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工程管理で困っている点・工夫している点

弊社では「作業工程の指示」と「営業情報の伝達」を円滑に行うために,社員個々の端末に見積書,受注書,作業書,印刷指示書,納品書,売上・請求書をリンクして発行させる管理プログラムが設置されています。これにより,『だれが,どの顧客から,どれだけの製品を受注している』かを,だれでも検索できるシステムとして定着させています。
しかしながら,そのシステムを導入した当時のOSはWindows95で,OSのアップグレードに伴い新しくPCを購入すると,当然WindowsXPが標準装備されてきます。そのため,OSをダウングレードして使わざるを得ません。
また,このシステムは複雑な印刷物や特殊加工を要する製品には対応し切れず,あげく,作業指示をプリントして手書きして作業者に伝達しており,十分機能し切れていないのも現状です。
ITと情報(作業)伝達にはまだまだ苦労と課題が付きまといそうです。

(東京・匿名希望)


当社は4年ほど前にACCESS DBソフトを使って,入稿〜納期までの作業指示,特に日程指示などを行うソフトを自前で作り活用している。2年ほど使ってみて,活用しない項目の削除,必要項目の追加など一部手直しし現在運用している。
当社はチラシがメインであるのでチラシ独特の作業指示が明確になるよう工夫した。例えば表面,裏面でのタイトルやそれに伴う指示,刷色などである。特にDTPの制作方法で層別,ラフ出し,初校,校正戻り,下版段階の日程指示を細かくできるようにしている。納品も折込所持ち込み,引き取り,店舗見本など指示が必要になる。一方で印刷は1点に対し1回の処理で済むから紙の指示などは簡単で済む。チラシに関しては十分に満足しているが,一般もの例えばパンフレットやページ物,端物などに指示内容が不足し対応できていない。性格が違うものなので別途作る予定である。
進捗状況,完了に付いては特に入力していない。ずれや変更が生じた時に日程指示の再入力を行っている。現在は生産管理部門でのスタンドアロンでの利用でしかない。毎朝,昼一番に日程表を各部門に提出し確認を取っているが,変更が起きた時の情報がリアルタイムに流せていないので現場からの問い合わせが起き混乱の元になっている。
早い機会にオンラインで各部門に現状の進捗,指示情報が見えるようにしたい。また配送伝票などがこのシステムから自動で発行できるよう工夫して省力化にも近づけたい。
(地方都市 匿名)


ITを利用した工程管理,つまり工程管理ソフトの活用はもはや当たり前の話であり,当社においては完全に日常化しているため,そのありがたみすら誰も意識しないぐらいになっている。現在は,管理の仕組み上プリントアウトを伴っているが,将来的には完全ペーパーレス化を目指している。
多くの企業に共通している導入後の最大の難関は,面倒なことを嫌がる従業員が,なかなかそれを使おうとしてくれないことだ。トップ自身の意識付けがはっきりしていても,そのことを従業員に示していないなら,そうした事態は半永久的に続くかもしれない。しかし,その難関をくぐり抜けたとき,何が本当に「面倒」なことだったのかに誰もが気づいてくれる。
当社の手がけた製版工程管理ソフト「Process Job Manager」を導入していただいた各企業も,その点については,最初こそ大変だったが今ではうまくいっているとご好評をいただいている。
「紙に手書き」をやめてパソコンに移行するほとんど唯一の理由は「省力化」である。
工程管理ソフトの入ったパソコンをあつらえても,そのこと自体で売り上げ増に繋がるわけではない。誰かがやらなければならない何かをパソコンにやらせる。ただそれだけのことなのだが,今の時代,その意味と効果について理解できないことは,この先ますますつらくなるということではないだろうか。
(東京・グラフィカ大内 大内社長)


