本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷物はどのくらい輸出・入していますか?

〜印刷界OUTLOOK2003(7)〜

2003年4月1日

●増加に転じた印刷物輸入

印刷産業は,かつて典型的な内需型産業といわれましたが,グローバライゼーションの進展で,国際的競争と無関係とはいえなくなっています。低コストを求めて印刷需要の海外流出,また,インターネットなどの通信技術の発達やインフラの充実,生産技術の発達で,国境の枠を超えた印刷物制作が可能になっています。
財務省の「貿易統計」によると,2001年の印刷物の輸入額は,前年比13.0%増で1016億2000万円となりました。景気後退で1998年以降減少傾向にありましたが,再び増加に転じました。その内容は,東南アジアからの包装資材輸入増加であり,日本の印刷需要が製造コストの安い地域での生産に移行したものといえます。一方,輸出額は前年比5.6%減の458億円となっています。

●書籍のシェアが拡大

印刷品目別に輸入額のシェア推移を見ると,はがき,カレンダー,宣伝印刷物などの商業印刷物が28.1%となり,前年より2.1ポイントの下落となりました。しかし,金額では285億8500万円となり,前年より5.2%の増加となりました。トップは2年連続で書籍で,そのシェアは前年より1.1ポイント増加し41.7%となりました。金額では,424億100万円で前年比16.2%増加しました。以下は定期刊行物(新聞・雑誌など)が18.8%で191億2600万円(前年比15.6%増),包装資材が6.9%で70億5300万円(同26.5%増)と続きます。
輸出については,書籍がシェア31.6%で0.6ポイント増,包装資材31.0%と1.0ポイントの減で再びトップが入れ替わりました。しかし,書籍は長期的には低下傾向にあり,金額的にも1988年の300億4000万円から144億7100万円となり,半分以下に減少しました。

●東南アジアからの輸入は増加へ

輸入相手国としては,ASEAN6カ国に中国,韓国,香港,台湾を加えた東南アジア10カ国の全輸入額に占めるシェアが,2001年は前年より2.3ポイント増の36.5%と,過去最高となりました。1997年,1998年と減少しましたが,東南アジアの経済危機を脱したと思われる1999年以降は,再び金額,シェアを伸ばしつつあります。


プリンターズサークル 2003年4月号より)
「印刷界OUTLOOK2003」の目次へ

2003/05/12 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会