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印刷白書[2002→2003]=高い志= 5月15日発刊

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体裁:A4版,150ページ,バインダ綴じ
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「印刷白書」とは
「印刷白書」は,印刷産業の現状と動向を「統計資料に基づいて」「客観的に分析する」とともに,印刷産業の「時代模様をキーワードによって明らかにする」もので,3章からなっています。

第1章では,印刷関連統計データから印刷産業の状況と技術動向を明らかにするとともに,2002年のトピックスをまとめています。
第2章は,今後の印刷産業に影響を与えると思われる環境変化についての視点と,印刷産業の課題,そしてキーワードをまとめています。
第3章は,印刷産業と印刷市場についての統計データ集で,100点以上の図表データを収録してあります。

本書の統計資料は,他にない以下のような特徴を持っています。
(1)印刷産業の動向把握に必要な公表データを,出来るだけ時系列的に遡って網羅,掲載しています。
(2)産業連関表データなど,他に見られないデータが豊富に掲載されています。
(3)各データから何を読み取るべきかの明確な視点からデータを加工,図表・グラフ化し てあり,そのまま計画資料・会議資料等として利用できます。

以上のような内容,特長を持つ印刷白書は,印刷産業動向把握の決定版であり,印刷産業,同関連企業の皆様の経営戦略を考える上での必携の書としてご利用いただけるものと確信しております。

印刷白書[2002→2003]要旨 (過去の印刷白書の要旨は,こちらからご覧ください。)
8兆円を割り込む印刷産業の出荷額

「平成13年工業統計産業編」によれば,2001年の印刷産業の出荷額は7兆9709億円となり,ついに8兆円の大台を割込んだ。
印刷産業の景況は,2001年下期から再びマイナス成長に入って以降水面下に沈んだままである。バブル崩壊後3回目のマイナス局面だが,前回のマイナス局面に比べて印刷の仕事量減少の期間が長く幅も大きい。長引く不振のなかであえぐ印刷産業にとっては今まで以上に業績に響くものであろう。
世の中全体のデジタル化が進展する中で,景気が悪くなって経費の見直しが行われるたびに印刷物と他の手段が天秤に掛けられたり作り方の見直しも行われ,過去にこだわらずに変更するようになってきたということだろう。印刷産業の出荷額のGDPに対する比率は,1991年の1.90をピークに景気の波と関連して上下しながらも低下し,2002年では1.6を切ってしまっている。

自ら扉を閉ざす出版界
出版科学研究所によれば,2002年の出版物販売金額は2兆3105億円,対前年比0.6%減となった。6年連続のマイナス成長である。内訳を見ると,書籍は9490億円で6年ぶりに前年を0.4%上回ったが,雑誌は1兆3615億円,対前年比1.3%減に終った。
出版物全体の販売部数は39億5604億冊,対前年比は2.0%減である。金額と部数との前年比の差は,ハリーポッタを始め比較的高額なミリオオンセラーが出たことによるものである。
出版市場に影響を与えている構造的要因としては,少子高齢化,メディアの多様化,新業態の書店や図書館の利用増が上げられる。
しかし,最も大きな問題はとにかく物事が先に進まないことで,販売面では一部に下げ止まり感が出てきているが,全体として閉塞感がますます強くなってきている。昨年3月に結論が出た再販制度に関連しては,公取委が強く推奨してきた制度の弾力運用に対する出版業界の反発がかえって強くなってきている。
一方,カルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)TUTAYA,ブックオフ,あるいはゲオといった新たな業態で出版業界に参入した企業はどんどん店舗を増やして,すでに2000店舗程度にもなっている。商品,販売形態を複合化して,より幅広い消費者を獲得しているからである。
さまざまな新規参入者の登場,新たな業態の拡張などがあってこそ出版の世界に明るい展望が開けてくるのだろう。

健闘するチラシ
株式会社電通の「平成14年日本の広告費」によれば,2002年の日本の総広告費は5兆7032億円,前年比5.9%減であった。その内訳を見ると,今まで不況の中でもプラス成長を続けてきたDMの前年割れ(4.5%減)と折り込みの健闘が2002年の注目点であろう。
折込広告は前年比0.3%減と健闘した。成長路線を牽引してきたサービス業からの出稿は,主力業種であるマスコミ関係(連合求人広告が主)が9.4%減となったが,マスコミ関係に次いでシェアの高い遊戯・娯楽場や代行サービス,外食も伸びてサービス業全体として0.9%増となり,小売業も0.2%増とほぼ横ばいで推移した。しかし,シェア3位の不動産業からの広告出稿が不調(5.5%減)で折込市場全体の足を引っ張った。
2002年のDMの対前年比の落ち込みは,2001年に,通信(マイライン),生損保などのDMの大口差出が前年比8.5%増と大きく伸びたが,2002年はその反動で減少したことと,郵送料が安い封書からハガキへの転換が一層進んだことがマイナスの主要因であり,DM市場の基盤に従来と異なる変化があったからではない。

新たな競合相手
今後の折込市場については,2001年秋時点で総発行部数2億2千万部といわれるフリーペーパーの動向が注目される。
購買決定権を持った主婦や可処分所得の高いOLなど,明確なターゲットに絞って配布して効果をあげると同時に,最近では駅での設置配布が増加している。消費者から見るフリーペーパーは,どのような製品の情報を得るかという点でチラシと非常に近い媒体の位置付けがなされている。
インターネット広告は,その対象人口がモバイルの利用を含めて5000万人を越え,ブロードバンドの普及でインパクトのある広告訴求が可能になったこともあって,例えば大型キャンペーンでのリーチ獲得を目指すなどナショナルクライアントが本格進出し大きく伸びた。
「モバイル」は,紙媒体と併用して販売効果を上げる使い方が増える中で,やはりDMと競合する媒体として伸びていく可能性がある。

