本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

従業員やNPOの声を掲載した環境報告書

小林記録紙株式会社は、記録紙、ビジネスフォームの製造・販売、およびコンピュータ関連機器の販売、ソフト開発販売等を行う中堅の印刷会社で、2004年3月末時点の売上高は518億円、従業員数は約1500名である。
同社は1999年4月に、安城工場でISO14000を取得、以降、本社、本社工場で認証を取得している。2004年4月には環境報告書の第2版となる「環境報告書2003」を発行したが、環境保全活動をしている従業員の声やNPOの意見を掲載するユニークなものになっている。

同社の安城工場は1999年4月に同社で最も早くISO14000を取得した工場だが、同工場環境推進委員の声として次のような声を紹介している。「認証取得から5年が過ぎ、活動も幼児期から青年期へ『変わる・変える』必要と、期待される時期を迎えています。マニュアル通りの一辺倒・前年の延長的活動だけでは各計画が達成できず、いまは学んだ事を基に全員が如何に知恵を出して活動するかが、成果を生み出すカギとなってきています。」
取り組み当初はいろいろ見直す部分があり、それまでに手をつけていなかったから何らかの処置をすればそれなりの改善が可能で成果も得られるだろう。しかし、さらなる改善課題の設定と達成にはかなり知恵を出していかなければならないという状況を表している。
このことは何も環境問題に限ったことではなく、生産の合理化についても言えることだろう。絞りきった雑巾と思われてもさらに無駄を搾り出すトヨタの例のように、最終的には、企業の体質、レベルの差が出てくるのだろう。逆にいえば、このようなチャレンジを続けていくことで、体質、レベルと強め、向上させていくことに意義があるのだろう。

内部監査員からは「過去の内部監査は、記入漏れ・間違いなど、細部に目が向けられがちになる傾向があると思います。不備に気づくことも必要不可欠ではありますが、さらに1歩進めて、他部門であるがゆえに気が付く『取り組み方のアドバイス』ができればと考えています」、「本来ならばシステムや成果を主に見るべきところ、小さな事に拘って来たような気がします」といった声が寄せられている。
先の声のもうひとつの側面で、取り組みからある時期が経つと、どの会社でも見られそうなことである。活動がマンネリ化して形式だけのものになってしまい、盛り上がった意欲も萎んでいく時期は必ずあるだろう。
したがって、小林記録紙では、「監査する側と監査を受ける側の双方が問題を共有し、それに対して共同した改善に取り組んでいくこと」に加え、2003年度からは「良い点も評価する」ようにしている。2003年度は、内部監査で指摘された是正要求件数が7件、観察事項件数が69件ある中で、良い点として評価された観察事項件数が15件あった。問題指摘だけではなく良い点を評価することは、取り組み意欲の継続という点でプラスであろう。

「緊急自体への対応」では、排水や廃液、あるいは危険物に関する緊急事態発生を想定した対応のテストに参加してみての感想が記載されているが、非日常的なことについては、やはり1度でも体験しておかないと、いくら決め事をしておいても役に立たないからテストの継続は必要だし有効だとという声が紹介されている。

小林記録紙の環境報告書2003には、環境関連のNPO法人が、同社の担当者からヒアリングを行い、さらに工場見学を通して感じたことについても記載している。全く別の視点から、評価できる点やさらなる改善点が述べられており、有意義な活動継続に有効と思われる。
指摘例として、省エネ以外に自然エネルギーの導入や、環境指標の同業他社との比較があった。また、「小林記録紙滑ツ境基金」の設立によってNPOへの印刷物作成支援を通して、全国の環境NPO団体における同社の知名度アップと理解度向上がはかれるのでは、といった提案もなされている。いずれにしても、このようなオープンな姿勢は環境問題対応の基本であろう。

(「JAGAT info 2004年7月号」より)

2004/07/11 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会