現在の進捗情報をWebで見られるようにしても,なかなか社内利用が進まない。営業でも現場でも見なくても仕事が進むのでなかなか利用されない。
このため,まず外注先から作業予定や作業管理報告を入れてもらった。すると,印刷を外注している先と加工の外注先との間で予定が自動的に分かるので非常に便利になる。同時に工務部門もいちいち連絡をする必要がなくなり作業はスムーズに流れるようになった。
外注先がうまくいっているのに社内が利用しないとなると,社内もしぶしぶ利用を始める。社内でも利用を始めれば,その良さが分かり,便利な点に気が付けば利用はされるようになる。
(匿名希望)


わが社で工程管理がうまくいかない大きな原因は,営業のいいかげんな伝票にある。
特にやり手の営業部長は,営業面では素晴らしいとだれでも認めているが,現場から見るととにかくまともに伝票を書いてくれないから手配ができずに困る。結局,仕事も大きいから最後はお召し列車で最優先で進めざるを得ない。だから,いつまでたっても改めることがないし,社長も何も言わない。
(東京・出版印刷 匿名希望)


モノづくりにおいて,素早くスムーズに作業が進むことが利益を最大にするものだと思う。だから工程管理が重要なのは常識である。しかし,現実には管理できていないので,日夜作業予定の組み換えが起こっている。過去もそうだったが,将来もそうだろう。印刷という仕事の宿命として,顧客からの「変更」が作業工程の至るところに起こる。
その分を見込んで日程見積もりでサバを読む。顧客も「サバ」は承知の上だから,原稿が不ぞろいでも出稿してしまって,原稿が現実にそろうに従って印刷物の仕様を変えざるを得なくなる場合があるようだ。
このような狸の化かし合いのような土壌で,工程管理を厳密にしても効果が出ないのではないか。そもそも管理できないことを管理しようとしていないか?という疑問がある。
某ページ物下請け専門業者は納期を守ってくれる。彼らのところではスムーズに仕事が流れているようだ。モノクロの付加価値の低そうなページ物が中心でも,所得上位にもランキングされている。
顧客と一緒になって,良い印刷物を作るために格闘するようなプリプレスまでの仕事と,刷版を作って印刷・製本するという流れ作業は全く異質の仕事なので,両者をごっちゃにして全体を管理するのは難しい。課題は何とか顧客に対して,印刷には2つの異なる仕事があるという認識をもってもらうことかと思う。
つまり顧客の信頼を得る方法が,前と後の工程では異なるから,管理の方法も全く違って当然で,前工程は客のこだわり度合いごとに管理レベルを変えねばならないし,後工程は作業データの蓄積を元に精度の高い作業設計をしなければならないというようなことではないか。
(大阪・匿名希望)


営業が受注情報を入力し,業務部門で工程別の作業指示を作成し作業を開始する。工程管理としては作業の予定や着手,完了など,今の段階の情報が把握できる。しかし大きな問題は,作業指示内容の変更が多いということである。
工程情報と作業指示内容は常に最新が見えるので,それを信じて印刷を開始しようとする。しかし,その時点で営業に部数の変更が入ってくると,そこで営業が受注情報を修正しても間に合わない。
何が最終か分からないのが今の問題である。このため修正は伝票で回す。さらに印刷を開始する場合は確定伝票を回し,最終情報としている。工程管理システムでは大量の変更に対して,どれが最終かを判断するのが難しい。入れる先から変わってしまうのでは大変である。やはり人間の最終判断が必要のようだ。
(匿名希望)


かなり前のことだが,ある広告代理店の定期的な大きな仕事を切ったことがある。売り上げに占める割合はかなりのものだったが,とにかくその広告代理店の仕事が入る週末は社内の工程がめちゃめちゃになり,ほかの仕事を含めてミス,ロスが多発する。生産性といったことだけでなく,毎週起こることなので現場のモラルの面でも大きな問題になっていた。社長の決断で切ることにしたが,結局,利益面ではマイナスにならなかった。皆して社長の決断に大いに感謝した。
(東北地区所在 匿名希望)


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2003/02/04 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会