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クロスメディアで変わる情報と人の流れ

販促印刷物で考えると、DTPという制作の仕事はかつては他の販促手段とは独立した仕事であった。他の手段とは、かつてはTVや新聞雑誌広告のようなマスメディアと、SP広告であったが、今はWEBやmailや携帯電話などの広告がぐんぐん伸びていて、広告費の費用対効果でも成果を上げている。
そのために印刷だけを独立したメディアとして考えることはしだいになくなり,販促データを複数のメディアに展開する,クロスメディアビジネスが増えてきた。通信販売の業界をみると,紙の商品カタログとほぼ同じ見栄えの電子カタログをWebで提供し,ネットで購入できるという仕組みが一般的になりつつある。

従来の印刷の仕事は、「印刷用の原稿を用意してください」と発注者にいっていたが、紙,CD,DVD,Web,携帯電話など情報を配信するメディアが増え,それにあわせてデジタルデータも文字,画像,動画などが多様なフォーマットで保存されていて、発注者にとってはメディアを多く使うほど手間がかかることになり、しだいに個別に「印刷用の原稿を用意してください」は、やってられないことになる。
そこで、個々の素材を編集したコンテンツを一気に多メディアに配信するためには,そのデータの性質や管理するデータベース,マネージメントシステム,さらにはコンテンツの著作権等の知識が必要になる。また,コンテンツを効率的に配信するためのネットワークやサーバの知識,外部からの攻撃に耐えられるサーバのセキュリティ技術なども欠かせない。発注者が求めるソリューションを無視しては、印刷の仕事も来なくなるかも知れない。

クロスメディアは,効率化と売り上げ向上の2点を実現する

例えば,Webや携帯電話を利用したネットビジネスは,最近ポイント制が流行している。商品を購入するとポイントがつき,貯まったポイントは商品などに交換することができる。ポイント制があると,消費者はついポイントが貯まるところで購入する。メールやWebで売り込み,さらに,繰り返し利用してもらえるようにポイント制という付加価値を利用して導線を作ることで,消費者の関心をダイナミックに追いかけて、購入する機会を適切に提供して売り上げアップを期待することができる。これらは単一メディアでできることではなく、いろいろなメディアを連携させて、導線を途絶えさせないようにすることで実現する。

またメディアを組み合わせた効率的な学習を実現するeラーニングでは,大学で普及が一層進み,教材と電子図書館との連動などが行われている。また,企業内教育におけるeラーニングは,新規事業の短期間の立ち上げに役立っているという。eラーニングを活用すると,広範囲に大人数の社員に対して短期間に知識を習得させることができるため,新規事業の準備期間も短くなるというのである。本格的にeラーニングに取り組み、成果をあげる例が出てきつつある。

日本のWEBは個人がホームページで日記を書くという例が多かったが、それらはひとつのスタイル「ブログ」に集約されつつある。ブログは,個人の日記やジャーナルサイトとして2004年,一気に日本で広がった。しかしブログは日記のためにあるのではない。その厳選された機能と利用の簡易さから,企業の利用も増えてきた。機能を限定して割り切ってしまえば,低価格なコンテンツマネジメントシステムとして,自社の製品紹介サイトやグループウエアとして利用できるからである。

【PAGE2005のクロスメディアトラック】では,以上の動向の最先端の人々に登場していただくことに加えて、現在 Call for speqaker で呼びかけて、これら以外のクロスメディアのビジネスや技術を活用して活躍する方をまねき,コンファレンス(会議)という形でスピーカー,参加者それぞれがクロスメディアのビジネス課題や技術の2〜3年先の方向性について議論する。

2004/10/26 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会