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ドットフォントの雑学(3)─フォント千夜一夜物語(24)

前回、ドットフォントの変化には大別して2つの要素が上げられる、と述べた。その 第一は「文字を構成するドット数の変化」である。

ワープロや電子組版システムが普及するにともなって、ドットフォントは16ドットから 24×24ドット、32×32ドット、40ドット、48ドットフォントなどと、低ドットから高ド ットへと高密度化している。というより多様化しているといえる。

低ドット文字でも、ドット数が多くなればなるほどアナログ的で良質の書体に近づくが、 デザイン的には難しくなるものである。

そして第二の要素は「出力装置の変化」である。初期の出力装置はワイヤドットプリンタ であったが、出力装置も次第に進歩し熱転写プリンタや感熱プリンタのサーマルプリンタ がああ開発され、次にインクジェットプリンタ、そしてレーザプリンタなどへと発展して いる。

このように新しい出力装置が開発されてくると、既存の機械は淘汰されていくのが通例 であるが、プリンタの場合は駆逐するわけではなく共存しているのが面白い。つまり目的 によって使い分けているわけだ。

その好例がワイヤドットプリンタである。複写伝票の印字にはワイヤドット方式のプリ ンタが効果的で、他の方式では重ねて複数枚の複写印字はできないからである。

そしてこの方式に使われるドットフォントは、16ドットか24ドットの低ドットフォン トが使われる。つまりワイヤピンの直径は0.2mm位といわれているから、高密度の細かい ワイヤピンの製作が難しいことと、折れやすいという理由からだ。

フォント開発は膨大な時間とコストがかかるといわれている。一般的には、原字(字母) をデザインしてデジタル化する方法をとる。つまりアナログ原字からアウトライン化しア ウトラインフォントを制作する。

ドットフォント(ビットマップフォント)の開発は、アウトラインフォントからドット 変換ツールを用いて文字サイズや線幅などのパラメータを与え、所定のボディサイズのド ット数(例えば16ドット、24ドットなど)に変換してビットマップ化する。

しかしビットマップ化したままでは使いものにならない。つまり線幅や太さになどにバ ラツキが生じ、デザイン上文字としての形をなしていない。これを量子化誤差という。 デジタルは1か0(黒か白)で表現するわけだから、中間の0.5ドットや1.5ドットと いうのは存在しない。つまり線が中間に位置した場合は0か1ドットの太さになる。また 1と2の間の位置にあるときは、1ドットかまたは2ドットの太さになる。

この状態をプリントして1字づつデザインチェックし修正をする。これをチューニング という。したがってドットフォントとはいえ、1サイズが漢字・非漢字の7000〜8000字を 開発することは大変な労力とコストがかかることになる。

●ドットフォントのJIS化
1980年ころ、コンピュータメーカーや情報機器メーカーなどのドットフォントの需要は 盛んであったが、一部の企業を除いてドットフォントの自社製作は困難であった。

そこで日本規格協会から1983年に改正された「情報交換用漢字符号系JIS C6226-1983」 が発行されるとともに、24×24ドットフォントのJIS化がなされた。これが「ドットプリ ンタ用24ドット字形JIS C6234-1983」である。

そして1985年ころに登場した電子組版システムは、印刷用という前提があったから出力 機は解像度400dpiのレーザプリンタが使われ、フォントは40×40ドットフォントが搭載 されていた。しかし出力サイズはワープロと同じの5号(10.5ポイント)の一種類で本文 用であった(つづく)。

フォント千夜一夜物語

印刷100年の変革

DTP玉手箱

2003/04/26 00:00:00


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