本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

技術変化は止まったのではなく、異質なものとなった

10月に「 循環型メディアビジネスに向けて」の記事で、今後はデジタルコンテンツの再利用が多くなり、再利用のパフォーマンス競争が起こることとか、ビジネスプロセスの改善とリンクしたコンテンツ生成・再利用の仕組みが求められる時代に向かっていることを述べた。これが今の「デジタル化が一段落した」「技術主導の時代は終わった」ように見える状況の次に迫っていることであり、今までの「アナログ→デジタル」という技術変化とは異質の取り組みが求められる理由でもある。

このPAGE2005コンファレンスの主眼に基づいて、同記事でコンファレンスで発表していただけるスピーカーを募集したところ、数十件の応募があり、すべてはコンファレンスに収容できず、JAGATの研究会セミナーにて発表していただくことになった案件も10件ほどあった。その結果、2005年2月2日(水)〜4日(金)のPAGE2005コンファレンスとセミナーのセッションタイトルは、このように決まりました。ここに応募いただいた各位にあらためてお礼を申し上げます。

基調講演
従来のビジネスの延長上に安直にWEBビジネスを考えると失敗したのだが、WEBには途方もないフロンティアがあることが、ebay、yahoo、amazon、google、楽天などの活躍によって明らかになりつつある。2月2日の基調講演は、PAGE2004では「変化する市場」としてamazon.com他の新たなビジネスプレーヤーを招いたセッションを行ったが、PAGE2005はその続きとして、今日のWEBの時代を切り拓いた立役者であり、今も躍進中の超有名な先端的3社が、ネットのポテンシャルを活かしたそれぞれのビジネスについて、IT環境の中でのサービス、技術、あるいはポジショニング、などを語り、未来におけるさらなる飛躍を展望するセッションを企画中である。中期的な情報ビジネスの方向性を考える重要なヒントとして、ぜひお聞きいただきたい。

メディアの制作を循環型のビジネスにしていくには、まだいくつかの大きなハードルがある。技術面では、情報をシェアするインフラや、再利用に向けた新たな技術開発がある。データベースやXMLなどはあるものの、まだすぐに低コストで活用するには、中間の業界標準のようなものやツールが足りない。その萌芽的なものは、W3Cの活動や、業界ではNewsML、XMP、JDFなど、いろいろ見受けられるようになった。PAGE2005では、それらに関して海外からAdobe XMP, PDF, JDF の専門家を迎えることができ、世界的なグラフィックアーツ業界の英知を集めて、コンテンツ利用、コンテンツ加工の将来の姿を検討できるようになった。A1A2セッションの主旨は次のとうりである。

セッションA1 制作の自動化とメタデータ
組版の効率という視点で、DTPに従属させて原稿のデータベース化に取り組むのも、コンテンツマネジメントやDAMに合わせてDTPを使うのも、いずれは行き詰まる。DTPとコンテンツマネジメントやDAMが独立して、発注者・受注者間がオープンに、しかも広範に連携がとれて、自動処理もスムースに行えることが必要である。
これらオープンな情報交換のインフラとしてXML応用やWEBの技術の急速な発達があるので、それらの技術進化の流れに合わせてプリプレスの作業の土台も作り変えなければならない。
今日そのためにどのような努力がされているのか、それの実装、実用に向けた課題は何か、それらによってグラフィックアーツの世界はどうなるのかを検討したい。

セッションA2 制作の制御と管理
今日にいたるドキュメントのデジタル化は、個々の作業現場という離れ小島の中だけの変革で、ドキュメントを企画し資料を集める段階、原稿を整えテキスト編集する段階、各出力応じたページ制作の段階,印刷・加工などプリントオーダーの段階、を結び付け、トータルな制御と管理をする技術が後回しになっている。
各段階の間での情報交換にはJDFが使われようとしているが、ページ制作までの上流工程については「グレイボックス」のままで、どのようなモデルを考えるのかもこれからの課題である。
とりわけ編集・制作作業の情報伝達とモニタリングや、プリントオーダーとトラッキングについて、今後の方向性を検討したい。

基調講演B1B2のコンテンツビジネスについては、第1は、ネットワークとデータベースを使って、紙の上のモデルとは比較にならないダイナミックなメディアができることとについて、第2は社会的にデジタル化したコンテンツが満ち溢れるようになってどんなビジネスが起こるか、メディアの世界がどう変るかを話し合う予定で企画を進めている。基調講演以外でもクロスメディアトラックの半数近くのセッションはコンテンツビジネスに関係したものとなった。

コンファレンス
印刷からWEBまでの各種メディア制作の2〜3年先のために考えておくべき課題を、3つのトラックに分け、それぞれグラフィックアーツ業界の土台を揺るがす動向をしっかり捉え、それに立ち向かう今日的な戦略課題を考えるものである。応募が多かったのはコンテンツマネジメント、自動組版、XML関連である。

セミナー
今ぜひ取り組んでおかなければならない重要事項に焦点を絞り、定評ある講師陣や先進的な取り組みをしている会社に登場していただく。まだ流動的で2年経つと状況が大きく変り、予定どうりには進まないコンピュータ化IT化の舵取りのために、業務の責任者の知識をリフレッシュしていただきたいテーマである。

詳細は12月中旬頃にホームページで徐々に発表する予定であるが、PAGE2005に期待していただいて、最新の情報収集と情報交換の場として活用いただきたい。

PAGE2005 コンファレンス セミナー プログラム

2004/12/02 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会