■デジタルカメラによるワークフローの変化
一眼レフタイプのデジタルカメラも普及し始め,印刷原稿としてRGBデータが入稿されるようになり,印刷会社を取り巻く環境も大きく変わってきた。また,扱われる画像は印刷物製作だけではなく,Webへの掲載やデータ配信などマルチユース対応にも幅広く利用される。
またRGBデータは,プリンタやWebなど多様な用途に使用できるものである。このようなRGBには基準が必要とされ,その色を決めるための入れ物,すなわち「カラースペース」が,sRGB,Adobe RGBという名前で呼ばれているものである。
RGBやCMYKなどカラースペースの異なる状況で色変換やデータ運用をする場合は,基本的に色空間が狭くなるように,広い方のデータを保存するという考え方がある。やはり情報として,多く持っているものを残し,それを利用していくことは,色の情報がなくなってしまったものから再運用するよりはよいということである。
このように,デジタルカメラの普及やWebなどITの進化により,印刷会社におけるワークフローも変わっているが,とくに印刷用途に使用される一眼レフタイプのデジタルカメラも普及が著しい。
ニコンの「D70」は,カメラの心臓部である撮像素子に有効画素数6.1メガピクセル,撮像面積23.7×15.6mm,ニコンDXフォーマットの原色CCDを搭載している。広いダイナミックレンジ,高S/Nを実現し,人物の肌などを忠実に再現する。また撮像面積が広く,大口径レンズの特長を活かした背景をボカす撮影が可能であり,既存のAFニッコールレンズが使用できる。
また,富士写真フイルムの「FinePix S3 Pro」は,スーパーCCDハニカムSRII搭載により,従来機に比べてダイナミックレンジを飛躍的に拡大し,銀塩フィルムに迫る高画質を実現したFinePixシリーズの最高峰で,有効画素数1234万画素(S画素:617万画素,R画素:617万画素),最大記録画素数4256×2848ピクセル(1210万画素)を持つデジタル一眼レフカメラである。
RGBの入れ物としてのカラースペースは,sRGBとAdobe RGBがあるが,印刷などへの対応のために色空間を圧縮する場合,その大きさによって圧縮の難易度が大きく違ってくる。したがって,仕事に合ったカラースペースを考慮しないと,不具合が発生する可能性がある。
また,カメラマン,制作会社,製版印刷会社間で,新たな役割分担やワークフローが模索されつつある。デジタルカメラデータの印刷利用において,大きな問題点となるのがRGBからCMYKへの色変換である。RGBデータをいかに品質を損なわず,あるいは品質を補ってCMYKデータにするかがポイントになる。
RGBデータをCMYKに変換するツールである,大日本スクリーン製造の「ColorGenius DC2」は,ハイエンドスキャナの画像処理技術とその蓄積されたノウハウをベースに,デジタルカメラで撮影されたRGB画像を印刷に必須なCMYK画像へ最適な自動変換を行うソフトウェアである。
富士写真フイルムの「PICTUNE21」は,Mac OS XやICC プロファイルへの対応も実現し,ファジー・オートセットアップや,自動処理の手軽さでマニュアル感覚の色修正を行うことができるデジタルカメラ画像変換ソフトウェアである。
■印刷業界で実用化に迫る液晶モニタ
一般的に使用されるPC用モニタの多くは,液晶に変わってきているが,クリエイタや印刷業界ではCRTが主流である。それは,カラースペースが狭いことや,色調の調整が困難なこと,コントラストや色度が視野角によって大きく変わってしまう等の問題が存在したからである。しかし,液晶にも,環境光の影響や経時変化が少なく,省スペース,省電力というメリットもある。
ナナオの「ColorEdge」シリーズは,キャリブレーションソフトウェアを標準搭載した液晶モニタであり,21.3型,18.1型に加え,19型の3つのモデルがある。色再現域,色度変位,ガンマ,視野角,輝度など色再現性を向上させ,特にガンマ調整では専用ASIC(特定用途向けIC)やソフトウェアの開発により,CRTモニタを上回る高精度な制御技術を確立している。
