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これからのCTPワークフローは・・・

CTPワークフローシステムのこれからの方向性は中間フォーマットにPDFを利用したセンターRIPによるOneRIP化と、工程情報と生産システムや機器(プリプレス・印刷機・加工機)を統合化して生産性を向上させよとするためのJDFなど、今後重要になる、異なるメーカーの機器間で利用されるオープンなファイルフォーマットについて解説する。

○CTPワークフロー用の中間フォーマット
CTP用の中間フォーマットとしてPDFが注目されていたがAcrobat6.0になり製版で求められていた透明性なども確保できるようになり、また印刷用のPDF/Xも利用できるようになってきた。センターRIPから目的に合った中間フォーマットを得るようになる。

1) PDF
PDF(Portable Document Format)はAdobe Systems社がポストスクリプト技術をベースにし、ネットワーク配信を目的に開発したファイルフォーマットである。1997年に日本語対応、現在はハイエンドのグラフィック・アーツの世界でも利用できるものとなり、プリプレスの中間フォーマットになりつつある。
PDFの特徴は以下の通り。
・様々なソフトで作成した文書から変換が可能
・プラットフォームに依存しないファイル形式
・ファイルにフォントの埋め込みが可能
・オリジナルのレイアウトを保存可能

2) PDF/X
PDF/XはPDFを印刷に利用する際に、運用上のトラブルがないように、本来PDFが持つさまざまな機能を制限し印刷業務に必要な機能だけを持つ印刷用データ交換のためのサブセットである。PDFの機能を印刷業務に焦点を絞ることにより、処理結果が容易に予測でき、印刷業務上「信頼できるフォーマット」にすることが目的で3つのグループに分けて策定中である。

(1)PDF/X-1、X-1a
CMYKデータを使用した完全交換。色はCMYKを使用、画像は実画像を貼付け、フォントはエンベッドされる。X-1はOPIを許すがX-1aはOPIを許さない。

(2)PDF/X-2
印刷データの部分的な交換用途。機能制限を使用できる色、実画像の貼込み、フォントエンベットなどについて制限を緩いが、送り手側と受け手の同意が必要。

(3)PDF/X-3
CMYK以外の色(CIE-Lab等)も使用可能な完全交換。カラーマネージメント・ワークフローでの完全交換運用を想定。


○MISと生産システムの連携
工程情報と生産システムや機器(プリプレス・印刷機・加工機)を統合化してMISと連携させようというシステムや機器が今後は増えてくる。1995年に発足して企画策定団体のCIP3は、機能拡張とともにCIP4と改称し統合的な生産工場の仕組みを提案している。
また、さらに広範な工程管理データベースとして日本発の企画であるAMPACも提案されている。

1)CIP3/PPF
CIP3 (International Cooperation For Integration of PrepressPress and Postpress)のPPF(Print Production Format)はプリプレス、プレス、ポストプレスという印刷の全ワークフローを統合し、その各工程間で処理や管理のデータをやりとりするためのフォーマットである。
PPFはPostScriptをベースにしており,管理情報やインキの調整,断裁位置の指定などさまざまな情報を扱う。品質の安定化、ミスの低減、処理の高速化、生産設備の効率的運用を目的に1995年に結成された「CIP3」で開発された、ポストスクリプトをベースにした標準フォーマット。PPFは作業の限られた内容のコントロールのみで、現在までいくつかの対応システムが発表されているが、現実的には多くの場合、印刷機のインキツボキーの調整にのみ使用されている。

2)CIP4/JDF
CIP4/JDF(International Cooperation For Integration of Processes in Prepress、 Press and Postpress/Job Definition Format)は、PPFのコントール性に、Adobeが開発したPJTFのもつより細かいプリプレスの作業情報を付加し、さらに次世代に要求されるだコントロール属性を付加するかたちで提案されたものである。XMLをベースに開発し、2000年6月にCIP3に提案承認され、これを機にCIP3はCIP4と名称を変更した。JDFは主に次の3項目を達成するために設計されている。
(1)プリプレス、プレス、ポストプレスの情報を統合
(2)プロダクションとMIS(Management Information System)との連携の架け橋となる
(3)現存するシステムがどんなものであろうと、どんなツールを使っていようと上の2項目は達成される

3)Adobe PJTF
PJTF(Portable Job Ticket Format)アドビが提案したJob Ticket(作業指示書)を記述するための仕様。PDF文書を対象にしており、処理すべきPDF文書の履歴や作業指示、管理情報などを伝えるため、PDFの機能を拡張している。PJTFに基づいて作成したJob Ticketを使って、対象となる文書の情報や必要な処理を次工程に伝えていくという仕組みである。

4)AMPAC
AMPAC(Architecture Model and PArameter Coding for graphic arts)は印刷工程管理のためのデータベース構造モデルと制御パラメータの符号化の規格。設計、プリプレス、印刷、印刷物加工などで使う材料及びデータ、機械及びオペレータへの作業指示など、印刷関連の生産工程で存在する様々な種類の制御パラメータ間を関連付け、生産工程の中で、これらを正確に定義、交換し、効率的かつ知的な生産工程を構築することを目的としている。
この規格は、世界的規模での共通情報交換の基盤を提供され、規格の利用者は、AMPACと呼ぶ分散型データベース上のあらゆる情報に自由にアクセスでき、アクセスした情報を生産工程の制御に利用できる。印刷工程で使われる総ての要素を抜き出したパラメータ名リストを業界が協力して作成することを提案している。


(この図は印刷工程における電子送稿及びデジタル情報の標準化調査研究報告書:日印産連より)

「グラフィックアーツ機材インデックス」の内容

2003/09/14 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会