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WPC EXPO 2003 レポート

アジア最大のデジタル総合展「WPC EXPO 2003」が9月17日〜20日まで幕張メッセで開催された。「〜ユビキタスが拡がる。生活が変わる。〜実践ユビキタス・ネットワーキング」をテーマに、PC最新モデル/周辺機器/携帯電話など各種デジタル機器、技術動向の紹介が勢ぞろい。
最終日の20日、会場に向かうと、大雨にもかかわらず、会場は人で埋め尽くされていた。海外からの来場者も多く見受けられる。特に目についたものを以下に紹介する。

■電子ブック革命おこるか―

松下電器産業のブースには、今年11月発売予定の読書専用端末「ΣBook」が展示されていた(写真=左下)。本体は、オレンジ、ブラック、ブルーの三色で売り出す。全国書店またはネットで販売。見開き2画面で、7.2インチ、1024x768ピクセル、180ppiと高解像度、単三電池2個で3ヶ月(1日約80ページ閲覧時)〜6ヶ月動作する。電源オフでも表示状態を保持できる「記憶型液晶」を国内で初めて採用。著作権保護機構として、SDメモリーカード用電子書籍フォーマット「SD-ePublish」に初めて対応。不正コピーを防ぎながらSDメモリーカードにダウンロードし、端末で閲覧できる。
なお、本体希望小売価格は37900円(税別)。果たして、どれくらいの反応があるのだろうか。

一方、東芝ブースでは「SD-book」の試作品が展示されていた(写真=右上)。2画面液晶による、見開きタイプのデザインだ。松下電器産業の「ΣBook」に追随する姿勢を見せている。液晶は、縦型7.7インチのポリシリコンTFT液晶を採用。640×960ピクセル、150ppiの画質を実現。また、ΣBookと違って、液晶がカラーになっている点は注目にあたいする。
ただ、「ΣBook」が重さ1`cであるのに対し、「SD-book」は4`cと重い。また、端末の厚みなど改善すべき点が多く、価格、発売時期などは未定だが、「そのあたりを改善し、来年ごろの発売を目標としている」(説明員)という。機能面では、Macromedia Flash Playerを搭載しており、SDカードを利用した、デジタル著作権保護にも対応している。
電子書籍の今後の動向に注目したい。

■注目されるICタグ

最近話題のICタグであるが、大日本印刷のブースでは、「非接触ICタグと街頭広告の連携による販促システム」のデモをしていた。

▼ICタグを広告にかざす

あらかじめ、携帯メールアドレス、会員番号をサーバに登録し、ICタグ会員証を入手した会員は、ネットワーク機能を持ったポスターやPOP、街頭広告ディスプレーにICタグ会員証をかざす。すると、クーポンなどのサービス情報が携帯メールに受信できるというしくみ。会員属性や時間帯アクセスなど、サーバに蓄積されるデータから広告効果検証が可能になるという効果がある。イベント会場やアミューズメント施設などでの利用が考えられる。「今は、1枚200〜300円と高価だが、もっと安くなればさまざまな応用が可能になるだろう」(説明員)。

■異色のブース「チームつかもと」

ひときわ異彩を放ったブースを発見。PAGE2003の基調講演で「コンピュータを着て暮らす」を講演していただいた大阪大学大学院の塚本昌彦助教授を中心としたウェアラブル・ユビキタス・HMDに関する産官学連携の研究開発チーム「チームつかもと」のブースだ。

▲ファッショナブルな「つかもと1号」など(左)とPCをおしゃれに身につける工夫(右)

「チームつかもと」は、「FIM世界耐久選手権シリーズ第6戦 鈴鹿耐久8時間耐久ロードレース」第26回大会でウェアラブルサポートを実施するなどの「レースプロジェクト」、コンピュータとファッションの融合を目指す「ファッションプロジェクト」など多彩に活躍。

ブースでは、HMDやPC、キーボードをファッショナブルに身につけるマネキン3体が目立った。ブースの前で呼び込みをしていた研究員のスーツにはディスプレイが埋め込まれている。これは、「ウェアラブルビジョン」といい、松下電器産業の社内ベンチャーによる試作品。胸に5インチ、背中に9インチのTFT液晶を埋め込んでいる。今後は、無線LAN機能やSDカードスロットの搭載が計画されており、広告媒体としての利用が考えられているという。

▲松下電器産業の「ウェアラブルビジョン」

(文・写真 岡千奈美)

2003/09/24 00:00:00


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