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環境対応活動収支をプラスにする大手印刷業

環境問題への対応は、各社それぞれに進めてきているはずだが、経営者、従業員ともに、もうひとつ取り組み意欲がわかないというのが本当のところだろう。根本的には、人間へのさまざまな環境リスク回避のためにやることと理解しても、過去の公害問題のように身近に明らかに見える形で被害が及ぶことは少なくなっているし、環境問題対応は、どこまでやれば「これで十分」ということになるかの見通しがつかない。
したがって、最初はそれなりの志も持って力を入れて始めたとしても、何時の間にか惰性、あるいは後追い、後ろ向きの対応に終始するようになる。やはり、何かやるときには、「負の解消」だけではなく「プラス効果」の期待がないと長続きしない。具体的は「環境に優しい」だけでなく、企業ブランドが上がって仕事が増えたり、環境対応製品の開発で売上、利益が拡大できることである。この点で、大手企業では研究開発の成果を着実に実らせつつある。

図1−1、図1−2は、大日本印刷株式会社の環境会計に示された同社の「環境保全コスト」と「環境保全対策に伴う経済効果」の5ヵ年の推移である。投資額、費用額は年によるバラツキはあるが趨勢としては横ばいで推移している。
同社の場合、2003年度における環境保全コストとしての投資額は、全投資額の2.22%、環境保全コストとしての研究開発費は全研究開発費の9.26%になっている。事業所エリア内コスト15.5億円の約70%は溶剤回収・除去を目的とする設備投資である。主にグラビア印刷に関連するものと思われるが、2年後のVOC排出規制への対応で引き続き溶剤回収装置、除去装置等の導入を推進するとしている。いずれにしても、環境対応のために出て行くお金はなかなか減らない。

一方、環境保全に対応する経済効果を見ると、環境配慮型製品売上高は年々増加して2003年度は1404億円となり1999年度に対しては4.7倍になっている。「不要物リサイクルによる事業収入」や「省エネによるエネルギー費の節減」、「省資源に伴う廃棄物処理費の節減」といった費用節減による経済効果は最初のうちは増加するが、あるところで頭打ち、あるいは減少する傾向が見られる。つまり、環境対応活動の収支改善は、環境対応製品の開発、市場への投入といったこと以外では難しいということである。


図1−1と図1−2から収支バランスを見る場合、環境配慮製品に関わるプラス分は売上高ではなく利益額で見る必要があるだろう。例えば、その利益額を売上の15%程度(凸版印刷株式会社における過去4年間の実績平均)として計算してみると、2001年には、それまでのマイナスがプラスになり、2003年度には100億円程度のプラスになっている。もちろん1404億円の中身は、新たに創り出された市場による売上だけではなく、従来製品の代替としての売上が多く含まれているだろうから、その分を割引いて見る必要はあるだろう。しかし、収支が年々改善されてきていることは間違いない。
環境対応の内実は、気持ちの点だけでなく実利においても、どんどん企業間の差が開いていくことになる。

(JAGAT info 2004年12月号より)

2004/12/05 00:00:00


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