取り組みのきっかけは、その当時抱えていた未解決の課題があり、それへの対応であった。それは個別原価の把握が1ヶ月先になってしまう、ミスロスが減らない、外注依存度が高いなど、これらを何とかすることがきっかけとなった。
今までは生産設備の機械を重視していたが、これを工程を重視するように考え、工程をスムーズにすることを目指してデジタルワークフロー・プロジェクトを発足させた。また経営方針の重点施策として利益、原価の再認識ということがあり、同時に利益管理プロジェクトを発足した。
目的としては、2005年中期経営計画の利益目標達成があり、そのため実現すべきこととして、次のようなことを掲げた。まず社内に対しては、工程別で動いているシステム、出来高の確認や進捗を見たりするものがあったが、これを統合し経営陣が欲しているリアルタイムな原価把握やリアルタイムな進捗管理を実現する。そしてミスロスの削減である。これはオペレターのミスより受け渡しのミスが多く、従来は紙や口答で伝言ゲームのようなことをやっていたので、これでは内容が変わってしまうということで、これを的確に早く流す必要からデジタルで行うことを考えた。
例えば物流から発送という連絡が来て、トラックの手配をしても物ができていないなどが日常茶飯事であった。これを画面を見て予測していくようにする。
次に社外への対応として、主要クライアントとのSCMによる受注拡大を目指すというのが目的である。
これらを実現するために工程間のデジタル化、外部とのワークフローをつなげる必要からJDFを利用する。JDFを入れたら利益が増える訳ではないので、これを利用してミスロスを減らし、製造原価を減らし、顧客と接続することで売上増を考えることである。
まずJDFを導入するまでに、現状の整理と課題の分析を行った。実際に工程管理の実状を把握しこれをどのようにしたいのかがある。そして現状のやり方での課題を出し、やり方が問題かまたやり方を変えても課題は解決できないのかなどを分析した。システムがまだ出ていないので、自分たちであるべき姿を描きながら準備を進めてきた。
その当時、業務管理はPrintSapiensを利用していたが営業受注、販売にしか使っていなかった。それをPrintSapiensは工程管理にも使えるので利用するようにした。見積・受注情報入力は、既に営業がPrintSapiensに入力しているので、これに工務が工程管理情報も入力し、各部へ紙で情報伝達として作業指示を出力していた。
今までは部門や部分でミスを減らしたり効率化を考えていたため、逆に工程間のミスが多く残っていた。そこで今まで紙で情報伝達していた工程間にJDFを利用するように考えた。
例えば三菱重工の印刷機につながっているIPC Server2に、手入力でデータを入れていたものを印刷前に基礎情報(受注番号、クライアント名、品名、数量、仕様)などを渡すようにして、二重入力をしないようにした。その結果印刷機の予定がわかるようになった。
また手書きで稼働状況を日報として入力したものを、IPC Server2からデータで受け取って見れるようにし、さらにこれを社内のイントラのネットワークで確認できるようにした。
このような本番前の模擬運用をデジタル化するなどの準備を行ってきている。
JDFによる運用は、PrintSapiensにあるJDFパーサでJDFデータを作成し、このJDFファイルをPrintreadyで選択して取り込む。データには、折り、製本などの情報も入っており、折り情報は、面付け装置と連携するようになっている。
PrintSapiensは、営業初期入力や進捗管理も行うので、稼働情報はPrintSapiensまで戻していく。ここまでが現状である。
今後のスケジュールは、次のステップとしてIPC SERVER2のデータの受け渡しをJDF対応にしてフィールドテストを始めていく。さらにCTPの部分をPDFにすることで自動でJDFを発行して自動で印刷物を作るなどが可能になる。
課題としては稼働状況を自動収集できない装置の対応が出てくる。例えばスキャナーであるが、このような部分はバーコード利用などで稼働状況を集めることになる。
また外部協力会社で、JDF未対応の装置を持っている場合がある。このような場合は、オフラインで手入力などで対応する方法を考える必要がある。顧客とのSCMについてもデジタルワークフローを進めようとしている。これもPrintSapiensで稼働情報を見たいので、JDFやJMFを取り込む予定である。
このように考えてJDFを利用したデジタルな工程管理を行おうとしているが、提供された装置やシステムの組み合わせだけでは、運用することが難しい面がある。
一番大きなポイントは、JDFのデータを誰が管理するのかということがある。さらに装置間などのJDFファイルの受け渡しのハンドリング部分がある。このためベンダーが提供してくれる仕組みだけでは運用できないため、システムの間にJDFサーバという名前を付けた装置が必要だと考えている。
例えばこのJDFサーバは、PrintSapiensで出たきたJDFデータに対して、次にPrintreadyが受け取りそれに情報を足してJDFデータにしていくが、このデータの管理が必要かと考えている。またこの間は直接接続できるが、自動で情報を流すようなハンドリングの管理も必要であり、このような機能をもつJDFサーバが必要である。
自動で受け渡されるJDFデータを管理することで、顧客とのSCMのつなぎや、協力会社とのつなぎを管理し、自動でスムーズな流れを実現することができるようになる。
今顧客が、在庫を確認し再版を行おうとするが、顧客が紙を持ち込む場合は、顧客が紙を手配する。ジャストインタイムで処理を行おうとすると、顧客がいつ紙を発注し、さらにいつ納品されるかまでを一緒に工程管理する必要があり、このような情報をJDFデータとして顧客へ提供したり、顧客から受けたりして工程管理や自動化を進める必要がある。しかしこれはベンダーが提供してくる訳ではないのでJDFサーバとして自社開発を考えている。
このように顧客や協力会社までも含めた形で、デジタルワークフローを考えると、現在のベンダーが提供しようとしている機能では運用できない。
大平印刷の考え方では、作業指示や工程管理を行うのをMISのPrintSapiensで行い、実際に動作したり稼働情報を返すのが制御装置であるが、その間に顧客や協力会社を含めてデジタルワークフローを管理し、監視できる仕組みが必要であり、これを入れて3階層の仕組みにすることを考えている。
2003/07/09 00:00:00