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メタデータで変るDTP制作

AdobeのCS製品群でXMLに基づくメタデータが扱えるXMPが実装され、CS製品群の中という限定はあるものの、現実に役に立つものとなりつつある。インターネットの世界ではW3CのセマンティックWEBに沿った応用としてRSSがポピュラーになり、また検索エンジンも結果をXMLで吐き出して、メタデータを含む2次加工をさせる動きがある。OS関係でもAppleのコードネーム・タイガーやMicrosoftのロングホーンにもメタデータのサーチエンジンが入るというように、これからデータの管理にメタデータを使っていくという環境ができていく。

それでは印刷の仕事はこれからどういう方向で枠組みを考えていったらいいのか。AdobeのGunar Penikis氏はPAGE2005において、さまざまなオートメーションの基礎になるものとしてメタデータを使うXMPを提供していると話した。XMPだけで何かができるというより、それを生かした応用がこれから出てくるのであり、それはAdobeのようなアプリケーション開発ともに、また独立したツール類として、DAMやコンテンツ管理やミドルウェアの開発における組み込みなど、いろいろな位置付けがある。

例えば、画像データに対して、どういう写真家が撮ったのか、その写真家にコンタクトするにはどうすればいいか、その写真はプリントに使ってもいいか、Webに使ってもいいかというライセンス情報などがメタデータとして画像とともに入れることができる。Illustratorのグラフィックスであってもテキストでも同様である。これを使って制作以前以降の事務処理のオートメーションに役立つ。あるいは、ワークフロー的には、この素材は次のステップとしてどこへ行くべきか等が入れられる基本的なテクノロジーとしてメタデータはある。

オペレータがそれらの情報を参照しながら仕事をすることもあろうが、方向としてはアセットやワークフローのシステムを使ったり作る場合のメリットを考えるべきで、その時は標準技術をベースにしたものは開発コストが低くなり、ユーザ自身でカスタマイズしやすくなる。特にコンテンツを大量に抱えているところでは、システムの更新や入れ替えが思うようにはできなかったのが、システムの移行や発展がしやすくなる点が戦略的な意義である。

このようなシステム化が容易になり、この方向に進もうとすると、従来のDTP作業を再構築しなければならない。ページはテンプレートのようなフォームと、そこに貼り付けられるコンテンツに分かれ、それらは切り離されて管理される。これは「データベースパブリッシング」とか自動組版とかバリアブルプリントなどいろいろ個別な仕組みとして試みられていたものが、次第に汎用のモデルになっていくものである。だから制作にメタデータを使うという発展の方向は、IT化の流れの中では必然である。

テキスト&グラフィックス研究会会報 Text&Graphics 2005.3月号より

2005/03/25 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会