また色空間は,CMYKよりRGBの方が広いと思われているが,厳密にいうとパソコンやデジタルカメラでほぼ標準となっているsRGB色空間には,CMYKより狭い色域がある。
ポジフィルムからどんなに高性能なスキャナでPCに取り込んでも,モニタ上で色が納得できなかったのは、このsRGB色空間の狭さが原因であった。
従来,AdobeRGBは印刷再現ができても,それを確認できるモニタが存在しなかった。したがって,モニタに再現できない色は調整のしようがないのでsRGBで十分という意見も多く聞かれた。
このような環境のなか,NEC三菱電機ビジュアルシステムズより高色域モニタが発表された。従来のCRTに比べ150%の色再現域を持ち,印刷業界で利用されるAdobeRGBの色表示領域をほぼ全域サポートできる表示解像度1920×1200ドットの高精細広色域LEDバックライト液晶モニタ(23インチサイズ)を開発した。
AdobeRGBをほぼサポートする広色域新蛍光体を採用し,CIExy色度図上の面積比はAdobeRRGBに対し109%(従来CRTで72.5%)を実現する。
Super Advanced Super Fine TFT (SA-SFT)LCDパネルによる優れた視野角特性に加え,10bitLUT(Look Up Table)の採用により10億6433色中の1670万色の表示が可能となり,優れた視野角特性、階調再現性を発揮する。
■重要視されるデジタルデータの効率運用
印刷業界に限らず,写真,図版,広告コピーから会議資料まで,あらゆる情報やデータが最初からデジタルで扱われるようになったので,それらのコンテンツを管理することは必須になり重要性を増してきた。
したがって,印刷会社は単に印刷原稿であるデータをもらうだけではなく,あらゆるデータが効率良く流れる仕組みを考慮いていかなければ,今後のビジネスは成り立ちにくくなる可能性もある。
このように,印刷業界などにおいてデジタル化された写真や素材等を資産として管理し,最大限に活用するためのシステムを DAM(Digital Asset Management)といい,素材管理システムやコンテンツ管理システムとも呼ばれることがある。
DAMなどの管理システムを印刷に結びつけることは,特異なケースではない時代になり,印刷物と同時にWebを受注することも多い印刷業界には,大きな影響を及ぼすことになる。
これらの実現を支援するためのシステムとして,ビジュアル・プロセッシング・ジャパンの「DTPターボサーバーVer.6」は,印刷業界におけるDTPコンテンツサーバとして,社内でのデータ一元管理・運用や効率的なバックアップ・アーカイブ手法など基本的なワークフローから,営業戦略としてのリモートコンテンツデリバリ,データベースを活用したWebサービス,さらにデータの二次利用を促進させる自動組版ソリューションや工程管理システムと連動するデータ管理ソリューションなどの製品群を提供する。DTPターボサーバーを使用した画像処理は,ICCプロファイルに対応する。
サカタインクスの「MediaBeacon(メディアビーコン)」は,分散している各種印刷用デジタルデータ(デザイン,イラスト,画像など)を、XMLベースで一元管理するDAMシステムである。複数のファイルサーバに接続するだけで、リレーショナルデータベース(RDB)が自動的に構築でき,インターネットからのデータ入稿など新しいビジネス展開を実現できる。
インテリジェントワークスは,HELIOS社(本社:ドイツ・ハノーバー)の日本国内販売元として,DTP向けの大容量ファイル転送に対応し,インターネットからのデータ入稿を可能にするLinuxベースの安定したギガビットハイコストパフォーマンスサーバ「sm@rt_Serve」(スマートサーブ)を提供する。
恒陽社のアクティブアセット(ActiveAssets) は,大容量画像管理データベースを利用した,画像をはじめとするデジタルデータを管理,共有,配信するシステムである。すべての操作をWebブラウザのみで行うことが可能であり,ASPサービスとサーバ・ライセンスから選択できる。
2004/08/26 00:00:00