本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

第4回JDFフォーラム・ジャパンの概要報告

去る7月29日、JAGATにおいてJDFフォーラム・ジャパンを開催した。当日は、第5回CIP4インターオペラビリティ・テストの報告とディスカッションを行った。

第5回CIP4インターオペラビリティ・テストが、去る7月12日〜16日の5日間、クレオのサポートによってバンクーバーで行われた。
今回のテストには、23社、約50名が参加し、2日間のテスト、3日間のミーティングが行われた。ドルッパ2004の直後のテストで、テストへの参加社数は前回よりも少なかったがテクニカルミーティングの参加者は多く関心の高さが窺われた。
今回のインターオペラビリティ・テストでは3つのテストが行われた。基本的にはMISとコントローラ間でJDFやJMFをネットワーク経由で交換する方法としてHot Folderあるいはhttpを使う場合のテストである。ひとつはHot Folderを使ったジョブの発行で、MIS側で発行したJDFをコントローラー側で受け取るテストである。2つ目は、httpによるJMFを使ったジョブ発行に関するものである。JMFのサブミット・キュー・コマンドとしてJDFを発行するコマンドがあるが、これもJDFがMISからコントローラーにいくものである。もうひとつは、httpによるJMF signal発行で、これはコントローラー側からMISに情報を返すもので、機械の稼動状況をMIS側に送るためのものである。

JDFのバージョン1.2は5月に正式発表になったが、テストを通じて見るとまだ以前のバージョンの会社が多く1.2に対応している企業は数社であった。
結果は、非公開でCIP4メンバーのみがHPで見ることができる。結果を非公開にしている理由は、テストは実際の設備ではなくパソコンで行われていることと、相互互換性が良い悪いといってもいろいろなレベルがあるので、そのレベルを加味しない判断が一般的に流布することで誤解を与えることを避けるためである。

現在、WGとしては、プリプレス、パッケージング、一般印刷、後加工、システム統合、JMF、MISがあるが、それぞれのWGでテクニカルミーティングが行われた。印刷のJDFの内容は既にバージョン1.2でほぼ固まっているので議論すべきことはあまりなく、パーティショニング(日本でいうドンテン)についての議論があったが、10分程度で終わった。 また、JMFの内容として、httpで情報が流れる場合の暗号化、認証等、セキュリティーに関するディスカッション等が行われた。
MIS関係では、例えば、オペレータに指示をしたが予定より早く終わった時にはオペレータが仕事をくれといっていいのか、休んでいていいのかといったことを議論、あるいは修正に関して、修正の権限は指示した者以外の誰にあるのか、修正したことをどこに報告すべきかといった議論もあった。CIP4が全体として考えていることは、JAGATが出している受注から請求に至るコミュニケーションの全てを扱うように思われる。
会議の中では「Planning」と「scheduling」の解釈についての議論などがあり、用語の問題があるようだ。
2バイトの問題については、タグの中に書いてあることが絵なのか文字なのかはわからないとしても、タグ自体は1バイトでやり取りされていてお互いに開くことができるので問題はないということが確認された。

最終日の各ワーキンググループミーティング結果報告の場では、新たなICS(Interoperability conformance specification)として、Product Description, MIS/Prepress to integrated Digital Press Manager、 Commercial Digital Printing ICS, Packaging(Specific Horizontal document or distributed Vertical documents)等を作ろうという提案がなされた。ICSは、JDF対応製品を開発しようとする各分野のベンダーが、900ページにも及ぶJDFの中から何を選択して実装すべきかを示すガイドラインである。現時点では、プリプレス、プレス、MISといった基本的なICSは策定されてほぼ出来てきている。
また、JDFのバージョン1.2がこの5月に発表されたばかりであるが、1.3をどうするかがテーマとして上げられた。
なお、同会議では、GATFがCIP4に対応しているかどうかの認証サービスを始めるとのアナウンスをしたが反対意見もかなりあった。

JDFでどこまで細かく内容を決めるかについては、大枠は決めるが細かなことはそれぞれで決める方向にあるようだ。ICSには現在3つのレベルが設定されている。JDFで同パラメータを書くのかの規則がICSである。JDFは規則がゆるくICSはよりきついので、ICSルールを守っていないと、どんなJDGFでも受け取るだけはできるということになってしまう。

第6回のインターオペラビリティ・テストは、来る10月25日〜29日に京都で開催されることになっている。

2004/08/18 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会