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銀行とどう付き合っていきますか

中小印刷企業にとっては,とかく銀行は評判が良くありません。銀行側から見れば印刷業はブラックリストに載る業種。それぞれの言い分があるのでしょう。
さて,わが社の場合,銀行の歴代支店長との接点を定期的にもつようにしています。年2回上期および下期決算については財務諸表を持参し,細かく報告しています。これはどこの会社でもやっていることでしょう。さらにプライベートで一緒にゴルフをしたりして,個人的な交流も図っています。
確かに現在では,支店長の融資案件に対する権限は従来に比べて小さくなっているでしょう。幸いわが社の場合,借り入れに苦労することなく現在に至っています。
銀行との付き合いは借り入れ問題だけでなく,地域情報の入手,土地建物の斡旋などにも広がっています。現実に近年,取引銀行の支社長の紹介で市内の一等地にビル購入をいたしました。その他,新規開拓先の紹介についても熱心に協力をしてくれます。支社の営業エリアでなければ,当該エリアの支店長に連絡を取って,協力要請を親身になってしてくれます。紹介していただければ,後は当社の営業努力です。実際に銀行の紹介をきっかけにした新規開拓の成功事例が増加傾向にあります。
考えてみれば,わが社は取引銀行にとって,重要顧客であるかどうかは別として,顧客であることに間違いありません。これからも銀行とわが社の関係を良好なものにし続けたいと思っています。わが社にとって,銀行との関係は今後とも重要です。

(東京・匿名希望)


銀行との関係が微妙に変わりつつあるのは,取引の担当責任者なら悩ましい問題である。
かつて銀行マンは床柱を背に「融資をしてやる」,中小企業は間接金融の方法しかないから,銀行から借りられるならと平身低頭したものだった。そして当時はプライムにプラス○%といわゆるスプレッドもあった。
それがバブル時代に立場が逆転し,必要資金にプラスαして貸し出しするなど,銀行側の業績アップに結果として協力させられていたのですが,借りる側も運用すれば儲かるし,自分の価値(あるいは土地の担保価値)が上がっているので有頂天になってしまった人も多い。
そして不良債権に泣く銀行が,正論に戻って,キャッシュフローだとか,適正利潤とかで貸出基準を厳しく運用し始めた。大企業が倒産する世の中でメインバンクにもどこまで頼れるか分からない。かといって,第二地銀や信用金庫に鞍替えしても,資金調達が完全という保証はない。
銀行の態度の変化は,いくら正論に戻ったのだと思っても大企業の再生に数千億円単位のいわばドブに金を捨てる債権放棄など,汗水流して借金と利子を返している身になれば,納得いかないことはなはだしい。
さりとて私募債という直接金融の方法もあるが,これも規模的には限定的だ。当社のような場合は金融機関向けの私募債発行となるから,形の違った銀行融資である。
今は,よほど業績の良い会社は別にして(そういう会社は銀行取引に悩む必要はないはず),銀行に見放されれば企業存続に致命的となる可能性は大である。当面は,それぞれの立場・環境に応じて銀行と耐えがたきを耐えて付き合っていくしかない。しかし,あくまでも自社の財務的な競争力ないし健全性がカギとなることは間違いない。従って,黒字を計上し,キャッシュフローをプラスにしていくことを経営課題とする。当社の場合は,そのように考えている(雨の日に傘を貸してくれるのは1回程度とあまり期待しないことだ)。
(東京・商業印刷 総務担当)


以前は印刷会社の経歴書には,機械設備のリストがズラッと付いていたが,今時そんなものを見せびらかしていては,借金だらけかと思われかねない。
かといって印刷会社の信用を簡単に書き表わす方法が見当たらない。
今すぐなら,コスト削減・利益改善の計画書が必要なのだろうが,その先に何を考えているのだといわれると,はっきりと提示できるものはない。
同業者を見ていても,印刷という事業内容の魅力は傍目には乏しいように思えてくる。
大きな発想の転換がないと,これからの社会に必要な会社だと思われなくなるのではないかと心配である。紙がゴミを産むことはあるにしても,環境問題などで社会悪呼ばわりされていないだけでもマシか?
守りの姿勢といわれればそれまでだが,ISO取得で社会的な姿勢を示すことはいろいろな話のきっかけになる点でもプラスであった。銀行からの目を気にする前に,自社の周囲の会社からの見る目が変わるようにしていく必要があるだろう。
(大阪・匿名希望)


月並みなことですが,経営者であるからには企業の健全性を追求し続けること,銀行に対しては自社の事実を,きちん隠さずに話す勇気をもつことだと信じて,今まで会社経営をしてきました。
銀行の支店長や支社長クラスの人間は企業を見る目においては百戦錬磨のプロなので,会社を訪れた瞬間に雰囲気からその企業が健全かどうかを感じ取っているものです。
会社の都合の悪いところは隠しておきたいのですが,長年の経験からそのような姑息なことは意味がないと思っています。試算表などはすぐに見せることができて,自社の状況を1分間で語れるようにしておくというように心掛けています。先代の不良資産などが残っていたらできるだけ速やかに処分していくことも必要です。
(東京・印刷会社 社長の年齢50歳)


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2003/04/10 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会