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メディア・ビジネスやマネジメント&コラボレーションのためのインフラとは

Webサービスのグラフィックアーツへの応用は

Webサービス(XML-Webサービス)は、ECのためのインフラになるのではないかと非常に注目されていた技術であり、今やっと実用化され始めた事例が少しずつが出てきた。
Webサービス技術は、アプリケーションの一部を自分の中に持たず、ネットワーク上にある他のアプリケーションを自動で利用しひとつのアプリケーションのように見せる。例えば従来はアプリケーションが別だとその間でデータの取り込み操作が入ったりしていたが、それが自動で連携されれば使い勝手も良くなると言った技術である。今まではすべてのアプリケーションを開発していたものを、利用できるWebサービスがあればその部分を連携し組み合わせてひとつのソリューションにでき、開発時間の短縮や低価格化の実現などが可能となる技術である。

このWebサービス技術をグラフィックアーツ業界では、どのように利用できるのか。大きく二つの目的が考えられる。
コンテンツサービスのインフラ技術として利用することがある。今Webサービスを実際に利用したアプローチとしては、用語辞書などの辞書サービスやXML全文検索サービスなどをWebサービスにした例がある。また地図情報サービスなどへの利用もアプローチされており、コンテンツサービス分野では、今後Webサービスのアプリケーションは増えてくる可能性は高い。

もうひとつこの業界としては、SCM(サプライチェーンマネジメント)のような一気通貫を目指す生産体制を支援するアプリケーションとして、各社が持つアプリケーションをシステム連携させるための利用がある。CIP4/JDFと言った考え方がこれから実用化に向けて進められると思うが、生産システムと情報管理システムとの連携や管理システムと管理システム、例えば受発注販売管理システムとプリプレス工程管理サブシステムなど、このような開発元が異なるアプリケーション間の情報連携にWebサービス技術は期待できる。

PAGE2004コンファレンスD4セッションではWebサービスのグラフィックアーツ業界への利用の可能性を探る内容を用意している。「Webサービスによる業務連携」というタイトルで、内容としては「Webサービスがもたらす次世代メディアの可能性と問題点」を取り上げる。

ソフトウェア会社のイーストでは辞書情報サービスやXML全文検索サービスなどを開発し、東京ガスでは地図情報サービスを行っている。これらメディア・ビジネスへWebサービスを展開した応用例を取り上げながら、実際に出てくる課題や可能性などを明らかにする。実際のシステム開発のアプローチの現場から出てきた課題や可能性は、今後ECやSCM、身近な点では業務アプリケーション間の連携などへの対応の参考になると思われる。

ブロードバンドネットワーク活用とセキュリティがインフラ整備の鍵か

ITを活用すると言った点では、以前からネットワークの利用がポイントであったが、さらに今光サービスを利用したFTTHのようなブロードバンドネットワークが利用可能になり、まさに大きなポイントになってきた。マネジメントもコラボレーションも一つの部門、一つの拠点ではなくなり、複数の部門、複数の拠点、また複数の企業間で情報共有することが要求され、高い生産性や新たな付加価値が得られるようになる。これが今ブロードバンドネットワーク利用で実現可能になってきた。

しかしこのようなブロードバンドネットワークを利用したマネジメントやコラボレーションにも大きな課題がある。ひとつはシステムの管理コストの削減やTCO削減をどう考えるかである。もうひとつは、今後広告戦略などを一括で受けるアウトソーシングビジネス展開を考える企業も増えると思うが、そためには必須となるプライバシーマークのようなセキュリティに対する課題がある。

今ブロードバンドネットワークをセキュアに利用する技術として、どこの業界に限らずインターネットVPNの導入が非常に注目されている。インターネットVPN導入の理由には、ひとつはコスト削減という大きなポイントがあるが、もうひとつは従来の作業の流れを変えるデジタルワークフローへの活用がある。コンテンツデリバリー、オンライン制作コラボレーション、リモートプルーフと言ったソリューションが考えられるが、これらを実現するインフラ技術にはネットワーク以外に、データ管理、さらには管理情報やEC情報の共有をいかに行うかがある。そしてこの中でいかにセキュリティを保つかが課題で、ユーザ管理、認証そしてセキュアネットワークなどが入ってくる。

PAGE2004コンファレンスD5セッションでは、「業務からみた社内ネットインフラの向上」というタイトルで、生産性向上やビジネス拡大を考える上で社内インフラをどう考えていくのかについて取り上げる。

ひとつは、今多くで検討されているインターネットVPNについて、導入の実態(導入理由や目的)やコスト、導入時の課題について取り上げる。
次に実際のブロードバンドネットワーク利用としてデジタルワークフローのアプリケーション導入を取り上げ、ネットワークやユーザ管理、認証と言ったセキュリティの問題、管理体制について取り上げる。
そして印刷会社は実際にどのようなことを考えながらインフラ整備を行っているのかについて、社内体制作りを含めてTCO削減というポイントでアプローチをしている中での障害や問題がどうなのかについて取り上げる。

インフラ整備を行う上では、今ブロードバンドネットワーク、データ管理、社内体制、管理システム、アプリケーション、さらには増える管理コスト、TCO削減と言ったところが課題と考えられ、いかに取り組み社内体制をどうするかを考える必要がある。

2004/01/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会