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顧客ごとにセグメント化したマーケティングを

2005年2月3日(木)PAGE2005クロスメディアトラック「クロスメディアプロモーション戦略」セッションでは,以前日本で注目を集めたOne to Oneマーケティングが米国で再び注目を集め始めている現状について取り上げた。以下はその要約である。


マスメディアの効果が以前ほどなくなっていると言われている。米国では,全国ネットのTV局は存在しないので,国民が全員で見るということはない。マスメディアに流しておけばすべての人にリーチするという時代ではなくなっている。だからお客様をセグメント化していかないと今後は,プロモーションとして不十分になるのである。

以前,日本でもOne to Oneマーケティングはあったがコンサルティングが言っていたほど効果が見えなかった。当時のOne to Oneマーケティングを振り返ってみると,マスマーケティングとの〔1〕対立概念,〔2〕データベースが顧客に存在していなかった,〔3〕プアなデザイン,〔4〕投資効果(ROI)を明確に提示することができなかった,〔5〕ネットベースのアプローチのみ,〔6〕顧客の個別化のみという問題があった。
現在,米国ではこれらの課題が解決されるようになっており,One to Oneマーケティングが再び注目されるようになっているのである。
そして新たに「クローズドループマーケティング」,「ハンドレーザーマーケティング」,「マイクロマーケティング」と言われるようになり,以前の課題が次のように改善されている。

〔1〕マスマーケティングとの連動 大手広告代理店も自社の提案の中に入れている。

〔2〕顧客データベース構築のノウハウ
お客様の中に自分の顧客データベースが存在している。

〔3〕テンプレートデザインのノウハウ
優良顧客に対してスペシャルオファーをするためのデザインも必要であるので,技術の向上とともにテンプレートデザイナーが登場した。

〔4〕ROIの測定
エージェントがなんらかの形でROIを提示するようになってきたので,安心できる。

〔5〕紙ベースのアプローチ
ネット+紙というアプローチになってきた。

〔6〕パーソナライズとリリバンス
パーソナイライゼーションは名前を変えるだけだが,リリバンスはその顧客にとって重要な情報を提示するために内容を顧客ひとりひとりにカスタマイズすることである。

モバイル・クロスメディアマーケティグ

インターネットのユーザ数は2004年12月の時点で伸びは止まっており,今後は足し算の世界は通用しないと考えられている。ネットで買い物をしたユーザに取ったアンケート結果から,店頭で見てから買った,雑誌で見て買ったなどが上位を占め,今後は4大媒体+ネット+モバイルのクロスメディアで市場が拡大していくと見られる。
そんな中で注目を集めているのが,認知率83%のQRコードである。キャリアからの読み取り機種も増えており,切替サイクル(1年半)で行くと1年後には8割を超えるという計算である。
ビートレンドで発表したマメライズコードは,デザインを重視し,省スペースの7.5mm×7.5mmの最小サイズである。ビートレンドのアクセスサーバで暗号処理をするため、不正アクセス,大量アクセスを防止できる。
ユーザはQRコードがネットに接続できることを分かっているので,今後はECサイトで大量に採用されるようになる。
QRコードが小さくなったことで商品ごとにつけることが可能になったので商品決済ページにダイレクトに飛ぶことができる。結果衝動買いをあおることできるようになる。
ただし携帯電話によるショッピングは86.1%が利用したことがないという統計がある。しかしながらこれまで通販カタログ,インターネットショッピングが成長してきた歴史を振り返れば,モバイルコマースもこれからと言える。

iGen3が目指すこと

富士ゼロックスでは,請求書や通知などのデータプリントの世界からOne to Oneの世界へ働きかけることを目的のひとつとして「iGen3」を開発・発売した。
データプリントはコストの兼ね合いでなかなかお金が取れず,苦労する。富士ゼロックスではこれを「コスト」ではなく,「販売促進」と位置付けている。お客様に届く通知物を従来とは違う付加価値をつけることで,「コスト」から「販売促進」へ脱却することを考えている。

2005/02/19 00:00:00


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