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技術の進化によって拡がる動画ビジネス

世の中のデジタル化が進行するに連れ,出版・印刷業界に携わる人々も,紙からCD-ROM・Webサイト制作へと活躍の場を広げてきた。現在ではインターネットのブロードバンド化に伴い,映像や音声などを活用して「リッチな表現」ができる環境もほぼ整った状況となっている。しかしながら,「紙メディアで培った経験を十分に活かした動画ビジネスモデルや動画コンテンツ」の数は,決して多いとは言えない。未だに動画のことを「特殊なもの」もしくは「放送のためにあるもの」と,やや大袈裟にとらえている向きが多いためであろう。

そんな中,出版社を母体とするインターネット放送局として成功を収めているのが「インプレスTV」である。もともと雑誌・書籍を扱う出版社インプレスのデジタル化構想の中で生まれたプロジェクトであったが,試行錯誤を重ね,現在では国内で最も有名なインターネット放送局の一つとなっている。
「インターネット放送には前例も少なく,それに見合った制作ノウハウや表現方法,配信や技術的側面にもついてほぼゼロからのスタートでした。インフラ面でのBBがより身近な存在になったのと同様にインターネット放送はけっして特殊な事では無く,必然の進化の過程にあります。言い換えればそれだけそこにはビジネスチャンスがあると言えます」とインプレス TVカンパニーの萩原和彦氏は言う。
一方,もともと映像を扱ってきた放送メディアにとっても,インターネットの存在は無視できないものとなっている。既に「テレビはメジャー,ネットはマイナー」という構図は崩れ,消費者はテレビとインターネットとを使い分けるようになってきている。また,インターネットであれば,従来型の一方向の放送とは異なるコンテンツの見せ方が可能となる。たとえ素材が同じであっても,オンデマンドであるか否か,付加情報があるか否かによって,コンテンツの価値まで変わってくるのである。

テレビ,CD-ROM,インターネット,さらには携帯電話と,様々な機器に対してコンテンツを提供できる時代となると,制作サイドにとって重要になるのは,いかに効率よく素材をリサイクルし,ワンソース・マルチユースの環境を構築できるかということになる。そのためにはメタデータの概念が必要不可欠である。アイ・ビー・イーはメタデータを上手に活用した動画メディア編集/エンコードのためのシステムを数多く開発しており,その製品は放送業界・各種大学などでも活用されている。

「動画」という言葉は「放送」や「番組」をイメージさせてしまうことが多いが,もちろん,それは間違いである。我々の身近にある様々なマニュアル,広告なども,動画をはじめとするリッチなメディアを使うことでわかりやすいものとすることは十分に可能である。また,プレゼンテーションの風景をネット配信することで,地理的な問題や言語の壁を乗り越えられることもある。我々の身の回りには,動画活用によって活きる素材はたくさんあるのだ。従来メディアと動画を結合させることで,新しいコンテンツ,新しいビジネスモデルはいくらでも生まれる可能性がある。

「未完成な市場だからこそ,チャンスはそこかしこにある」。動画に関して,インプレスTVの萩原氏,アイ・ビー・イーの竹松氏は口を揃えていう。特に「携帯動画」は両氏とも注目しているジャンルの一つである。

PAGE2005「C6 ネット動画がビジネスを変える」セッションでは,両氏に,デジタルメディア・ジャーナリストの姉歯康氏を加え,技術の進化がもた らした動画ビジネスの可能性についてディスカッションを行う。

2005/01/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会