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電子入札にどう取り組みますか

電子入札の原則は,発注側で公示する対象印刷物の詳細な仕様を入札参加者に的確に伝えられなければならない。ところが発注者は印刷の専門家ではなく,適切な印刷物の製造設計ができないのが現状だ。一方受注者は公示されている仕様情報が不足していても,過去の経験値で入札してしまう。
電子入札でなくても起こる現象ではあるが,不明瞭な仕様書を類推解釈で入札してしまう現状の取引慣行のままでは,発注者に出向かなくてもよいといった入札の仕組みが置き換わっただけの結果でしかない。出向かなくても入札者が仕様を完全にできる仕組みをWebシステム上で構築しなければ,根本解決にはならないだろう。

(東京・トーク 山本社長)


電子入札になると価格が下がってしまったという話があるが,わが社の周りでも市町村合併が盛んで,従来の取引慣行はいわゆるガラガラポンになってしまっているので,電子入札だけを悪者にして考えても何も策は見つからないと思う。
電子入札などで取引が公平で透明になることは,長期的には良いことだ。ただ企業の調達のオークションのように,ITの仕組みで値引き合戦ができるような仕組みを作っていくのは考えものだ。それで本当に発注者のためになるのだろうか。
むしろ入札条件をもっと詳細にしていって,金額などではなく,コンプライアンスや各種管理システムの運用レベルなどを含め,本当にその仕事にふさわしい業者を選んでもらえるような方向に進むべきだろう。
(匿名希望)


関西地区の自治体を広く営業しておりますが,電子入札について,各自治体窓口担当者の温度差には正直,驚いています。関心は高いが予算関係の配分で苦労しているところもあれば,話はあるが「やりたくない」という個人レベルの判断が強いところ,合併問題でそれどころではない自治体等々……。
入札は電子だろうがアナログだろうが,入札制度そのものの根本問題の改善・変更がなければ電子化の意味がないでのハードルは高いと思います。ただ,国の政策方針が出ているので進み始めると一挙にいく可能性もあると読んでいます。
(大阪・某印刷営業)


先日,取引先のある自治体からのFAXアンケートを受取りました。内容は印刷会社のデジタル化の状況を問うものです。曰く,CTPの設備状況は,PDFへの対応の可否は,HTMLへの対応は,さらにXMLは扱えるかなど,想像以上に印刷工程のデジタル化を知っているな,印刷会社におけるホームページ制作の対応力まで関心を持っているのかと,驚かされました。
地方の印刷会社の方とお話しすると,地方の仕事は官公需頼みであることが良く分かるのですが,対応策は問うと,まずはインターネットへの接続やEメールを始めなければなど,初歩的なデジタル化対応を急ぐとおっしゃる方いらっしゃいます。しかし,わが社が受取ったアンケートを見る限り,世の中そんなに甘くない。少なくともそのアンケートを送ってきた自治体の考えていることは,自分たちでWindowsDTPなどでページを作りPDFにして送るので,印刷会社はCTPで直ちに刷版,印刷,製本して,速やかに納品することを求めているのだなと解釈しています。これからインターネットやEメールへの対応などを始めても,申し訳ないのですが全く手遅れではないでしょうか?
(東京・中規模印刷会社)


入札方式が電子入札に変わっても,仕様書の作成など業務負荷は何ら変わらない。どのような内容,記述であれば,仕様書として適切であるか印刷業界から示してほしいのだが…。とはいえ,果たして要望に十分こたえられるかは自信がない。
詳細な仕様書は書けないから見本を見て判断してほしいのだが,電子入札の目的とは逸脱してしまうので電子入札への転換が困難と感じている。
現状の入札制度は,最低価格で落札しているが,無理して落札した業者の品質低下が気になる。電子入札に変わるとより顕著になるのではと心配だ。加えて,建築物の場合では,安全基準などの品質要求基準があるが,印刷物の場合,品質を要求する項目や基準を示す手段がない。
(某県庁担当者)


電子入札で印刷受注価格を印刷会社同士が叩き合っている面はあるが,それはたまたまこの現象がネットオークションという「見えやすい」形で起こっているというだけの話で,その裏には印刷の供給過剰というアンバランスがある。
それは自明のことだから対策も単純で,営業は損する仕事は取らないことと,現場はコストダウンの努力だが,問題は損得でもコストダウンでも,社内で試算をする際の精度が,従来の勘とどんぶりの経済感覚では全く論外になるほど,シビアに管理しないと利益が出なくなったことだ。
電子入札は時代のすう勢で抗し難いものがある。得意先のいくつかは電子調達になり始めた。わが社はそれでもやっていけるように,内部の改革をするしか生き残る道はないと思い始めた。社内のコンピュータシステムも厳密な見積もりがだれでも簡単に出せるようなものに変えていかなければならない。
(匿名希望)


入札では本当に悩んでいます。現状,電子以前の問題で,ことに官公庁では年度ごとの契約ですので,業務の連続性の保証がなく,パートナーにはなれないのが現実です。
まじめに提案するのに結果バカを見ることもなきにしもあらずです。また不当な権利吸い上げにも閉口します。電子化が入札問題の改善につながるというのは幻想です。
(新潟・営業)


昨日,ある営業マンの日報を読んでいて背筋が寒くなってきました。その報告には○×公社では試験的で限定的ではあるが11月からの入札に,逆オークション方式を取り入れるというものでした。仕組みはこうです。はじめに予定価格が提示されて入札が行なわれます。そして応札価格の最も低い価格を提示して,再び入札を行うというのです。しかもこれを何回も繰り返すというのです。どういうことでしょうか? われわれ中小の取引業者は死ねといっているのでしょうか? 困ったことです。
(東京・印刷会社)


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2004/11/15 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会