値充足志向のマーケティングからサービス価値充足志向のマーケティングに変化・変身・進化していかなければならない。
私事で恐縮であるが2003年4月に『社会的使命のマーケティング』中央経済社より出版予定なので機会があれば,ご披露したいと考えている。
(三宅隆之)


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2003/01/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会