本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷のバリューチェーンを築こう

印刷はアナログの時代には独立した世界を形作っていました。しかし印刷がデジタル化した時は同時に世のさまざまな業務プロセスもデジタル化し,ITで業務の見直しと再構築がされ始め,今もその真っ只中にいます。
その中で自社のサービスや役割をする際に,自社都合を第一にするのではなく,直接の取引先からその先の取引先,さらにエンドユーザまでのバリューチェーン全体での効用を第一に考えるべき段階にきました。

IT活用アイディアだけに依拠した安易な金儲け手段としてのeビジネスは破産し,複数の会社がバリューチェーンを成立させるように協同して努力しはじめています。2004年2月4日(水)〜6日(金)のPAGE2004コンファレンスは,DMビジネスショー・ポスタルフォーラム2004と同時開催で,印刷のバリューチェーンを関連業者とともに築いていこうというコンセプトのもとに,グラフィックス,クロスメディア,MISの大きく3つのトラックを設け,その中の各セッションでは,先進的な取り組みをしているところに広く呼びかけて,オープンな形での運営を予定しています。

Call for speaker
急速に進行するIT化,EC化のなか,日本の産業構造が大きく変革していく時代にあって,過去のビジネスモデルが通用しなくなり,それぞれの事業プランは以前にも増して緻密なシナリオ化が必要になっています。しかし個々の企業の判断・理解が可能な領域は限られているので,お互いのビジョンや試行錯誤の経験を有効に交流させて,今後3〜5年後のビジョンを強化するための話し合いをしようというのがPAGEコンファレンスの開催主旨であり,グラフィクアーツ業界の将来を左右するトピックスを濃縮した各トラックのプログラムは,関係の経営者・管理者にとって最も重要なものとなることを目的としています。

各トラックの主旨のように,近未来のビジョンをもって上記に関する取り組みをされていて,PAGE2004において30分ほどのプレゼンテーションが可能な方は2003年11月30日までに,各トラックリーダ宛に,発表できるテーマについて簡単な内容をお書きの上,eメールにてお送りください。追って当方から,連絡を申し上げます。

ご応募いただいた方には,PAGE2004基調講演にご招待をいたします。また各トラックのセッションで発表いただくことが決まったスピーカーの方には,PAGE2004コンファレンス全セッションに参加できるフリーパス(94,000円相当)を差し上げます。

グラフィックス・トラック

DTPの元となったレイアウトソフトがXML対応になり,印刷物制作のバリューチェーンの中での位置付けも変わろうとしている。DTPが前後工程とより密接につながったシステムが組めるようになり,新たなビジネスモデルが考えれるようになった。
オープン化,データの再利用,システムの柔軟性,最適化などの要素を用いて顧客の問題解決を図り,サービスの価値を高めるチャレンジが行われている。
PAGE2004コンファレンスのグラフィックス・トラックでは,ITを使った価値的な生産性への展開を大きなテーマとして取り上げたい。このトラックは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,それぞれの試みをPAGE2004コンファレンスで発表していただきたい。

グラフィックス・トラックリーダー JAGAT研究調査部 相馬謙一
e-mail:soma@jagat.or.jp

●文字コード
ユニコード,標準化,フォント,外字
●自動レイアウト
新しい組版エンジン,自動レイアウトワークフロー,プラグイン,コラボレーション
●デジタルカメラ
新技術,標準化,次期目標
●POD
バリアブルプリント,パーソナライズ,ブックオンデマンド
●カラー
カラー再現性,色管理,標準化動向
●XML Publishing
XMLツール,XML関連ミドルウェア,クロスメディアシステム

クロスメディア・トラック

アマゾン,楽天… 小売の大手にECが食い込んできたように,近いうちにネット購買が多くの分野のトップの一角を占めるようになる。それにともないマーケティングの方法も販売促進ツールも組み替えられようとしている。
従来のビジネスをITで効率化すると同時に,ネット上に新たなビジネスモデルを構築する動きはECにとどまらず,さらに電子書籍,eラーニングといった分野に波及しはじめている。従って,顧客の求める出力形態は何でも応じられるような,メディアニュートラルなシステムを構築する必要があり,主たる収益が印刷から出るのであっても土台はクロスメディア対応に作り変えなければならない。
PAGE2004クロスメディア・トラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,ぜひ参画していただきたいと同時に,それぞれの試みをPAGE2004コンファレンスで発表していただきたい。

クロスメディア・トラックリーダー JAGAT研究調査部 角田健司


●Internet Publishing
サイトポリシー,セキュリティ,マルチメディア著作権,制作管理
●電子書籍・ブックオンデマンド
コンテンツの有料化,オンデマンド,電子ペーパー応用
●電子カタログ,電子マニュアル
システム,運営,コンテンツ
●eラーニング
コンテンツ制作,管理
●コンテンツ管理
メタデータ,DAM,標準化、アーカイブ(美術品,地域文化・情報,ビジネスドキュメント)
●ビジネスコミュニケーション
マーケティング用クロスメディア,顧客サポート用クロスメディア

MISトラック

生産設備のコンピュータ管理がJDFで行われるようになるには,事務処理のIT化や経営管理のIT化などが伴わねばならない。そのためにSCM(サプライチェーン)だけでなく,企業全体としてデジタルインフラの見直し,セキュリティを考慮した運用の確立が急がれている。
ITを断片的なテーマとしてではなく,MISのトータルな戦略のもとに組み立て上げて,印刷業界は社外との連携を含む全体最適化を成し遂げるために必要な環境整備が始まっている。
IT化したコラボレーションとその前提としての管理の整備はまだ始まったばかりだから,その全体像を把握するために,将来ビジョン・基本コンセプト,現状,今後の課題を話しあいたい。
MISトラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行うので,2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は,ぜひそれぞれの試みをPAGE2004コンファレンスで発表していただきたい。

MISトラックリーダー JAGAT常務理事 山内亮一
e-mail:yamauchi@jagat.or.jp

●マネジメント・インフォメーション・システム(MIS)
印刷業界における経営管理,経営意思決定ツール,事例
●サプライチェーンにおけるMIS
業界での標準化提案,印刷産業界における運用,SCMのASP
●B2B
顧客の印刷物電子調達,印刷ECサイト,印刷業の調達
●生産システムの連携
MISと生産システムの連携,JDFをベースとしたアプリケーション
●ITによるビジネス環境の変化
企業間情報交換,IT戦略,Webサービス
●社内ITシステムの整備
ネットワーク技術,セキュリティーなど運用管理

テーマZONE

PAGEはプリプレス技術の展示とともに,ITソリューションパートナーシップコーナーを設けて,バリューチェーン上のビジネス展開が促進されるように,グラフィックスの隣接分野の方々にも出展を呼びかけてきました。
PAGE2003ではITソリューションパートナーシップコーナーをさらに発展させて,XML Publishing ZONE,MIS/JDF ZONE,先端プリンティングZONE,などテーマごとにまとめるたことで,来場者にはわかり易いとご好評をいただきました。
PAGE2004ではこれらのZONEにさらに加えて,近未来にグラフィクスのバリューチェーンにさらなる付加価値をもたらす技術を展示していただく,先端技術ZONEを用意いたします。ここでは参考出品を含め,2〜3年後にビジネスとして花咲く以下のような分野のデモンストレーションを募集しています。

先端技術ZONE担当 JAGAT研究調査部 相馬謙一
e-mail:soma@jagat.or.jp

●3Dディスプレイとそのコンテンツ制作
●大画像表示装置
●電子書籍
●セキュリティ技術
●RFIDタグ応用

参考:前回のPAGE2003 ここ

2003/11/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会