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5つのPDF活用法

デジタル営業見聞録

東海共同印刷 総合企画システム室 浅井豊彦(JAGAT認証DTPエキスパート)



 今さら説明は必要ないだろうが,PDFとは非常に幅広い用途に使えるものである。従って,人によってPDFの捉え方も使い方も異なるのである。
 印刷会社にとってPDFとはいったい何なのかを,改めて捉え直しておくことは意味があるだろう。

 印刷会社では,PDFはさまざまな使い方をされている。主なものを挙げてみる。

1.オフィスワークの共通ファイル形式
2.オンライン・デジタル校正のツール
3.データ入稿のファイル形式
4.出力ファイル形式
5.新しいビジネスを作りだすツール

プロの「わざ」を発揮すれば,ビジネスになる

 5の新しいビジネスを作り出すツールとしてのPDFである。2から4で取り上げた使い方に比べて,ここは「イケイケ」で進んでも良い分野ではなかろうか。

 最近では,印刷物の内容をホームページに載せたいという要望がかなりくるようになっている。
 テキストや画像の素材を抜き出してもらって作る場合もあるが,先方がPDFでの納品を指定してくる場合もある。
 一部には,PDFでの納品はオマケ的な扱いをしている印刷会社もあるようだが,私はきちんと料金請求をすべきだと考えている。
 「そんなことをいったって,クライアントがAcrobatをもっていれば作れるわけだから……」と思う人もいるだろう。しかし,ちゃんとプロの仕事をしてあるPDFであれば,料金はとれるはずである。

PDFを足がかりに新たなビジネスへ

 最近では,印刷物にはならないPDFの話も舞い込むようになってきた。
 カタログ関係に多いようであるが,最初から印刷物にはせずにPDF作成を最終目的としている。
 数年前までは,こうした仕事は専用のソフトが必要で,必ずしも印刷会社の「得手」ではなかったようだ。
 もちろん凝ったコンテンツを作るには,今でも専用ソフトが必要ではあるが,ある程度のものならPDFで十分まかなえる。

 ここでポイントとなるのは,専用のソフトではなく,今までDTPで使ってきたソフトがそのまま使えることである。
 ということは,専門の業者に頼まなくても,今までどおりデザイナーに頼んでも制作できることになる。
 やはり,商品としてPDFを売る以上は見栄えも大切で,プロのデザイナーの手が入ったほうが良い。
 専用のオーサリングソフトが扱え,かつデザイン力もある人は限られるし,その分「お値段」も高くなりがちである。

 従来の「資産」をそのまま生かせるPDFは,印刷会社にとって,くみしやすい。
 マルチメディアという言葉を横目でみながらも,正面から取り組めなかった印刷会社も,PDFならチャンスがあるのではないだろうか。

(「デジタル営業見聞録」は月刊プリンターズサークルに連載しています。詳しい内容はプリンターズサークル11月号の記事をご覧ください)

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1999/11/12 00:00:00


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