バリアブルプリンティングの概念は,以前から広く知られているが,オンデマンドプリンティングの普及も進んでいる割には,本格的な事例はそう多くない。
1つには,PDLの標準であるPostScriptにはバリアブルの概念がなく,同一オブジェクトのRIPが重複するため,その処理自体が非常に重くなること。また,バリアブルデータを簡単に編集できるツールがなく,実際には宛名印字や個人別メッセージを入れ替える程度の編集が中心であったことによる。
PODi(Print On Demand Initiative)という団体によって標準化されたPPMLは,RIP内で同一オブジェクトのキャッシュをおこなうことにより,バリアブルプリンティングに最適化する出力の規格である。編集ツール,最適化された出力フォーマット,対応RIPを搭載した印刷機の3要素が揃うことで,バリアブルプリンティングを実践する環境が整ったと言える。
本格的なバリアブルプリンティングを想定した編集ツールが,ようやく発売されたことにより,その用途や普及には大きな可能性がある。今回のミーティングでは,編集ツールの面から,バリアブルプリンティングについて考察する。
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