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営利目的の事業になったISO認証の改善提案

lS0 9000認証が始まって約10年が過ぎた今,所期の目的が達成されたかを評価するならば,期待に添っていないと言わざるを得ない。最大の問題は、本来産業界のために役立つサービスであるはずのものが,営利目的の事業になっていることである。

認証機関がある企業に認証を与えれば,その企業からは引き続き監督料や再認証料が見込める。したがって、多くの企業が認証ビジネスに参入し、激しい競争が起っている。認証機関は、競争に勝つために賃金が安く必要な訓練も受けていない監査員を雇ってコストダウンを図る。利益を上げるために,訓練機関やコンサルタント企業と裏で手を組む業者も出てきている。認証が得られなかった例があまりなく,認証が停止されたとか,取り消されたという話をほとんど耳にしない根本的な原因は,監査を受ける組織と認証機関が顧客と供給者の関係になっているからである。

現在の認証制度のもう一つの問題は,監査員が文書中心の監査のみを行う傾向が強いことにある。プロセスが実際に適切に管理されているか,製品の品質に明瞭な改善の跡が見られるかどうかについてほとんど着目されることがない。これは,監査員が5日間の研修コースを終えただけで,専門的な監査に必要な製品やプロセスに関する知識を持っていないことに原因がある。

現在の制度は次のような3つの問題を抱えており,その改善が急務である。
1.認証機関と監査を受ける組織との営利関係
2.監査員の専門的能力
3.認証機関が,監査を受ける企業の製品またはサービスの最終顧客に対して負う責任 これらの点を踏まえて,次のような一つの解決法としてのモデルを提案したい。このモデルは,認証プロセスの'非商業化'を目指すものだ。

認証機関,認定機関,国際認定機関フォーラム(lAF)という3層構造は問題ない。改善の第一点は,各国毎に一つの認定機関を設立するようにすることである。その国の認証機関は,当該認定機関による認定を受けなければならない。認定機関は,認証機関と協議して,認証や監督・監査に関する標準料金体系を定める。認証を受けたいと希望する企業は,国家認定機関に申請を出し,認定機関は企業の提出したデータに基づいて認証料を決め,認証監査の契約を結ぶ。認定機関は,業務が認証機関に公平に振り分けられるように,認証作業を実施する機関を決定する。このあとの認証関連活動は・認証機関と認証を申請した組織が直接交渉して取り決める。そして、認証機関は,認証を与えた場合にも与えない場合にも認証料を受け取ることができるようにすることである。

第2の改善点は、認定機関の査察員チームが,認証機関の顧客の中から無作為に選んで,その監査をやり直して判定する方式に改める。こうすれば,認証機関の能力がはっきりとわかる。
認証機関の監査員は,文書化された品質システムの監査を行う以外に,すでに合格とされている製品の試験をやり直し,最初の検査報告書と突き合わせて文書の完全性を確認する。 顧客がlSO認証を受けた業者に発注し,その業者のパフォーマンスに納得がいかなければ,不満を憶えた顧客が認証機関に苦言を訴えることができるようにする。そのことによって、業者は認証の取り消しを恐れて顧客を満足させるようになり、顧客、エンドユーザーにとって認証が価値あるものになるだろう。

以上のように,認証プロセスを手直しすれば,IS0 9000規格を本当に実現している企業だけが認証を受け、それを維持できる。そして,認証制度が最終的な顧客にとってきわめて価値あるものとなり,認証ビジネスの信頼が回復できるようになるはずだ。

(JAGAT info 2004年10月号より)

2004/10/10 00:00:00


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