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環境対応活動の収支はプラスかマイナスか?

ISO14000の認証取得に見るように、印刷業界の環境問題対応への関心は高まってきている。しかし、この問題に関してはどうしても負担ばかりが増えて見返りが少ないと感じられ、結局その収支がどのようになるのかが気になるところであろう。
環境問題対応に関する直接的な収支は、上場企業で一般的になってきた「環境会計」で見ることができる。


図は、凸版印刷株式会社が発行した「TOPPAN 環境報告書2003」における環境会計関連データの一部であり、同社グループ企業約140社の2002年度における環境対応関連の収支状況が示されている。

まず、支出を見ると、事業所エリア内コストに含まれる投資額(環境設備の取得価額で、図における主な内容は一般印刷関連工場の排ガス処理装置とエレクトロニクス系生産事業所の排水処理装置、および新設海外事業所の大気汚染防止装置、廃水処理装置の導入である)が27億円、環境配慮製品等の研究開発に関わる投資が1.6 億円になっている。さらに、環境設備の減価償却費、電力・燃料費、修繕費等の設備の運用費用の88.3億円および環境配慮製品の研究開発コストとしての研究開発費8.9億円といった費用額が支出になっている。
これに対して、環境対応による経済的なプラス効果として「省エネルギーに伴う費用削減額」が1.1億円、「工場から排出する廃棄物の売却金額」が15.1億円そして「環境配慮製品の売上に伴う利益額」が74.5百万円となっている。
したがって、環境対応に直接関わる活動の単年度収支は、収入90.7億円に対して支出138.5億円となり、収支差額は47.2億円のマイナスということになる。 これは単年度の結果だが、これを継続的に続けていった場合にはどのようになるのだろうか?

図で、支出項目の投資価額の前年対比を見ると約3億円増加している。各事業所の環境保全設備整備を順次進めているからで、ある段階までは増え続けていくことになるのだろう。一方、費用額は対前年で11.6 億円減少している。このうち、事業所エリア内コスト削減が6.1億円あるが、これは生産工程から排出される廃棄物の分別活動推進によって廃棄物処理に関わる費用が削減されたことによるものである。費用減少額の半分弱を占める研究開発コスト削減は「技術移転完了に伴うテーマ終了によるものである」という。このように見ていくと、支出額についてはある時点までは増えるがその後減少してやがて一定水準に落ち着いていくと予想される。

収入面では、有価物の売却額は最初は増加するだとろうが、全分野での見直しと改善がなされた時点以降は一定水準に落ち着くことになる。しかし、環境対応製品等の研究開発については、投資成果の積み上げによって、そこからの売上の積み上げも継続的に期待できるはずである。金額的にも、図のプラスの経済効果で、省エネや廃棄物の削減にともなう利益よりも圧倒的に大きなプラス効果を生み出していることがわかる。環境対応の収支をプラスに向かわせるには、やはり商品開発のような積極策が必要ということであろう。中小印刷業としては、同業者やメーカーあるいは行政の研究機関等とも手を組んでチャレンジすべき課題である。

(「JAGAT info」2003年12月)

2004/01/05 00:00:00


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