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印刷用紙の需要はどのくらいでしょうか?

〜印刷界OUTLOOK2003(10)〜

2003年4月1日

●紙・板紙の需要は3年ぶりの前年割れ

 日本製紙連合の調査発表によると,2001年の紙・板紙の消費量(国内出荷+輸入±流通在庫増減分等)は,前年比1.8%減の3155万トンとなり,1998年以来3年ぶりのマイナスとなりました。
 紙・板紙の需要は,大きく,印刷・情報用,包装・加工用,衛生用の3つに分けられます。2001年は印刷・情報用,包装・加工用ともに,新聞用紙を除いてマイナスとなりました。なお,衛生用はわずかながら増加しています。これはIT関連機器の不振によるカタログやマニュアル,米国のテロの影響などによる旅行パンフレットの減少,5年連続でマイナス成長となっている出版業界の不振などが考えられます。デジタル化の進展で紙需要の減少も予想されましたが,1994年以降は1998年を除き増加傾向にありました。しかし,インターネットの普及率が高まっていることや,よりデジタル化が進展していることなどから,再び減少に転じた紙・板紙の需要が,今後大きく伸びる要因は少ないものと予想されます。
 10年間の需要構造の変化を見ると,1991年は包装・加工用が49.9%,印刷・情報用が45.2%,衛生用が4.9%で,包装・加工用が需要のほぼ半数を占めていましたが,2001年には印刷・情報用が48.8%,包装・加工用が45.7%,衛生用が5.5%で,印刷・情報用が包装・加工用を逆転しました。

●印刷業・出版業向けとも出荷量は減少

 日本紙パルプ商事の「図表:紙・パルプ統計2002年版」によると,2001年における印刷業向けの紙の出荷量は,前年比2.1%の減少となりました。出版業向けは前年比3.5%減で200万トンを割り込み,出版業界の6年連続マイナス成長の影響が出ています。

●国民1人当たり242.8kgを消費

 2001年の国民1人当たりの紙・板紙消費量は,トップがデンマークで340.8kgで,以下ベルギー329.4kg,アメリカ308.8kgです。日本は242.8kgでスウェーデン,フィンランド,オーストリア,カナダに次いで8番目です。古紙の利用率は,日本は57.9%で韓国(69.6%),ドイツ(64.5%),フランス(57.8%),中国(57.3%),イタリア(57.0%)とともに高い水準にあります。


プリンターズサークル 2003年4月号より)
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2003/05/21 00:00:00


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