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どこまでも尽きない、WEBの開発課題

ネットワークで仕事をすることの最大の特徴は双方向性とか同時性であるが、この特徴がそのまま生かされている分野はきわめて狭い。ネットワークを使っても本当にすべてのことが同時にできるわけではないが、ネットワークで仕事をする以上レスポンスの速さが要求されることは宿命のようなものだ。

先日、WEBでカタログを見て、WEBの注文フォームに記入してボタンを押して商品を注文したら、何日か経ってから在庫切れでバックオーダー待ちになる旨のメールが来た。現在はWEB以前に構築された業務システムがまだ走っているだろうから、おそらく在庫管理と販売が別のシステムになっていて、両システムのリンクは夜中にバッチで処理しているのだろう。

在庫がタイトでない場合は上記のシステムでも問題ないが、販売と在庫に最大1日の時間差があると、こまめな商売はできない。サプライチェーンをつないでいけるように、既存のシステムを変えていくことは必須だが、それだけでは競争力はつかないかもしれない。特にオークションや一品制作の商売では、細かな問い合わせや、やり取りのトランザクションがリアルタイムに多発できるような仕組みが必要で、トータルな設計にならざるをえない。

この点ではB2Cでの使い勝手の発達がB2Bに影響を及ぼすようになると思われる。B2Cでは、興味があって買うかもしれないものを忘れないように、どこかにつんでおいて比較したい。それにはbookmarkの機能だけでは不便で、だいいちWEBの向こう側でデータベースを検索している途中のページはうまくbookmarkできないことがある。だから買い物予定から支払い予定までの管理ソフトをオークションサイトなどは独自に用意しなければならないが、最終的には利用者の手元で管理することになろう。

ちょっと前までよく言われていたことは、コンテンツがXML化されて、自分がネットワークで辿った道筋から必要なものをマークしておいて、それらからいつでもダイナミックに情報を再構成して再検討できるような、自分のエージェントが出来そうだということだった。データのXM化もエージェントのアプリケーションもそれほど進んでいるようにはみえないが、トータルな視点での設計を意識しておくことは重要である。

■出典:通信&メディア研究会 会報「VEHICLE」173号(巻頭言)

2003/09/02 00:00:00


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