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プリプレスの品質保証を求めて

ISO9000など管理システムに目が行過ぎて、本来何をすべきかという、使命やコンピタンスをおろそかにしないようにしないといけない。管理の取り決めを増やしていくよりも、チェックする項目が少なくて済むように仕事のやり方を変えていくことが基本であろう。印刷の仕事についてはプリプレスのDTP化によって、随分多くの工程が統合されて減ってしまったが、まだ残っている人手による作業を減らす方向性をちゃんと見据えた上で、管理システムの今後も考えるべきである。

仕事の改善と管理システムの改善を連動させないと、現場が改善されても他のところが手間がかかったり弱点になったりする事もありえる。DTPやCTPで工程が減った分だけ、間違いを起こす場所が減ったわけだが、間違いに気づく場所も減ったことでもあり、そのことはリスクの増加につながる。そのリスクを押さえ込む策が必要である。

刷版の検版をするよりも、1bitTiffなどでデータのソフト検版をすることでCTPに対応することが多くなっている。DI機などオンプレスのCTPではそれしか方法がないこともある。そうすると版が完璧に焼けて印刷の刷りだしが安心していられる条件は何かが理解されていないと、トラブル対策にはならない。

もしある時に刷版にキズかゴミがついて印刷不良を起こしたら、その後は刷版の検版項目が追加されるかもしれない。野球のルールブックのようにその都度ルールを追加していくと、冒頭の管理のための作業が増えていってしまう。仕事は管理基準を満たすためにするのではなく、仕事に必要なことを管理するように、いつも意識を戻しておきたい。

プリプレスが終わってからは人手を介することは非常に減ったのだが、意外にプリプレスは人手でファイルの選択や開閉をしていて、品質保証という点ではあまり前進がない。作業現場がギガビットLANのようなブロードバンド環境になってきたので、これからサーバーでのデータの一元管理や一元処理がテーマになってくる。

今までは人手でホットフォルダにファイルを移すようなやり方をしてたものを、「間違いのないシステム」にするには、予め仕事ごとにファイルの作業順路を決めておくとか、人ごとに担当業務とスケジュールを決めておくとか、ファイルごとにその扱われ方を決めておくなどして、実際の作業の段取りを自動化し、そのとうりに作業が進んでいることを自動追跡するシステムが必要である。

また予定外のことで作業変更しなければならないときでも、上記の仕事、人、ファイルの3つの管理が簡単に更新できなければならない。今のところこれらを完全にできるシステムはないが、そういったシステムを想定して、ISOなどの管理システムの負担も少なくなるような舵取りが求められる。コンテンツ管理やアセッツ管理はそういった要素の一部となるものである。

テキスト&グラフィックス研究会会報 Text&Graphics 227号より

2005/02/06 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会