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減少する申告所得4000万円以上の印刷企業

国税庁から発表された2003年の申告所得データによると、2003年に4000万円以上の所得を申告した印刷産業の企業(以降、ランク企業という)は793社であった。ランク企業数は、1991年には1465社あったが、景気の山谷をひとつ経る毎に減少して、この12年間でほぼ半分になってしまった。しかし、印刷産業の出荷額に対するランク企業の売上高シェアは年々上昇し、1994年の57.2%から2002年には69.6%とほぼ7割に達している。

ランク企業には、当然、大日本印刷と凸版印刷の大手2社が入っているが、上記のシェアアップに貢献しているのは大手2社以外の準大手、中堅印刷会社である。例えば、1994年と2003年の間における売上高の変化を見ると、大手2社の売上高増加は9%であるのに対し、その他ランク企業の売上高は24.5%増加している。しかも対売上所得率は5%前後で推移し、2002年以降は大手2社の所得率を上回っている。 印刷業一般は、価格下落で痛めつけられたという声を耳にするが、少なくともランク企業という所得額でトップクラスの中堅印刷企業グループは業績を維持しているということである。

所得金額は営業利益額とは異なるがほぼ近い数字になる。中小印刷業の2003年の対売上営業率平均は3.1%だから、ランク企業に名を連ねるために必要な4000万円の営業利益を上げるための売上高は13億弱と計算される。この売上高は、従業員数50名〜99名規模の印刷会社の平均的年間売上高である。つまり、50名〜99名規模の印刷会社は、業績が良ければランク企業に顔を出すが、業績が悪くなると圏外に去るということになる。事実、ランク企業は、50名〜90名規模の企業を中心に毎年250社前後が入れ替わる。

図(PDF26KB)に掲げた企業は、1999年〜2003年までの5年連続してランク入りしている企業で274社ある。上記のことから、従業員数50名〜99名規模の印刷会社で、常時、ランク入りしている企業は、利益が安定している企業ということができる。

(「JAGAT info 2004年10月号」より)

2004/09/26 00:00:00


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