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ブロードバンド元年改め、ダウンロード元年

マンションの居間の窓の外に電柱があって、2002年には何やら工事をしているなと思ったら、NTTがBフレッツに入りたいかアンケートを取りに来た。「はい」と答えたけれどもその後一向に音沙汰がなかった。うちのマンションでBフレッツを希望したのは私のところだけだったので、光ファイバーの引き込み工事をマンションの持ち主が行わなかったようだった。それで2万いくら出して2002年に自費でBフレッツを開通させた。

工事業者が光ファイバから100BASE-Tへの変換アダプタを付けに来た以外にNTTからの訪問も何の説明もなく、自宅内のことは全て自分で調べて回線テストからISPへの接続をすることになる。この時判ったことは、Bフレッツの接続についての記事は雑誌に殆ど載っていないことと、ブロードバンドのコンテンツは現状では皆無に近いこと、またブロードバンドのコンテンツが見つかってもサーバの能力が十分に思えないことであった。

まずBフレッツなど100Mbpsクラスのルータは、2002年に安いものが登場したが、大方はVPN用の業務用で個人用には高すぎた。つまり企業の使っていたデジタル専用線をBフレッツ化するようなニーズが先行していて、個人ユーザ側はADSLが旬ということだろう。でも業務用と大差ない速度で1万円強のルータが登場したのは驚いた。しかもその中身はベージュのMacクラスのPowerPC604が5W以下で動作しているのだから2度驚きである。

光ファイバの個人向けは、業者が集合住宅を奪い合っているのが現状である。集合住宅内で16軒がシェアするらしいが、わがマンションはうちだけなので、100Mbpsを独り占め状態である。実行速度を計るソフトもあるが、話3分の1くらいに考えた方がいい。だいたい職場のLAN環境と同じような感じである。

コンテンツは国内では唯一TSUTAYAになる日本映画の若手監督に関するものがブロードバンドらしさが感じられるものであった。ハリーポッターの予告編もなかなかだった。しかし海外やマイナーなサイトのものはサーバーが送り出す速度が十分でないのが目立つ。つまりビットレート1Mbps級のアクセス・ダウンロードのボタンがあるサイトがほとんどないのである。現状はプログラムなどの「ダウンロード元年」とでもいうべき状態で、コンテンツもサイトも「ブロードバンド元年」はまだ見えていない。

■出典:通信&メディア研究会 会報「VEHICLE」165号(巻頭言)

2003/01/19 00:00:00


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