本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

フォーム・POD・その他特殊印刷の動向

フォーム印刷

フォーム印刷、フォーム印刷業界は、デジタル印刷システムのバリアブルデータ印刷機能、向上するカラー印刷能力を生かしながら、新たな市場を開拓、拡大している。
請求書の印刷は、あらかじめ印刷しておいたフォームの上に請求金額などをプリントするビジネスから、データの処理から配送までを一括してアウトソーシングで受けるビジネスになった。さらに、デジタル印刷システムのカラー印刷能力がA4で毎分2000枚以上可能というように向上して、請求書を顧客の個別情報に応じて的確なメッセージを送る販売促進印刷物として使うような動きも出てきた。請求書は、顧客が必ず開いて目を通す非常に到達率の高いメディアだし、顧客毎にパーソナルなメッセージを送るための良質な個人情報を手元に持つ企業が使うからである。このような分野の裾野を広げる意味で、価格を下げたPOD機も投入されている。

いま、最も注目を集めている情報化のキーワードは「IC」である。「ICタグ」は今後バーコードに変わって物流分野における宅配便、航空手荷物の管理、産業分野の工程管理、展示会などの入場者管理など、幅広い分野に導入が見込まれている。このような市場を狙って、ICタグが貼り付けられた台紙への高品位印刷を行ったり、表面に特殊加工を施したICタグへの直接印刷が可能なPODプリンタが出てきた。非接触フラッシュ定着方式を採用、用紙搬送もフラットなために、カード媒体などのプラスチックメディアにも対応可能である。

特殊印刷のオールマイティになるか?POD

デジタル印刷システムは、従来、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷で印刷されていた特殊印刷分野でも、幅広く使われ始めている。
軟包装分野では、例えばスナック菓子やインスタントラーメンに印字されている製造年月日のようなマーキングにデジタル印刷システムが長く使われてきた。最近は本印刷の前に包装デザインを確認するダミーサンプルの全面印刷をPODで行う例が出てきた。従来、1〜2週間かかっていたものを3日程度で対応できるからだ。
可変情報ラベルは、産地直送や生産者の顔が見えるラベルとしてス−パー・百貨店の食品売り場でおなじみになりつつある。
壁紙は数千種もある非常に多品種製品である上に納期も非常に短い。したがって、ある程度の在庫を持たざるを得ないが、それらの半数以上は不良在庫になるのが常であった。この在庫問題の解消や印刷する模様の自由度を高めるために有効なのがインキジェット壁紙である。
それ以外に、捺染分野、サイン・ディスプレイ分野など、非常に多様な分野でのPODの利用が見られる。 ただし、従来のグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷が担っていた大量印刷を代替するのではなく、小ロット印刷に新しい選択肢を加えたということである。

フレキソ印刷

ここ1,2年、フレキソ印刷が再び注目を集めている。一つの要因は、フレキソ印刷用CTPが実用化され印刷物品質が向上したことである。もう一つの要因は環境問題対応である。
フレキソ印刷は、日本でも普及すると言われながら現在の普及率は非常に低い。従来から知られているように、フレキソ印刷は、欧米のパッケージ印刷分野においてかなり普及している。北米におけるパッケージ印刷4部門(段ボール、軟包装、紙器、ラベル)におけるフレキソ印刷のシェアを見ると、段ボール印刷(85%)、軟包装(85%)、ラベル印刷(50%)ではフレキソ印刷がトップシェアを占めている。紙器印刷においては、さすがにオフセット印刷のシェアが第一位で65%を占めているが、フレキソ印刷のシェアは20%でグラビアの15%を上回っている。

このようなフレキソ印刷が日本で伸びない最大の要因は品質で、日本の顧客の目から見るとフレキソ印刷は受け入れがたいものであった。しかし、CTPの実用化で品質もかなりの水準になってきて、カラー印刷のある種の分野であれば、平版と競争できる水準にあると見る技術者もいる。

紙は水性、フィルムはUV

フレキソ印刷が注目されるもうひとつ理由は環境問題対応でUVインキのような無溶剤インキでの印刷が可能だからである。グラビア印刷では紙以外の印刷において脱VOCの道筋が非常に細い。
ヨーロッパにおける段ボール、軟包装、紙器印刷それぞれにおけるインキ種別の印刷物出荷額シェアを見ると、段ボール印刷では100%水性フレキソ印刷になっており、紙器印刷においても水性インキのシェアは47%で最も高くなっている。また、軟包装印刷においても、溶剤タイプの印刷物シェア43%に対して水性インキは55%で、溶剤インキを上回るシェアになっている。

水性インキによるフィルム印刷の課題をクリアする印刷システムとして、コロナ処理→AC剤の塗布あるいは白インキの下刷り→乾燥→印刷(+各ユニットでの印刷後の乾燥)→OPニス印刷または白インキ印刷→メイン乾燥をインラインで行う方式が提案されている。 水性インキによるフィルム印刷の弱点としては、ベタ部にモットリングが起きやすい、溶剤インキ、電子線硬化型インキに比べて使用できる範囲が限定される、高い品質要求の仕事での競争力はない、といったことがある。
したがって、水性インキは紙器印刷や段ボール印刷においては支配的なシェアを得ることができるが、フィルム印刷分野においては、UVインキのような電子線乾燥方式が溶剤タイプのインキに置き換わって主力の印刷方式になっていくと見られている。

グラビア印刷

グラビア印刷は、ふたつの面で前途多難である。ひとつは出版グラビア分野で、オフ輪の高速化、幅広化による大ロット印刷の経済性が強化されたことである。日本における出版グラビアインキの出荷量は、1995年をピークに減少傾向で推移し2001年はピーク時の29%減になった。一方、この間、平版インキ出荷量は34%増加している。
したがって、出版グラビアは、KBA社が4.3メートル幅グラビア輪転を開発したように、超大型機の投入によって大ロット分野の生産性を突き詰めて生きる方向にある。
グラビア印刷の最大の問題は何といっても環境問題である。「埼玉県生活環境保全条例」を巡る騒動は一段落したが、あくまでも時限付きのものである。
環境問題は、なんとしてでも対応しなければならない課題であり、グラビア印刷の場合は、水性インキがその本命である。

この点に関しては、インキ自体の研究開発はもちろんフィルムメーカーによるアプローチも熱心に行われている。2003年に入ってからは、軟包装の水性グラビア印刷商品を提供してきたコンバーターが、そのノウハウを傾注した国産初の水性グラビア印刷専用機を開発、運転に入った。食材包装のユーザー業界でも、安全に対する関心の高まりから残留溶剤の低い水性グラビア印刷を選択する動きも見られる。しかしながらその歩みは遅く、ノントルエン化は着実に進んでいるが水性化の動きは非常に鈍い(図)。

環境問題対応の面から考えると、グラビア印刷はフレキソ印刷に転換していかざるを得ないと思われる。

(出典 「2003-2004 グラフィックアーツ機材インデックス」)

「グラフィックアーツ機材インデックス」の内容

2003/09/25 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会