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drupa2004情報(クレオ)/業界標準(JDF,PDF等)でオフセットとデジタル印刷も融合

クレオは2004年2月20日,オランダのビュランにある印刷会社のティーセン・ロタティードゥルク社において,drupa2004に出展するプリプレスソリューションを発表した。ティーセン社はオランダ王室御用達として100余年の経験と実績を持っており,昨年10月末に8000台目のBrisque(R)とともに,今回新たに菊4倍判の超大サイズCTP機Magnusを導入している。同社はハイデルベルグM3000,同M1000,同300,マンローランドのオクトマン,ポリマン40,同45,アルバートA101など7台に大型オフ輪を設備し,またオランダの主要紙商29社の1社でもある。

クレオによると印刷会社が収益性を確保するには,プリプレスワークフロー統合と自動化が必要で,この分野における印刷会社への支援になるような製品開発を集中させており,drupa2004ではこれらを総合的に展示する。同社は現在,商印だけでなく,企画デザイン,紙器パッケージ,新聞分野にも彼らに強みであるオープン性とソフト開発力を提供している。
クレオの全体として向かっている開発の方向性は,CIP4/JDFのような印刷産業全体が業界標準として使用できる技術をベースにして,印刷工程の企画デザイン工程から印刷加工,配送納品にいたるまでをできるだけ自動化できる製品開発である。サイテックスの流れを汲むソフト開発力の強みを生かして,印刷会社がより良い経営管理やコスト削減,営業強化ができるようなワークフローソリューションを提供し続けて行くという。
このために,各種のワークフロー製品のJDFジョブチケット対応,PDFやPDF/X対応や特色へのICCプロファイル利用など,業界標準への対応を積極的に進めている。
この一つの表れが,オフセット印刷とデジタル印刷を融合させる「ハイブリッドワークフロー」であり,顧客に最終ニーズに合わせて印刷直前にどちらで印刷するのかを選択切替を素早くできるものである。また特色の数を減らしてできるだけプロセス4色に置き換え,印刷コストの削減を図るSpotless(TM)という,FMスクリーン応用技術などを盛り込んだ製品が開発されている。
ところで,業界標準になりつつあるCIP4/JDFについては,700ページにも及ぶ膨大な仕様項目があって,どこのメーカーにとっても一気に対応製品を投入して行くのは難しい。そこで,まずは印刷会社にとって利用頻度が高い機能から優先的に製品開発を先行していこうという,CIP4メンバーの有志グループがNGP(Networked Graphic Production)で,ここの重要なパートナーベンダーとしてのクレオは「JDFに対応したワークフローソリューションによって,印刷会社は品質向上,コラボレーションの拡張,生産システムのさらなる統合化,自動化ワークフローの構築によって効率を向上させられる」としている。大サイズ印刷機が多数ある欧米では既に1000台以上のVLF(very large format)という倍版以上の大サイズCTPが普及しており,クレオでも従来からTrendsetter(R)系モデルを提供している。

○超大サイズ(VLF)CTP機Magnus(マグナス)
新機種でサイズ別に6383,5570,5183,4570の4モデルある。最大は外面ドラムが1600×2108mm(菊4倍判)の6383。2400dpiの面付け出力ではA全(707×1000mm):31版/時,A倍(2050×1510mm):15版/時。


(ティーセン社に設置のMagnus6383)

○本格的PDF/JDFワークフロー
Synapse(R) Director(シナプス ダイレクター)はBrisque(R)(ブリスク)5.0ワークフローソリューションとNGPを接続して、PDF/JDFによる企画デザイン〜生産管理や入稿〜納品に至る業務の効率化と,協調性のよいワークフロー構築ができるようになる。
仕事の段取り替えも早くなり,またNGPグループのMIS(生産管理システム)とのインターフェースであるSynapse(R) Link(シナプス・リンク)を利用してリアルタイムでの進捗情報を得る事もできるようになる。

○エントリーレベルのPDFワークフロー
Prinergy(R)のローコストなエントリーモデルの新しいPrinergy(R) Evo(プリナジー・イヴォ)は,PDFワークフローをベースにしたシンプルで自動化の進んだ操作性にが特徴である。

○デジタル印刷とオフセット印刷の区別を無くした生産工程の構築
ゼロックスはNGPメンバーになったが、ハイブリッドワークフローではデジタル印刷とオフセット印刷を区別しないプリプレス工程・生産管理工程を組むことができるのでPrinergy(R)によるCTP/オフセット印刷にするのか, DocuColorでデジタル印刷するのかを区別することなく進捗できるようになる。
プリプレス工程においてはどの方式で印刷するかを気にする必要は無く,オペレータは印刷仕様が決まったところで,デジタル印刷かオフセット印刷かいずれかのデータを即座に出力できる。このワークフローの導入で,顧客に対して今までに無い効率と品質の印刷物を提供できるようになる。
つまり,印刷会社はデジタル色校をプリプレス部門に導入するのと同様な容易さでデジタル印刷を導入でき,印刷仕様に変更にともなう印刷機の号機変更などを,デジタル印刷をも含めて管理できるので,印刷コストや時間を最小にできるようになる。

○特色に一部をプロセス4色に置き換えてのコスト削減
特色印刷をプロセス4色に置き換えて,印刷の効率を大幅に増大させる技術が開発された。2種類のソフト,Spotless(TM) 4とSpotless(TM) Xがあるが,これによって特色のプロセス4色への変換を簡単に正確に行うことができ,プロセス4色で置き換えられる特色の範囲が広がるので,結果として無駄な特色の使用を減らして印刷コストを削減できる。そして同じコストが掛けられるのであれば,顧客にとってはもっと違う付加価値を印刷加工などに加えることも可能になる。

○ICCプロファイル作成機能の強化による正確な色再現の実現
ICCプロファイル作成用カラーマネジメントツールであるプロファイル ウィザードの新しい製品群として「プロファイル ウィザード Mio Edition(ミオエディション)」が発表になった。これによってデザイン工程におけるICCプロファイルの精度が改善され,MacOSXとWindows-PCとグレタグマクベスのICColo分光光度計に対応する。プロファイル作成機能の強化でデザイナやプリプレス担当者にとっても,モニタ,入出力装置の正確なプロファイルの作成が可能で,印刷品質の色校正が作成できるため校正回数が削減でき,プリプレスの生産性増大と時間や材料の削減が実現できるものである。

○接続性強化のデジタルプルーフ
Veris(ベリス)カラープルーファーの新バージョンでは,PDFやポストスクリプトにも対応しスポットカラーにおけるICCにも対応した。強化されたキュー管理,プレビュー,面付けなどが特徴である。

○新聞印刷におけるコストダウン
Synapse(R) NewsManager(シナプス・ニュースマネージャ)は,新聞社の生産性を向上させるPDFワークフロー管理システムで,新聞社の売上増大や原材料費のコストダウンに役立つ。オープンファイル標準に基づいており,新聞社の従来システムとの統合を容易にし,多拠点での契約印刷会社での分散印刷においても満足のいくもので拡張性に富んだものとなっている。
また,新聞社がCTPに容易に移行できるようTrendsetter(R)NEWS(トレンドセッタ・ニューズ) CTPシリーズを提供している。半自動モデルでも1時間当り50〜200枚のプレート出力ができる。

○drupa2004(5月6-19日)では
ホール4/Stand B10に出展

2004/02/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会