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経営戦略に見合った営業改革とは

受注産業,御用聞きが中心と言われた印刷産業だが,既存顧客とのつながりをより強固にする「深耕型」の営業や新規顧客を掘り起こす「開拓型」の営業,商品開発とマーケティングなど,営業展開は多様化の傾向が見られる。そして,そのためにいわゆる顧客満足とクライアントの問題解決を提供できる営業個人の資質向上とそれを支援する組織機能を求める気運が高まってきている。 そこで,JAGATでは会員企業を対象に「印刷営業の多様化と進化」を主題としたアンケート調査を行った。手探りから具現化へと向う「提案型営業」の実態が明らかとなった。

「御用聞き型」から「深耕型」「提案型」へ

2003年8月,「印刷営業の多様化と進化」を主題として,JAGAT会員企業の経営・管理者層にアンケート調査を行った。有効回答企業90社の規模別内訳は,1〜50名が38社(42%),51〜150名が33社(37%),151名以上が19社(21%)である。
設問1では,営業スタイルを「御用聞き型」「深耕型」「提案型」「開拓型」の4つに分けて,現在の比率と目標の数字を聞いた(表1)
1〜50名では,現在は「御用聞き型」が60%と最も多い。「提案型」「開拓型」の目標値は現在の2倍だが,「深耕型」は現在と目標に差がない。
51〜150名でも現在は「御用聞き型」が46%と最も多いが,「提案型」14%に対して目標は31%と2倍強を目指している。「深耕型」は現在28%で目標は22%と大差はなく,「提案型」に転化させるのではなく,「深耕型」は組織機能として残存させ,むしろ別機能として育成する傾向が読み取れる。
151名以上でも,現在は「御用聞き型」が45%と最も多いが,ここで特筆すべきは,目標の割合が「提案型」(28%)よりも「深耕型」(36%)のほうが多いところにある。既存クライアントを提案によりさらに深耕する方向性もあると見られる。

営業スタイルに合わせた取り組みは

設問2では,多様化する営業のスタイルに対して,組織としてどのように取り組んでいるかを聞いた(表2)
1〜50名では,スタイルごとに「別組織」「別部署・グループ」という回答は,各11%と少数派で,51名以上の企業の半数である。また,設問1における目標は,「提案型」と「開拓型」とを合わせて約40%であることから,実際に着手しているのは半数である。また,組織規模の現状からか,スタイルごとの分業体制は難しいようである。むしろ,「全スタイルを混在」(37.8%),「各人がすべての側面で活動」(29.7%)と,個人の能力を総合的に発揮する傾向にあると言える。
51〜150名では,「別部署・グループ」36%と3倍強になっている。組織的な総合力を構築するが,「別組織」にしているのは5%と少数である。
151名以上では,「別部署・グループ」(30%)と「全スタイルを混在」(45%)が多い。そして「各人がすべての側面で活動」が10%と極端に少ない。これは,個人の能力を専門化・高度化に向けていることであると考えられる。

提案力をどのようにして身に着けるか

設問3では,営業の「提案力」を身に着けるための組織的な取り組みを聞いた(表3)
50名以下では「教育研修制度の導入」が42%と最も多い。51〜150名では「教育研修制度の導入」(26%)よりも「OJTの採用」(38%)が多い。151名以上では,逆に「OJTの採用」(26%)よりも「教育制度の導入」(37%)のほうが多い。ここで上げられている内容は,社内に人事教育部門やシステムを組織的に構築している傾向ではないかと思われる。「外部の適切な人材の採用」は,全体に少ない傾向にある。そのほかのコメントとして,提案書作成研修,提案書データベースなどの回答が多かった。

クライアントが求めているのは「提案型」

設問4では,現状でクライアントはどのタイプの営業を最も評価しているかを聞いた(表4)。「提案型」を評価するクライアントが,いずれの規模でも突出していて,事業規模が大きくなるほどその傾向は強まる。現在,自己評価で「御用聞き型」が50%強(表1参照)であることを考え合わせると,ギャップは大きく,「組織体制」作りとそれを支援する「営業育成」が急務とされるのではないだろうか。

営業支援体制

設問5では,営業の組織改変に伴う支援体制について,自由回答で聞いた。
効率を上げる意味もあって,営業をフロントとバック(内勤)に分けたり,内容によっては専門家と組み合わせて,チームで仕事をするような取り組みが多い。また,チームの管理は,管理者の仕事となり,営業の管理業務をいかにうまくするかという点で,チームや部署の大きさに関する模索が見られる。ここで,特徴的なのは50名以下の規模の企業では,専門部署を設けるケースは少ないことがうかがえる。
ここでは、規模別の回答を全社的支援体制,チーム制による支援体制,管理職による支援体制,専門家などパートナーによる支援体制(151名以上では回答なし),専門部署による支援体制の5つに分類して紹介する。(下記:設問5「別表」参照)

【参考】
設問1.貴社の営業活動を以下の「御用聞き型」「深耕型」「提案型」「開拓型」のスタイルに分けると構成比率はどのようになりますか。また、今後の目標として、貴社ではどのような割合にして行きたいとお考えですか。
(表1)

設問2.多様化する営業のスタイルに対して、貴社では現在、組織としてどのように取り組まれていますか。
(表2)

設問3.営業の「提案力」を身につけるためにどのような取り組みをされていますか。
(表3)

設問4.クライアントは、現状どのタイプの営業を最も評価する傾向にありますか。
(表4)

設問5.近年に営業の組織改変をされたところは、支援体制をどのようにしたかご記入願います。
別表ご参照
■関連情報:経営シンポジウム2003:「経営戦略にみあった営業改革とは」10月22日(水)開催!

2003/10/09 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会