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世界最大のダイレクトマーケティングイベント〜DMA第87回年次大会報告〜

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印刷物市場で,大きく拡大が期待できる分野はダイレクトメール(DM)である。DMが注目を集めるのは,近年,マス広告が投資費用に見合うだけの効果を上げることが困難になっている中,マス広告に代わるものとしてダイレクトマーケティングに対する期待が大きくなっているからであろう。このダイレクトマーケティングに関する世界最大のイベントはDMAの年次大会である。昨年10月に開催された第87回年次大会の概要を報告する。

ダイレクトマーケティングをリードするDMAとは

DMA(Direct Marketing Association)は1917年に設立され,以来,世界のダイレクトマーケティングの中心として活動している。世界45カ国から5200社が会員企業となり,DM,テレビ,新聞,インターネットなど,ダイレクトマーケティングの関連ツールとなるすべてのメディアをその活動対象として取り上げている。また,ダイレクトマーケティングのアカデミー賞として有名な国際エコー賞の審査・授与もDMAの活動の一環である。

5日間にわたる盛りだくさんのイベント

今回は米国ルイジアナ州ニューオリンズ市にて10月16日(土)から5日間にわたって開催された。デキシーランドジャズの音が聞こえる陽気なお祭りという盛り上げ方がされていた。年次大会はコンファレンスと展示会から構成されているが,開催日初日の夕方に懇親パーティがあり,参加者やDMA幹部との顔合わせ,翌日,エコー賞の発表が行われた。月曜日からコンファレンスの本格開催が始まる。

先進的ダイレクトマーケティング事例:国際エコー賞(International Echo Aword)

エコー賞は1930年から開始され,今回は75回目になる。マーケティング戦略とレスポンス結果の2点から審査され,その年の最優秀ダイレクト・インタラクティブ・マーケティング・キャンペーンが表彰される。最優秀キャンペーンはダイヤモンド賞,以下,ゴールド,シルバー,ブロンズ賞として,その栄誉がたたえられる。2004年は世界40カ国から1079件の応募があり,ダイヤモンド賞受賞が5件,ゴールド賞が14件などであった。1079件のうち,米国からの応募は519件,海外からは560件であった。
なお,International ECHO Awards CD-ROM がDMAより発売されており,キャンペーン詳細は本CDで確認していただきたい。また,本年開催されるポスタルフォーラム2005では,日本郵政公社ブースにてダイヤモンドとゴールド賞を受賞した最新の8作品が展示される(一般公開日本初)。世界の頂点に立つ作品をこの機会にぜひご覧いただきたい。

選択に迷うほど多数の実践的なコンファレンス

コンファレンスは基調講演と一般コンファレンスから成っている。今回の基調講演は新CEOのJhon Greco氏,オグルビー&メイザーの前会長兼CEOのCharlotte Beers氏,タイムワーナ メディア&コミュニケーショングループ代表 Don Logan氏が講演。
一般コンファレンスは,B2B,クリエイティブ&プロダクション,CRM,データベースマーケティング,ダイレクトメール,デジタル印刷などの多くのトラックから構成されている。セッション数が非常に多いので,事前にプログラム内容を充分確認しておかないと,どのセッションに参加すればいいのか選択に困る。また,レジメがないこともあり,参加者と講師との間で適宜応答を実施するなど,文字どおりインタラクティブな進行がなされていたが,外国人にとってはレジメがほしいところである。今回多くのセッションを聴講する時間がなかったが,コピーやクリエイティブ関係はどのセッションも満席であった。クリエイティブ関係は米国でも人気のようである。

基調講演 DMA CEOのGreco氏

講演内容は,主にダイレクトマーケティング業界の動向と業界の主要政治的課題についてのDMAの考え方,またDMA会員企業に対する今後の活動についてのコミットメントであった。前年まではDMAにとって厳しい状況が続いていたこともあり,最初に明るい市場見通しが述べられ,以下政治的課題等についての講演があった。ここではその概要を記す。

・テレマーケティング
2003年10月からFTC(Federal Trade Commission:米国連邦取引委員会)のNational Do Not Call Registry(電話お断りリスト)が開始され,既に6400万の電話番号が登録済みである。このようなシステムが必要と考えていないが,消費者の要求は尊重していく。

・遠隔地売り上げ税
その州に物理的な拠点をもたない遠隔地の販売者がその州に売り上げ税を払う必要があるか否かという問題である。DMAはここ何十年間,この問題に「ノー」と言い続けてきた。しかし2005年には連邦議会でこの問題が再燃する可能性もあり,今後もこの立場で会員企業の利益を代弁していく。

・スパム
この問題には多方面から取り組んでいる。FBIとの共同作戦にも資金を提供した。この成果として何百ものスパムオペレーションが排除され,逮捕者も出ている。今後もこの問題への対応を継続する。

・プライバシー
プライバシーに関する論争は技術進歩とともに白熱している。しかしマーケッターにとってデータがないということは,ダイレクトマーケティングが成立しないことを意味する。くれぐれもデータの使用方法やセキュリティポリシーを十分確認していただきたい。消費者にもわれわれにも重要なことは,消費者の好みや選択であることを訴え続ける必要があることである。2005年にはリストとオンライン業務に対する議会の目はより一層厳しくなるだろう。

最後にDMAブランドの基礎は,「信頼,サービス,価値」にあること,また「すべては顧客に始まり,顧客に終わる」ということが述べられ講演を締めくくった。

DMAと日本企業との関係は今までほとんどなかったが,アジア諸国ではDMAと盛んに交流を行っている。アジアの中で日本の存在感は残念ながらまだ低い。ダイレクトマーケティングの手法を早く身につけ,マスマーケティング手法と効果的に使い分け,ビジネスに生かしていくこと,これが今後のマーケッターに求められるのではないだろうか。

(Printers Circle2月号より一部抜粋)

★関連情報は,「ポスタルフォーラム2005」のコンファレンスに盛りだくさん。ご期待ください!!
「DMAエコー賞にみる世界一のダイレクト・インタラクティブ・マーケティング事例」(Z4)(2/3開催)
・「世界各地のDM市場動向」(Z1〜Z3)(2/2開催)

◇ポスタルフォーラムホームページは,http://www.postal-forum.com/
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2005/01/10 00:00:00


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