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グリーン調達の条件にエコステージ1を採用

富士写真フイルム(株)CSR推進部 環境・品質マネジメント部 参事 中山安弘氏

ヨーロッパでは、RoSH指令のような遵守することが大変難しい指令が発効されつつあり、環境関連法などの要求事項は、年々厳しくなっています。また、製品の製造から廃棄に至る環境負荷の定量的把握が必要となり、部品、部材に対するLCA(Life Cycle Assessment)データーの提供を求められることが多くなり、グローバル企業のグリーン調達基準がますます厳しくなります。このような状況に対応するためには、個別企業やグループ企業のみで対応することは困難であり、供給先、請け負先を含めた取り組みが必要です。

当社は、1996年のISO14001の発効と同時に、認証を取得し、連結会社にもISOの認証取得を推進してきました。当社は、数多くの企業から部品、部材及びサービスの提供を受けており、これらの供給元に、法や当社の要求事項を遵守して貰わないと、当社製品の法遵守や環境配慮が達成できません。したがって、調達先にも透明性のあるマネジメントシステムを構築してもらう必要があります。ISO14001は、世界的に認められた透明性のある環境マネジメントシステムであり、信頼性も高いので、全ての取引先にISO14001を認証取得してもらいたいと考えます。

しかし、日本でのISO14001の認証取得は、約1万5千件ですが、企業数となると、1万社に満たない状況です。一方、日本にある企業数は、数百万社もあり、大部分の企業は未認証であり、すべての企業にISO認証取得を求めるのは非現実的です。そこで、ISOに比べて、構築負荷が小さく、かつ透明性が確保できる環境マネジメントシステムであるエコステージ1の認証をグリーン調達基準(グリーンパートナー)の条件として採用し、ISO14001又はエコステージ1を認証取得していることを、グリーン調達の条件としました。
エコステージとISO14001の差異をまとめるとこの表のようになります。

エコステージの目的は認証を取得することでは無く、
A.課題を効率的、確実に解決し、財政及び環境の両面で最大利益を得ること。
B.企業体質の改善により、継続的発展を維持すること。
C.環境マネジメントシステムに基づいた経営をしていることを証明することにより、社会の信頼を得ること、などです。
すなわち、エコステージは、環境経営の道具ですから、有効に活用しないと効果は得られません。有効に活用すれば、A.コスト削減、B.売上増加、C.業務改善、D.事業・業務承継、E.リスク削減等色々な効果が得られます。エコステージは経営のツールであり、生かすも殺すも使用する人にかかっています。上手く使って大きな効果を得て頂くと同時に地球環境が維持されることを期待しております。

(「JAGAT info 2004年6月号」より)

2004/06/05 00:00:00


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