やっと始まった設備過剰の調整
「平成14年度印刷業経営動向実態調査集計結果報告書」(全日本印刷工業組合連合会)はCTP化に向かうプリプレスのフルデジタル化がもたらしたさまざまな変化とともに,やっと供給力過剰に対する調整が始まったことも明らかにした。
1992年以降は外注費削減による加工高の上昇で収益性を確保するという流れが続いてきた。しかしこの2年間で今までの流れの一部が反転した。それは印刷外注の増加であり,一人当り機械装置額の減少と対になる動きである。印刷外注費比率はこの2年で2.0ポイントも上昇した。一方,その1,2年前から1人当り機械装置額は減少に転じている。現状の供給力過剰もさることながら,今後の需要回復見込みも立たないから,設備はせずに外注でこなすという動きの現われである。
2001年度後半からは,過去に例のない仕事量の落ち込みが続いている。すでに長い間の受注競争で収益性を低下させてきた印刷業界も,やっと設備競争が自分の首を締めることに気付いたということであろう。

新しいメディアビジネスの停滞
新しい技術を使ったメディアビジネスは,軌道に乗っているものの方が少ない。新しいメディアビジネスに期待が集まるのは技術の進歩がもたらす可能性からである。メディアの技術は高精細化(ハイビジョンテレビ放送,ブロードバンド),より多様なニーズに柔軟に対応できる情報流通ネットワーク構築(携帯電話普及,iモードを代表とする移動体向けの情報ネットワーク普及),そして従来メディアとは一桁小さい市場を対象としたニッチなニーズに対応するサービス(オンデマンド・サービス,双方向機能提供等)を可能にする方向で進化している。
しかしながら,それらのメリットを受ける生活者の立場に立ってみると,すでにメディア接触に膨満感がある上に,各人の特殊な関心にあった情報や娯楽を見つけたいという欲求より,それを見つけるのに要求される心理的負担や不便さの方を大きく感じるという受動性が変わっているわけではない。
少数のエリート層は,ニッチな関心情報を探すのに時間やお金や心理的負担をいとわないだろうが,大多数の人にとってのメディア接触は,本質的にリラックスして楽しむためであり,そのために時間を費やしたいと考えているわけではない。この生活者の姿勢が変わらない限り,新しいメディアビジネスが幅広い分野で大きな花を咲かせることにはならないだろう。

課題はデジタルネットワーク化と環境問題対応
今後の長期的な意味での印刷業界の課題は,デジタルネットワーク化と環境問題への対応である。印刷業界も社会一般の大きな流れにうまく乗って事業を展開していくべき時代を迎えた。
デジタルネットワーク化については,印刷業界自体の課題への回答と世の中全体のBtoB/ECの広がりへの対応の意味で,CIM化(Computere Integrated Manufacturing),EDI化(Electronic Data Interchange),そしてその中核となるMIS(Management Informetion System)がキーワードである。世の中全体のBtoB/ECの広がりへの対応の意味では,業界標準の設定が課題となる。
個別企業レベルにおける対応は,どんぶり勘定からの脱却,ホワイトカラーの生産性向上による合理化,そして新しいデジタルビジネスを収益性のあるものにしていくための土台の作り変えを目指して,ITをフルに活用していくことである。

ますます厳しくなる環境問題
環境問題対応に関する動きは日に日に範囲を広げ,要望される対応レベルも急速に厳しいものになってきている。
数年前にISO14001認証取得を目指す企業が,資材や部品を調達している企業に対して「ISO14000取得をするのでいろいろご協力いただきたい」という要望を出すことはよく見られたことであるが,その後要求はますます厳しくなり,現在では特定化学物質に関する調査対象物質として2000種以上のリストを提示し,それらの物質の含有の有無について報告を求めている企業もある。行政側の動きとしても,埼玉県生活環境保全条例の例に見られるような印刷業界の死活問題になるような動きも見られ始めた。

業界共通の利害に取り組むべき
デジタルネットワーク化あるいは資源環境問題のような社会の流れに乗って事業展開をするということは,業界のことは業界の中だけで考えれば済むということではないということを意味する。
印刷物の生産技術はデジタル化の前までは,全く外部と関係のない業界独自のものであったが,デジタル化に伴って顧客とは共通の技術基盤の上で仕事を進めるようになった。
今後は,BtoB/EC(電子商取引市場)の拡大によって印刷業界もさまざまな業界のSCMの一部としてEDI/ECに対応せざるをえなくなる。
環境問題に関しては,グリーン購入法が狙ったグリーン購入の拡大メカニズムが本格的に動き出し,印刷企業として対応すべき内容は日に日にその範囲が広がり,要望される対応レベルも厳しくなってきている。
ここで問題になるのは,それらへの対応が個別企業だけでは難しい課題を内包していることである。
個別企業の競争は競争として,業界共通の利害には協調して取り組むようにしないと,個別の企業にとっても大きな不利益になることがあちこちで起こり,後の祭になりかねない。
個々の企業がそれぞれの問題に専念していれば済む時代から個々の企業が前向きに業界共通の利害に取り組むべき時代になってきた。

印刷白書[2002→2003] 目次(PDF形式,16KB)

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社団法人 日本印刷技術協会 書籍担当 (TEL:03-3384-3115)

2003/05/13 00:00:00


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