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NewsML拡張をめぐるIPTCとAdobeの動向

NewsML(注1)は,通信社の国際的な協議機関である国際新聞電気通信評議会(IPTC)が,2000年10月に策定したニュース管理の標準フォーマットである。
日本では,日本新聞協会が新データフォーマットについて2000年9月から検討を開始し,2001年8月に日本新聞協会標準仕様ガイドライン「NSK NewsMLレベル1」を公表した。一部の新聞社・通信社の内部システムでは2001年から利用が開始され,2003年からは通信社の記事配信でも利用が開始された。通信社からの写真画像配信での利用も,2005年早々にも開始されようとしている。
NewsMLは,News Markup Languageの用語からニュースコンテンツのフォーマットのように受け取られがちだが,ニュース素材を管理するためのXMLベースのメタ情報用フォーマットである。

ドキュメントのXMLベースのメタ情報用フォーマットには, Adobe XMP(Extensible Metadata Platform)がある。最近PhotoshopでもXMPをサポートしたが,Photoshopのファイル情報にはIPTCのIIM(Information Interchange Model)が採用されていた。IPTCにとって写真情報は重要なことであり,2004年3月に開催されたIPTCアテネ春季拡大会議で,AdobeがXMPについて紹介した。そこで,XMPにNewsMLのメタデータを移植することについて,IPTCとAdobeが2004年6月に打ち合わせることになった。Adobeは,XMPにNewsMLのメタデータを移植する作業を行い,2004年10月のIPTCアムステルダム秋季拡大会議で,IPTCメンバーにNewsML対応XMPを紹介する予定になっている。

なお,IPTCでは2005年のリリースを目指して,NewsMLの次のバージョンであるNewsML 2の検討を進めている。NewsML 2では,構造を簡略化しつつ,他のメタデータの組み込みも可能になる。XMPスキーマも含めて,ワークフローや権利情報のスキーマをシームレスにNewsMLに組み込み,「NewsMLを採用する=ワークフロー実現やAdobe製品等との連携がしやすくなる」ということもねらっている。

(注1)NewsMLは,ロイター通信社がニュース配信方法として1998年に発案し,翌1999年にIPTCに「次世代のニュース配信フォーマット」として標準化することを提案したことが始まりである。標準化について検討したIPTCは,2000年10月に正式に承認し,データ構造を定義した文書型定義(DTD)である「NewsML ver1.0」をリリースした。

2004/06/08 00:00:00


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